第27話 キリマンジャロ再挑戦、下山後
約束通り、トランスポートの車は待っていてくれた。アレンジャーのオッサンは私の登頂を労ってくれた後、あと4人乗せるので13時迄待てと言う。まあこれは仕方がない。夫々体力も歩く速度も違うはず。ところが待てど暮らせど、4人は一向に姿を見せない。14時半になってもまだ下山してこない。ドライヴァーでもあるアレンジャーのオッサンとの約束は守って欲しい。ドライヴァーは堪りかねて近くの店でドリンクを奢ってくれた。タンザニア人に奢ってもらう事があるとは思わなかった。
15時頃漸く4人が下山してきた。やはり、何度か会話を交わした老人グループの人たちであった。年齢を考えれば仕方がない。下山後もティップの額でガイド側との話が長引いている。15時過ぎにやっと決着、3時間以上も待たされたわけだ。
それにしてもこちらにひと言も謝ろうとしない。罪意識は全くないようだ。車に乗るのは自分達4人だけだと思っているのかな。
無事、YMCA到着。今夜こそ、本当にゆっくり休もう。
翌日、朝一でキリマンジャロを見たかったが、曇り空で見えなかった。明日はケニヤのモンバサに向かうので、今日がタンザニア最後の日になる。大事に過ごさねば。
日本への土産用にキボハウスでコーヒー豆を2袋、明日のバス生活用にバナナとチョンガーを100シリング(70円)分ずつ買った。バナナはやたら安い。
YMCAの前で、最近よく話しかけてくるガイドにまた声を掛けられた。名前を訊ねると予想通り『エミリー』と名乗った。最初の登山の時に、大淵さんたちのガイドだった悪い奴である。しかし非常に愛想の良い男で、とてもポーターのティップを横取りするような男には見えない。
(キリマンジャロ登頂から35年になるが、改めて登頂にかかった費用を、運営側から考察してみようと思う。私の場合、最初のはYMCAに依頼した。支払ったのは360USドル。YMCAは同一グループとなった4人から1440USドルを得、入山料660USドル(165USドル×4)をマラングゲートで国に支払い、4人分のガイド料をガイドに支払う。ガイドはその中から自分の選んだポーター4人にいくらかずつ支払う。その他には、行きのトランスポート(移動費)、山中での9人分の食費がかかる。
2度めは個人運営の登山アレンジャーに依頼した。287USドルの予定がTCで317USドルになった。内訳は、アレンジャーに150USドル、入山料は167USドル。アレンジャーは1人分のガイド料をお抱えのガイドに支払う。ガイドはその中から自分の親しいポーター2人にいくらかずつ支払う。その他には、往復のトランスポート(移動費)、山中での4人分の食費。
大淵さんの場合だと、ガイドに直接に依頼したようだ。個人運営の登山アレンジャー兼ガイドである。大淵さん、美智子さんの他に、仮に2人参加としてみよう。1人270USドル。4人から1440USドルを得、入山料は660USドル。お抱えのポーター4人にいくらかずつ支払う(ところが、支払われなかったそうで、警察の出場となったらしい)。後は行きのトランスポート(移動費)、山中での9人分の食費。
2度めの時に同室だった竹本さんの場合もガイドに直接依頼したようだ。ガイドに100USドル支払ったそうだが、これは恐らくティップ込みであろう。トランスポート(移動費)は行きのみか往復かは不明だが、荷物は全て自分で背負い、食料も持参、料理も自分で賄っていた。ガイドにやって貰ったのはハットへの案内程度であろう。入山料、ティップと合わせて267USドル支払ったはずだから、登山客側から見て、あまり良い条件とは言えない。)
夜YMCAで、日本人男性に遇った。九州出身の28歳で一年間の予定で海外旅行中との事。南米がお気に入りで又ブラジルに戻るようだが、大した目的は持っていなさそう。女好きのようでもあり、初めて海外であまりパッとしない日本人に遇ったようだ。
その彼と話している時、突然銃声のような音が聞こえた。少し間をおいて、今度は連発だ。何だろう?
日本、ケニヤ、インドの小銭が見つからない。さては、盗まれたか⁉ 登山前は有ったはずだが。まあいいや。大した額ではない。それより明日は5時起きだ。早く寝よう。




