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第26話 キリマンジャロ再挑戦、下山後半

 早々とベッドに潜り込んだ。徹夜で歩き続けた割りには寝付かれない。登山中はかなり疲労感を感じていたのであるが、これは高山病による疲労感であり、登山そのものによる疲労ではないのであろうか? それとも、疲労はしているものの、自分史上最高の偉業達成の興奮によるものであろうか?

 

 ティップの事を考えてみる。3週間前になる最初の挑戦の時は10USドルであった。ドイツ人と相談の上でそう決めた。ガイドとの交渉は彼に任せたが。

 あの時は、登山者グループは4人。ガイド1人。ポーター4人。登山者4人が1人のガイドに5ドルずつ、各人の担当ポーター1人に5ドルあげた。したがってガイドは計20ドル、ポーターは夫々が5ドルずつである。

 今回は登山者は自分1人。ガイド1人。ポーターは2人である。登山者が1人だと割高になるのは仕方がない。初めは、ガイドは1人しか面倒は見てないので10ドル、ポーターは各5ドル、都合20ドル、色を付けて2割増しで24ドルと考えた。

 しかし、前回は誰も登頂してないのに対して、今回は登頂に成功している。それは当然考慮しなければなるまい。ガイドに20ドル、ポーターに各5ドル、都合30ドル。このあたりが妥当か? 彼等サイドからだとこれで前回と同額になる。

 

 じっくり考えてみる。ガイドはいざと言う時に必要だが、現実にはポーターの方がずっと忙しい。登山者の荷物を運ぶのも食事の準備をするのもポーターである。ポーターには10ドルずつあげよう。都合40ドルになる。ガイドの希望額と一致した。これで、ティップ問題は解決しそうだ。さあ、寝よう。

 それでも、興奮の為か高山病の後遺症の為か、なかなか寝付かれなかった。


 翌朝、睡眠不足にも拘わらず体力は完全に回復していた。やはり高山病以外のダメージはなかったようである。朝食後、ティップの事をガイドに話したら、すぐ納得した。


 キリマンジャロ登頂の夢を果たした後の下山は実に気分が良い。前回とは大違いだ。1人で自由に歩けるので尚更だ。

 マンダラハットの手前でマウェンディクレーターへの分岐点に来たので、そちらの道を選んでみた。クレーターらしきモノは見られなかったが、マウェンディー峰がくっきりとその姿を見せている。小高い位置に小さな広場があったので、人影が無い事を良い事に自分のヴィデオを撮った。セリフ入りなのでちょっと恥ずかしい。


 マンダラハットを通過してすぐに、蜥蜴らしき小動物が這っているのを見つけた。手指の腹に乗せてみて驚いた。蜥蜴ではない。カメレオンと思われる。TVや写真では見た事は有るが、実物を見るのは初めてである。サイズは全長5cm ぐらいだ。赤ちゃんでなく、既に成長しているように見える。もっとずっと大きいものだと思っていた。小さな種類のもいるようだ。


 途中でガイドに追いつかれ、会話を交わしながら歩いた。彼はガイドになって2年、まだ22歳だそうである。

 予定より30分早く、12時にマラングゲートに到着した。その直前に8~9歳ぐらいの男の子に遇ったので、横に腰を下ろしてランチ用のお菓子をあげたら、受け取って礼もそこそこにもっとくれと言う。残りをあげたら更に、バッグの中に有るのもくれと言う。

 これは厚かましいのか、それとも逞しいのか? お菓子はそれが最後だった。


 マラングゲートに到着後すぐに下山手続きをして、『キリマンジャロ登頂証明書』を発行して貰った。ガイドにガイド名、登頂日時を記述して貰って出来上がり。私にとっては大変貴重な表彰状のようなものなのに、ガイドのヤツはただの紙切れみたいに丸めていた。少し、『ムッ!』。

 

 この後、ティップの事で再び揉めるとは思わなかった。今朝出発前に納得したにも拘らず、ポーターの分が不満と言う。2人がかりで1人前の仕事しかしなくて10ドルで不満とは! 私は内心、前回の担当ポーターに10ドルあげるべきだったと、少し後悔していた。それも有り、ガイドの態度も含めて、40ドルで不満とは。

 土壇場での不満表明にこちらも感情的になってしまった。ガイドの腕を掴んで事務所に連れて行こうとすると、いつから居たのか彼等の仲間と思われるオッサン連中が急に折れて、必死に私をなだめ始めた。これは彼等の入れ知恵かな?

 ガイドは不貞腐れたのか、黙って行ってしまった。礼儀作法をわきまえないヤツだ。


 さて、トランスポート(迎え)の車は来てるかな?

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