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航空戦艦「紀伊」戦記  作者: 妙高
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プロローグ

時は、1943年9月。広島県の呉軍港に一隻の軍艦が姿を現した。呉海軍工廠から現れたその艦は街から姿を隠すように大型の油槽船やドッグなどに周りを囲まれ、街からはその存在を視認することはできない。


他の戦艦がトラック環礁に出払っているため、大型の艦船が少ない中で山のように大きいその艦を隠すのは困難であっただろう。――ここまでして隠す理由は何なのか

 その理由は艦の形にあった。

その艦は今までの軍艦とは似ても似つかない奇怪な形をしていた。

まず、艦体の三分の二を空母のような飛行甲板が占め、残った三分の一には戦艦の主砲が二基構えられている。

はたから見れば奇天烈な見た目をしているがこの形こそ日本海軍が苦悩の末に生み出した新たな新兵器であったのだ。



このような艦が建造された背景には大日本帝国海軍は1942年6月8日のミッドウェイ海戦で機動部隊の中核であった、「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」の4隻の正規空母と300機もの航空機を失ったことにある。

この損害で、現在保有する正規空母は2隻のみ、さらに真珠湾以来の熟練の搭乗員を多数失った。

機動部隊の戦力を維持するにはこれ以上の損害は許されなかった。


そのために空母増産計画が掲げられ、雲龍型などの新規空母や既存艦艇の改装等を行う事になった。

 新型空母「大鳳」戦艦「伊勢」「日向」が航空戦艦へ改装が行われており、改装空母としては「千歳」「千代田」等がある。


その一環で新たな空母建造計画が上った。もともとは金剛型戦艦の後継として建造が進んでいた新鋭戦艦を空母に転用する計画である。

しかし、資材不足等からなかなか建造が進まず、空母の早急な投入をしたい軍令部は建造中の一号艦を空母にしている時間がないと考え、「伊勢」の航空戦艦への改装の経験から一号艦は航空戦艦として建造が進められる事となった。

艦艇の損失を抑えるため直掩戦闘機による艦隊の護衛と敵艦隊への攻撃の両立が行える新たな艦種として建造が進められることとなった



さらに現在、空母に同伴できる速力を持つ戦艦は金剛級高速戦艦「金剛」「榛名」しか残っておらず、この虎の子の2隻も20年以上前の老朽艦であり、他の戦艦と比べても装甲防御が弱く新たな艦艇の建造が望ましいとされた。

「紀伊」と名付けられた一号艦は強力な艦砲と「大和」よりは劣るが堅固な防御力を誇る艦として建造された、唯一無二の新艦種となったのであった。




~~~航空戦艦「紀伊」~~~


全長・二四三メートル

全幅・三四.五メートル

飛行甲板長・一六二.五メートル

飛行甲板幅・二三.五メートル

基準排水量・四万二〇〇〇トン

喫水線・八.五メートル

主缶・ロ号艦本式缶十基

主機・艦本式タービン四基四軸

機関出力十五万六〇〇〇馬力

最大速力・三三.四ノット

航続距離・18ノットで八五〇〇海里

乗員・一八三〇人

兵装・四五口径三年式四〇cm連装砲塔二基

六五口径一五.五cm連装砲塔2基

六五口径九八式十cm連装高角砲8基(防盾付)

九六式二五mm三連装機銃一五基

     四式四〇mm連装機関砲六基

十二cm二八連装噴射砲八基

搭載機・零式艦上戦闘機・天山艦上攻撃機等三二機

その他・航空機運用エレベーター一基

     着水機回収クレーン一基

     各種電探多数


今までの空母では追随する戦艦等の護衛が必須であった。

しかし現在日本海軍には空母に随伴できる戦艦は少なくかつそれらの艦艇はすでに既存艦隊に組み込まれている。

日本海軍には戦艦の護衛の必要のない空母が求められていた。

空母並みの艦載機運用能力に戦艦並みの防御力と攻撃力を併せ持つことで柔軟な運用が可能となった航空戦艦「紀伊」は空母と重巡、駆逐艦で構成された新艦隊の中核としての活躍が期待されていた。




そしてこの「紀伊」を舞台に、様々な艦の魂である少女達と彼女達にかかわった人々との激動の物語が始まる・・・





2021/1/18改稿しました。

皆さんはじめまして。以前から読んでいただいていた方はお久しぶりでございます。

I・E改めまして妙高と申します。


約8年ぶりに執筆を再開することとなりました。

今作は航空母艦と戦艦を足して二で割ったような架空の戦艦が舞台です。

高校生の頃に書いていたものだったので設定や表現など多作の影響を受けすぎていたきらいがあり、大幅な修正が必要になりました。

改稿作業は今も続けており暇を見つけては修正しております。




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