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序章
夢を見ていた。
私は王だった。
幾千の兵を従え行軍していた。
夢を見ていた。
私は蟲だった。
群れ行き最後には儚く散った。
夢を見ていた。
私は竜だった。
孤高に雄雄しく生き抜いた。
夢を見ていた。
私は物だった。
動くことなく永遠の時間に思えた。
夢を見ていた。
私は雲だった。
流れ行くその様は実に優雅だった。
夢を見ていた。
私は空だった。
眺めた景色は実に壮大だった。
夢を見ていた。
私には何も無かった。
孤独、寂寥、悲哀、幾つもの感情が溢れた。
私は、私は、私は一体――――――――――
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