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『塔』の掃除人  作者:
1/31

はるか昔、その塔は生まれた。


始まりは砦だったという。


一人の錬金術士が、世界で一番固いと言われる金属を造り上げた。

イファと名付けられたその金属の製法を手に入れようと、多くの国々が争った。

剣として使えばどのような鎧も容易く貫き、鎧として使えばどのような攻撃も通用しない兵を作ることができる。


だが、その錬金術士は自分の造り上げた物が戦争に使われることを疎んだ。


彼は大陸の南端、竜などの巨大生物が住む渓谷に逃げ込んだ。

そしてそこで、同じように国々から逃げ出した技術者らと出会った。


国々は諦めはしない。

何年もかけて情報を集め、錬金術士の居場所をつきとめ、軍隊を出した。

だが、その時にはすでにそこには彼らが力を合わせて造り上げた巨大な建造物が出来ていたのだ。


軍隊は一月かけて扉を探したが、どこにも入り口を見つけることはできなかった。

偶然巨大な鳥に捕まり逃げ出した兵の一人が、空から見てその建造物が卵の上半分のような形をしていることを発見したが、やはり扉らしきものは見つからなかったという。


軍隊は壁に向けて攻撃をしたが、イファで出来たその壁には投石機や、考案されたばかりの火薬ですら傷ひとつつけることが出来なかった。

軍隊は戦うことも出来ずに帰還した。


これが噂となり、同じように国々から争って欲しがるほどの技術や知能を持つ者が多くやって来た。

人は増え、建造物の更に上に塔が作られた。

いつしか塔の方が高くなり、その頃から建造物はイファの塔と呼ばれるようになった。


周囲にはイファの塔からの知識や技術を求める者による集落ができ、商人も集うようになった。

だが巨大生物や他国からの襲撃により、一定以上大きくはならない。

しかし集落が壊滅しても塔は傷ひとつ負わずに立ち続ける。

そしてまた人々が集い、集落を形成する。


塔はそうして存在し続けているのだ。

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