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13 母と父と祖母と葉子と。

しっかり、リライトできてませんが……

楽しんでもらえるとうれしいです!!!





――正解。




ということは、

色々と考えなければならないということだ。

ライナとの付き合い方を……


その時、ルイは、

ライナとの今の距離感が好ましい――

と思っていることに気づいた。


それを壊すことにためらいを覚えたからだ。




――クソッ、ただの使用人だろ……!?




自分の気持ちに戸惑うルイに

葉子が言葉を続けた。




「さて、ルイ。


あなたは藤凪家について、

どのくらい知っているかしら?」




葉子が試すような口調で尋ねる。


ルイは、心の中の動揺を悟られないよう、

揺れ動く気持ちを一旦箱の中に閉じ込めた。


「――私が知る限りですが、

桐ケ崎家と同様に想鎮士(ソメンター)を輩出する

数少ない家門の一つであり、

我が家と双璧とも言える実力を持つ家です。


我が家と異なるのは、

より――皇族との関係が近い、ということ。


皇族とのご成婚、皇族の降嫁の数は、

我が家の比ではありません。


そのため、表立った想鎮士(ソメンター)としての活躍よりも、

国家のために極秘任務トップシークレットミッションをこなすことが多いと聞きます。




――いずれも、こちら側には全く漏れてこない話ですので

推測でしかありませんが。




また、想鎮士(ソメンター)の能力にしても、

我が家と同等、もしくは、

我が家を超える能力のものも多くいるとのこと。


私が知っているのはこのくらいです。」



葉子は、ルイを見て、


「まずまずね」


と呟いた。


そして、窓辺に立ったまま続けた。




「なぜいつも、

私が『いずみスタッフ』から

お手伝いの方をお願いしているか

ご存知?」




――え?





「――いや、何も…。

考えたことがありませんでした……」




葉子のおだやかな笑みに

ルイは、緊張の糸を少しほどいた。

それくらい、関係がなさそうな質問と思ったからだ。




「……ふふふっ。

あなたもまだまだね。

私が、いないとてんでだめね。」




――スッと空気が凍りつく。

いつものように、

祖母の地雷を踏んでしまったらしい…


こうなると、

シュレッダーくずのように

心が粉々になるまで、

こてんぱんに叩きのめされる。


だから、祖母は苦手だ……



そんなルイの胸中なんていざ知らず。

葉子は、続ける。




「わたしは、


――親友との約束を果たすため


ここにいるのよ。」





何もかもつながらないルイに、

葉子は、訥々と話し始めた。


ライナとその母と父と祖母と葉子の話を。






=================






ライナは、正式な藤凪家の家系図にはいない。

しかし、藤凪家の最も正当な血筋を引いている。




――なぜか?




それは、ライナの父に関係があるのよ。


藤凪家はそれこそ、その能力ゆえに、

皇族とのつながりも強く、

国家の光の影で数多くの暗躍をしてきた。


あなたは、桐ケ崎家と藤凪家を

同じように考えているようだけど

少し、補足をしておくわ。

しっかり、覚えておきなさい。


資産家というハリボテの元、

道楽職業の裏で、日々想鎮士(ソメンター)として世の中の平和を守っているのが、我が桐ケ崎家。


我が家と違い、

数多くの企業を抱え、本当の意味での成功者として

日本に君臨する藤凪家。


藤凪家では、

その世代で最も強い想鎮士(ソメンター)の能力を持つものが、

当主となるが、

それは表舞台には秘匿される。


表舞台では、

想鎮士(ソメンター)としての能力がない者の中で

最も優秀なものが、

そのグループ企業を取りまとめる

ハリボテの『当主』となる。


よく覚えておきなさい。

あなたの道楽小説家なんかと違うのよ。


つまり、本当の当主は、表に出ることは叶わず、

来る日も来る日も

ひたすら国家を脅かす愛禍(アモロス)を戦う生活を

強いられる。




並大抵の精神力ではできないことよ。




風の噂で、何人もの優秀な想鎮士(ソメンター)

心を病んで闇に葬られたと聞いたわ。

――悲しいことね。


心を亡くした想鎮士(ソメンター)ほど

怖いものはないもの。




話を戻すわ。




ライナの父は、

藤凪家始まって以来

最も強大な力を持つ能力者だったそうよ。


一族は湧き、

彼には、素晴らしい当主になるための教育が

嫌になるほど与えられた。

嫌になるほどね。


あんなに楽な当主教育ですら、

逃げ出そうとするんだから、

ルイなら一時間ももたないわ。


彼も期待に応えようと頑張っていたらしいんだけど……。


だけど、ある時何かが、音を立てて崩れた。




――彼は、家を飛び出したの。




何もかも捨てて。

戻らないつもりで。


そのときに苗字を変えたそうよ。

遠縁の親戚の名を借りて『和泉(いずみ)』と。




そこからは何となく分かるでしょ?




ライナの母親と出逢い、恋に落ちた。

やがて、愛し合い、結婚した。

そして、子どもを授かった。

その子は、元気にこの世に生を受け、成長した。




それがライナよ。




このまま行けば、

親子三人で、

想鎮士(ソメンター)になんて関わらずに、

幸せに生きていけた。




ただ、そうはならなかった。




普通、当主が何かあった時のために、

影武者と言ったら言い過ぎだけれども、

他にも何人か候補者を育てておくもの。

この家業は死と隣り合わせなのだから。


あら、うちだってそうですよ。

誰が候補者かって?

そんなこと秘密に決まっているではないですか。


話を続けるわよ。


しかし、

ライナの父の能力がずば抜けすぎていたために、

藤凪家は『普通のこと』を怠っていた。

候補者となるものが皆無だった。


これほどの能力なら、

『死なない』とは想像できても

『逃げない』とは想像できなかったのね。


当主が逃げ出した藤凪家では、

それを必死に隠し、無理やり新たな当主を立てた。

ライナの父の弟を。

血が近ければ、何とかなる、と踏んだそうよ。


慌てて、できる限りの教育を施したようだけど、

残念ながら、想鎮士(ソメンター)としての

身のこなし方や戦い方は、

付け焼き刃で身につくものではない。

そして、一番大きかったのは、

弟にはライナの父ほどの能力はなかったということよ。


結果、とある任務中に早すぎる死を迎えた。


藤凪家は、大変だったでしょうね。


何とか立てた当主も、いくばくかも経たないうちに

亡くなってしまった。

候補者を育ててこなかったゆえに、

他に候補になる者の見当がつかない。

しかし、お上の任務はこなさなくてはならない。


  



――さて、どうなったと思う?





そうね、ライナの父を探すでしょうね。


藤凪家の使えるものを全て使って

探したそうよ。

それこそ血眼になって。



その頃、ライナたち家族は幸せに過ごしていた。

ただ一つあるとすれば、

ライナの父が夜な夜な愛禍(アモロス)と戦っていた

ということかしら。


彼は、身の回りの幸せを守りたかった。

国家機密トップシークレットミッションなんかに携わるんではなくて、

人々の幸せが守りたかったのよ。


それが続くと、いろんなところに噂が回る。

ほら、私たちは情報家業でもあるから。


うまく隠れていたのだけど、

彼の正義感がゆえに、ライナたち一家の居場所が

藤凪家の知るところとなってしまった。


藤凪家は、すぐに、接触を図った。

まずは手紙から。

ライナの父は驚いたそうだけど、無視した。

藤凪家は、反応がないのを見て取ると

すぐに本人に接触を図った。





家に押しかけたのよ。

元当主である、ライナの祖父直々に。





もちろんライナの父は、追い返した。

引っ越すことも検討したようだけど、

既に見つかっているなら意味はないと考えたようよ。


ライナの父は「自分の父」とは、

伝えたもののそれ以上、語らなかった。

藤凪家の当主は、表舞台に顔を現さないから、

顔だけ見たくらいじゃ普通誰なのかわからない。

そう考えたんでしょうね。


そして、その場に私の友人である、

ライナの祖母、ミツもいたわ。

一緒に暮らしていたの。


ミツは賢いのよ?

一度会った人の顔を絶対忘れないの。

そして、ライナの祖父なる人の顔を

どこかで見たことがある顔だと思った。


そして、桐ケ崎家の私に相談してきたの。



あれは、



『藤凪家』の方ではないか、



ってね。



一度、めったにでてこない藤凪の当主を

我が家に招待したことがあった。

その頃、ミツは、我が家の女中として働いていたから

顔を覚えていたのね。


私はそれを聞いて、情報をかき集めた。

親友の平和が脅かされるかもしれないのよ?

家の仕事より力入れたわよ。


そして、今まで語った内容の情報を手に入れた。

ミツにすべてを伝えたわ。

そして、藤凪家がとても厄介な家柄ってこともね。

想鎮士(ソメンター)についても、伝えた。




――国家機密なんて、くそくらえよ。




逆上したら何やるかわからない連中よ。

国家の忠臣といえば聞こえがいいけど、

人を人だと思わない奴らだもの。

巻き込まれた人間に説明しないなんてありえないわ。


そして、ミツなら、

必ず理解してくれる確信があった。


ミツは静かに聞いていた。

そして、全て受け止めて、

ライナの父に尋ねた。


ライナの父への藤凪家の接触はもちろん続いていて、

家族の安全を天秤にかけて、

家に戻ることを提案してきたそうよ。


本当にクソみたいな奴らだわ!

いいのよ、誰も聞いちゃいないから。


そんなの、家族を傷つけられて

自分だけ自由に生きるなんて、

できっこないじゃない!


ライナの父は、藤凪家に戻ることにした。

ただし、これ以上家族を巻き込まない条件で。

少なくとも自分が当主でいる間は、

ライナの母、ミツ、そしてかわいいライナには

手は及ばせない事が出来ると考えた。


ライナの母親はマキさんといったかしら?


マキさんにはすべては話さなかった。

ただ自分が戻らなければ、

あなた達の命が危ないと説き伏せたそうよ。


マキさんは、かなり渋ったそうだけど、

ミツにも諭されて、受け入れた。


そして、ライナには父は急死した、と伝えることにした。




――ふぅ、ちょっと疲れたわね。

お茶でもいただこうかしら。




===============




葉子がお茶を飲む間、

ルイは、今の話を頭の中で反芻していた。


もしかして、

藤凪家の傍系で、たまたま能力が高いやつ

くらいかと思っていたが……




おいおいおい、

直系も直系、現当主の実の娘だと――!!




思考が追いつかない。

とんでもないやつが近くにいた。

存在自体が国家機密(・・・・・・・)だ。





「ちょっとは驚いたかしら?」





いつもの何を考えているかわからない笑顔で

葉子は微笑んだ。




――クソッ。




本当にキツネに化かされているようだ。

ルイは歯を食いしばる。





「――ここまで知っていて、

ライナと私を会わせた理由とは…?」


「――それは、不可抗力ってやつかしら。

私の計画にはなかったわ。」





「――え?」




ルイは、素直に驚いた。


祖母は何手先まで読んでいるか分からないくらい

先読みをして計画を練る人だ。

そんな人が不可抗力?




「――(すえ)さんのかわりがあの子なんてね。

運命のいたずらかしらね。

ミツさんがライナだけは

桐ケ崎家にかかわらせないようにマキさんには

伝えていたと思うけれど…。


まさか、臨時スタッフとして派遣される

とは思わないわよねえ。」




そうか、ライナは、

(すえ)さんのかわりで入っただけなのだ。





――本来、我が家へ来る予定ではなかった。





それならば、

『いずみスタッフ』をうちで雇う理由とは?

ルイは、質問の答えを促すように、

ちらりと葉子を見る。


葉子も目を合わせ、口を開いた。




「さて、質問の答えを話しましょうか。


これはミツからのお願いなの。


『いずみスタッフ』の誰かが

常に桐ケ崎家とつながっていれば、

藤凪家への牽制にもなるし、

何かあった時に助けを呼ぶ縁になるからって。


ただし、ライナ自身が想鎮士(ソメンター)としての

能力を持っていないとも限らない。

できる限り、直接接触しないでほしい。

平穏に過ごさせてほしい、

ってね。


ちょっとイレギュラーな事態が発生して

こんなことになってるわけ。」


「――そういうことですか…」





――なるほど。

そういうことなら、納得がいく。

ライナとルイは、知り合う予定ではなかったのだ。


ただ、藤凪家と対等にやりあえるのは

桐ケ崎家くらいのものだ。


それを知った上で、ミツは、葉子に、頼んだのだ。

孫の平和を守ってくれと。




「ルイ。」

「――は、はい。」




考え事をしていた時に、急に名前を呼ばれ、

慌てて返事をした。





「あなた、ライナと結婚なさい」


「――は…??」




とんでもない爆弾が落ちてきた。

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