第3話 マサイマラ動物保護区
ついに憧れのサファリ・ツアーに出発だ。予定より少し遅れて9時50分出発。ここではトロントからのカナダ人男子2人と3人で。途中から日本人男子が乗り込んできた。彼は松下電器勤務の堀田さん、27歳との事。誰に自己紹介する時でも堂々と社名を話している。何しろ天下の松下電器である。
更に途中からオーストラリアからの初老の夫妻が加わり、ナイロビからは6人である。また更に NAIVASHA から英国からの若いカップルも加わり8人のフルメンバーとなった。それに男性ドライヴァー1人。
ナイロビから NAIVASHA までにアフリカで有名な大地溝帯(Great Rift Valley)のヴューポイントで一度下車した。アメリカのグランドキャニオンを思い起させる。ここは巨大な溝だけなので、グランドキャニオンの美しさには及ばない。
動物保護区にゲートインするまでに、砂利道の車道からシマウマの姿がポツリポツリと見られ、すごく感動した。町中で見ると違和感を感じるかもであるが、だだっ広い草原の中でシマウマを見つけると『ああ、ここはアフリカだ!』を実感する。今までの先進国とは一味も二味も違った、野趣あふれる異国の地を実感する。
一度だけ、車道脇の低地にシマウマの死骸が横たわっていたのは少しショックではあった。肉はそのままであるところからすると、交通事故かな? これも現実だ。
保護区に入ってからは、いろんな動物が次々と現れる。ドライヴァーは時々車を停めては遠くを指さし、名前を告げていた。遠くにいるシマウマやヌー、ガゼルはなかなか近くまでは来ない。じゃあこちらから行けば良いのに。あまりにも数が多いので価値観を感じていないのかな? 私には価値十分なんだけど。
それにしても、みんな陽気な人たちばかりで車内は明るい。15時頃、TOROKで遅い昼食を摂り、キャンプ地に到着したのは18時前だった。マサイ・マラではここがずっと、宿泊地になるようだ。
今日の大物は何と言っても、キリンだ。4頭見られたが、流石にでかい。30~40m の至近距離からじっくり見られて大満足だった。のんびりとトゲのある高木の葉を食んでいた。
今日、見られたのは、
ダチョウが、1羽。
七面鳥が、4~5羽。
シアウマは100頭ほど見られたが、同じぐらいと予想していたヌー(ウシカモシカ)は10頭ほど。
圧倒的に多かったのはガゼル(グラントガゼル、トムソンガゼル)で数100頭みられた。
キャンプ地では、若い黒人男性(たぶんタンザニア人)が待っていてくれた。すぐに紅茶をごちそうしてくれた。飲み終わる頃、口に抵抗があったので砂糖かなと思ったら砂だった。ここで生きようと思えば、野生動物の糞混じりの紅茶ぐらいは飲めなきゃならないようだ。
設立済みのテントは集団用の他、2人用もいくつか有り、堀田さんと一緒になった。夕食は肉じゃが中心の野性的料理で十分満足した。
サファリ2日目。
午前と夕方の2度、サファリへ出発。様々な野生動物たちとの出会いがあり感動の連続である。みんな、雄ライオンに最大の注目をしていた。最強の肉食獣なので恐いイメージがあるが、彼らのメニューには人間は含まれていないようでホッとする。サファリカーのすぐ眼の前を悠々と横切っていた。かなり慣れているようだ。
遠くに5~6頭の象の一家を見つけたが遠すぎた。
夕方のサファリは象が目当てで出発したが、残念ながら全然見られなかった。その代わりキリンが随分見られた。
今日の成果。
ライオン…………4頭。
チータ……………2頭。
象……………5~6頭。
ハゲコウ…………2羽。
ヒヒ…………7~8頭。
バッファロー…10頭。
その他に、以下の動物は無数に見られた。
シマウマ、ヌー、トンプソンガゼル、グラントガゼル、キリン、インパラ、ダチョウ、ハゲタカ。
夕食後は満点の星空の下、みんなでキャンプファイヤーを楽しんだ。インド出身(ケニヤ生まれ、英国在住)の10代の姉妹が可愛い。
外国でのキャンプファイヤーと言えばグランドキャニオンの谷底でのを思い出すが、あの時はリスニングのみであった。ここではフリートーキングだから楽しい。一方的に聴かされるのは、苦痛以外の何物でもない。
ちょっと、いやかなりショックだったのは、姉妹の妹さんが堀田さんに、私の事を『Your Father?』と訊いた事。彼とは14歳しか違わないんだけど。
彼は笑いながら、『No, Friend.』と答えていた。ア~ア!




