第6話 アンボセリ動物保護区へ
予定通りタンザニアのヴィザの申請を済ませた。ホテルに戻るとBob が居たのでタンザニアのモシへの行き方を訊いてみた。モシはキリマンジャロ登山のベースになる町である。アンボセリ動物保護区へのサファリツアーが、サファリ終了後のナイロビへの帰途、ナマンガというタンザニアとの国境の村に寄るので、そこでモシ方面に行くバスに乗り換えると良いと絶好のアドヴァイスをしてくれた。確かにアンボセリは国境近くにある。
ヴィザは2日後の予定だったが、再度タンザニア大使館を訪ね、翌日に受け取れる事になった。有難い。
ホテルに戻ってジュースを飲みながら一休みしていて愛想の良い日本人女性に遇った。大学教授のお父さんと、3か月前から一年間の予定でナイロビに滞在している北海道大学4年生の岡崎さんである。とても明るく感じの良い娘さんだ。
途中からBob も加わって30~40分ぐらい会話が弾んだ。Bob とは既知の間がらのようである。
(この時の3人での会話は英語だったのか日本語だったのか、どんな内容だったのか全然記憶にありません。実は彼女に遇った事もあまり記憶していません。日記を読み返していて何となくそんな事があったような…)
近くにある図書館まで彼女に案内してもらって別れた後、日本インフォメーションセンターに入ってみた。日本語で書かれた本や日本に関する本が沢山置かれている。日本人写真家によるサファリでの写真集もあった。
夕食は、一昨日見つけられなかった日本料理店『日本人倶楽部』へ行ってみた。今回は岡崎さんから聞いていたので難なく見つけられた。にぎりずしを食べてみたが、シャリは日本産でなく味はイマイチ。
その帰り路、ホテルのすぐ手前にある映画館に入ってみた。入場料は何と17シリング。約120円である。この料金で、フィルムがどうたら、映写機がどうたらなんて言ったらバチが当たるに違いない。
さて、翌9月18日、朝食後すぐタンザニア・ヴィザを貰ってきた。
帰り道、アンボセリ・サファリツアー用に靴を買い替えた。379シリング(約2700円)である。ホテルに戻って、Bob に古い靴を見せながら、
"Bob, I changed my Shoes. Do You have a poor Friend?"
と訊いてみた。
すぐに意味を察して、
" Oh, I'm poor."
と言ったかどうか憶えてないが、即意思表示した。
日本製の靴はBob のジョギング用になった。
明日はいよいよ、2度目の動物保護区への現地滞在型サファリに出発だ。
ところが当日、予想通り午後イチの予定が午後2時に出発となる。アフリカスタイルだ、ノンビリ行こう。
( In Africa, Do as African do! )
メンバーは英国から若いカップル、同じく30代らしいカップル。それに、英国在住の若い中国人男子に自分の計6人である。
マサイマラまでの道中もかなり埃っぽかったが、アンボセリまではそれ以上に埃っぽい。途中、モシへの乗換え口でもあるナマンガの部落を出ると、前方に裾野の広い山容が見えてきた。雲がかかっていて全容は見えないが、頂上に雪を頂いている。キリマンジャロであろう。思っていたより低く見える。
夕食後、キャンプ地でコックさんと中国人男子と3人で火を囲み談笑をしていて、足元に何か虫を見つけた。クモだった。見つけたコックさんがすぐに殺した。噛みつかれると大変なのだそうだ。
私は基本、野生の虫はクモでも嫌いではない。毒グモとはいえ…哀れなクモはその場で火葬された。
さあ明日はいよいよ、標高5895m の秀峰キリマンジャロの裾野に広がる、アンボセリ動物保護区のサファリのスタートだ。