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『塔』の掃除人  作者:
16/31

二者択一

塔の中へ入るのは父の夢であり、幼い頃からのスイナの夢でもある。

それが今、手の届くところにある。


でもそのために、生まれ育った家や村、優しく接してくれる周りの人たちとの繋がりを絶てるか、なんて。


すぐに選べる訳がない。

今すぐに捨てろと言うなら、塔は選べない。


答えを保留したスイナに、ミカハは頷いた。


「じゃあ、覚悟が出来たらすぐに塔の窓口に来てね。もちろん闇月草が咲いてない昼間でかまわないわ。そのときに掃除の腕を見せてもらって、契約を考えることになる。もちろん人数は限られているから、できるだけ早く来て欲しいけれど」

「今すぐに決めなくてもよかったんですか?」

「人数が揃わないうちは、能力重視が塔の方針よ。学者の走り書きのメモが読めて多少の無茶な要求にきちんと答える。闇月草のことも知識として知っていたみたいだし、今のところ能力としては充分ありそうだと考えているわ。塔で働くという意味をしっかりと理解していなかった部分はマイナスだけど」


その後、報酬の話や闇月草の話、住むことになる部屋や学舎に行けなくなる代わりに使える塔の資料庫などの説明を受け、スイナは塔を出た。


辺りはまだ暗く、空には雲がかかっていて星一つ見えなかった。


村の入り口で寝泊まりしていた者が脱落した試験者から噂を聞き付けたのか、何人も灯りをもってうろついていた。

スイナは塔から帰りにもらった獣避けの香がはいった灯りを便りに肉屋の小屋に戻ると、夜が完全に明けるまで一人、悩み続けた。

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