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第8話 ケニヤからタンザニアへ

 アンボセリ動物保護区に別れを告げる朝、先ずはキリマンジャロに挨拶をと外に出るなり見上げるが、今朝も姿を見せてはくれない。昨日午後はあんなに上機嫌だったのに。


 ナイロビに引き返すサファリカーは予定通り、国境の町ナマンガで一旦停車した。ここで自分の他に、中国人とあと2人が下車した。

 先ずはケニヤからの出国管理、次いで税関で外貨申告書を返した。その後、土産物店でケニヤシリングをタンザニアシリングに換金した。500ケニヤシリングが5000タンザニアシリングになった。10倍金持ちになったような不思議な感じだ。

 その後、タンザニアへの入国管理、更に税関へと忙しい。


 サファリで親しくなった中国人のフィリップと途中まで行動を共にする事になったが、彼はなかなかしっかりしている。ここからアリューシャという町まで乗合タクシーのような車で行き、私自身はそこからは普通バスでキリマンジャロの麓の町モシまで行く事になる。彼はアリューシャまでだそうだ。英語に堪能な彼が積極的にタクシーのドライヴァーと交渉するので、関心しながら見守った。

 アリューシャ迄の乗車料金、1000シリングは高いと断って700シリングのに乗り込んだ。ところが、満席にならないと出発しない。他のタクシーは次々と出発するが我々のはなかなか座席が埋まらない。堪りかねたフィリップがバックドアーから強引に外に出るので一緒に出た。別のと交渉して乗換えたら、元のが先に出発した。結局それから15分遅れてやっと出発した。


 安く交渉しただけあって、ドライヴァーの隣の助手席に2人座る事になる。石ころだらけのがたがた路を2人は窮屈過ぎる。300シリングと言えば、200円ぐらいである。どう考えても200円払って楽な席の方が良いのであるが、まあこれも成り行きで仕方がない。

 アリューシャ迄の景観は美しかった。この道中、キリマンジャロとばかり思っていた山はフィリップに尋ねたら『メルー山』との事だった。山容はキリマンジャロとよく似ている。

 一時はフィリップと共にアリューシャに一泊しようかとも思ったが、キリマンジャロ登山が目的ならアリューシャに宿泊する必要はないとのフィリップのアドヴァイスもあり、予定通りモシまで行く事にする。


 ナマンガで下車してからフィリップには随分世話になった。英会話は早くマスターしなければと思う。アリューシャからモシへはダルエスサラーム行きの大型バスである。自分が買ったのは自由席だが、他の乗客はみんな指定席を持っているようだ。どこが指定席か分からないので適当に座っていたが、他からのクレームも無く、無事にモシに到着した。


 下車後1時間もかかったが、予定のYMCAに無事辿り着いた。このYMCAはとても気に入った。ロビーは広々としていて落ち着ける。中庭もあり、長期滞在したくなるような良い設備だ。しかも一泊1000シリングと驚くほど安い。日本円で700円ほどである。従業員もみんな温和で好感が持てる。 


 さあ、明日は申し込みをして、明後日はいよいよキリマンジャロへ出発だ。


(今、日記を読み返しながら考えてみる。

 ケニヤからタンザニアへ国境を越えてアリューシャへ向かう途中、キリマンジャロと思っていた山が『メルー山』だと教えられた。フィリップに遇わなければ、今でもキリマンジャロだと信じたままなのかもしれない。それとも、YMCAで気が付いただろうか?

 もう一つ、アセンボリ動物保護区に向かう途中のナマンガを出発した後に見えてた山はどちらなのか? 日記には書かれてないので確信は持てないが、恐らくメルー山ではなかったかなと思う。


 『メルー山』で検索してみると、アリューシャが登山基地になり、ウォーキング・サファリができる大変魅力的な山のようである。

 ただあの当時、それができたのかどうかは分からないが)

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