第24話 キリマンジャロ再挑戦、頂上へ(後編)
キボハットから登頂開始後4時間半、やっとギルマンズポイント(ギルマンズピーク)に到着した。
この地点で標高5685mである。かなり大勢の登山者がここから下山するようだ。頂上まであと3km、標高差210mである。何故にここまで来て最高峰を目指さないのか、私には全く解せない。
(今になって考えてみると、解せない事もない。富士山と比較してみると解り易い。富士山は頂上が一周4kmの火口になっている。後年、私が登頂したのは富士吉田ルートのみですが、その火口到達でもって富士山登頂と認識しています。でもそこは本当の山頂ではありません。時計回りに1kmぐらい進んだ辺りが3776mの山頂である。
キリマンジャロもこれと同じで、ギルマンズピークは火口の一端に位置する。私が富士火口の一端に到達する事により富士山登頂と認識しているように、多くの登山者がギルマンズピーク到達によりキリマンジャロ登頂と認識しているようである。
それでも私はギルマンズピーク到達でもってキリマンジャロ登頂とは到底認められない。まだ200m以上の標高差があるのである。それにキリマンジャロの火口は曖昧でよく分からない)
ガイドは、ギルマンズポイントで一休みしたら、ご来光の写真を撮った後下山しようと言う。
(Et tu, Brute? ブルータスよ、お前もか!)
とんでもない話だ。ここ迄来て、誰が登頂せずに下山するか!
ご来光までまだ30分以上もある。ご来光も見たかったがそれよりも何よりも登頂が最優先である。寒さに震えながらご来光を待つより、すぐに頂上を目指す事にする。ガイドは不満な顔をしながら、ティップを弾んでくれと言う。良いだろう。
後日、日本人に聞いた話によると、ティップを吊り上げる為に無条件に先ず頂上までのガイドを拒否するようだ。日本人には、特に私にはこのようなやり口は逆効果なのだが。我々は好意を受ければお返しをしたくなる。ガイドとしてしっかりサポートしてくれれば、ティップも弾みたくなる。彼等のような小癪なやり方は逆効果である。
さて、気分を取り直し、気合を入れ直して頂上を目指す。今回の旅のクライマックス・キリマンジャロ登頂へ、ラストスパートである。頂上へは火口の南縁近くを西へ真っすぐ突き進む。途中一度南縁に寄り道してみる。ガイドが嫌な顔をしている。それを無視した後また進む。こちらの速度が遅いとみて、ガイドがザックを持ってくれた。多少は楽になり助かる。
ギルマンズポイントまでの後半はかなりきつかったが、そこからは割合楽である。マラソンでも30~40kmはきつくても、そこを過ぎたあたりから楽になる事が多々ある。ゴールが近いと分かると元気が出てきて、不思議とロングスパートができるようになるのだ。それと同じ事か。それとも単に、火口に入って傾斜が緩くなった所為か。
50分ほどで、ウフルピーク(キリマンジャロ山頂)に到着した。
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この時の気持ちは、・・・大感動するはずだったのだが、頭がぼう~っとしてよく分からない。実感がもう一つ湧かなくて涙は出なかった。山頂に立つ標識に触れてみる。「UHURU PEAK 5895M」を確認した後、火口の南縁(?)に立ってみる。下界は見えず、眼前に巨大な氷壁が凄い迫力で迫っている。その背後にはメルー山が美しい姿を見せている。
氷河自体は毎年少しずつ削られているそうである。いつかは完全になくなるそうであるが、健在なうちに対面できて良かった。いつまでもこの姿を保っていて欲しいものである。




