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第23話 キリマンジャロ再挑戦、頂上へ(前編)

 8時10分、ホロンボハットを出発。前回は、後半には足が進まなかったが、今回は暖かく足取りも順調である。キボ峰とマウェンディ峰が常にその美しい姿を見せてくれており、昨日同様ずっとハイキング気分で歩く事ができた。

 15時ぐらいに到着すれば良いと思っていたが、13時15分に無事、キボハットに到着した。前回とは大違いで、高山病の兆しは皆無であった。

 ルームメイトの竹本さんは15分早く出発していた。すぐに追いつくと思っていたが最後まで追いつけなかった。


 道中、下山中の2人連れの40代ぐらいの日本人男性に会った。彼等はキボハット迄登ったが、そこで激しい頭痛に襲われ、その先は諦めたそうである。日本の最高地点より700m以上も高い地点まで無傷で到着するのは大変だ。前回の自分は頭痛のみならず、吐き気と激しい動悸にも襲われていた。

 又、自分より1日早く、YMCAのツアーに参加している下山中の白人男性に会ったが、彼はギルマンズピーク迄登ったが、やはり頭痛の発症によりそこで諦めたそうである。高度差にしたらあと200mぐらいなのに…。


 この日のキボハットは大変暖かい。陽だまりで寝ころんでみたが実に良い気持ちだ。白人の老人グループや地元の女子学生グループも次々と到着してくる。


 16時頃から急に冷えてきたと思ったらその後、雪になった。ベッドに入ってからも風の音が時折聞こえ、どうやら吹雪のようだ。寒さも厳しく、何と7枚着こんだ。これ迄ずっと天気には恵まれていたが、最後の最後になって吹雪か!と心配になり、就寝時刻になってもなかなか寝付けなかった。

 しかし、天は私を見捨てなかった。出発時刻の真夜中、0時30分に外に出た時は満天の星空であった。

 今までの人生でこれ程までに美しい星空は観た事がなかった。大学生の頃、土佐の母親の実家で満点の星空を眺めた事があったが、あの時をはるかに上回る美しさだ。実家では180度満点の星空だと感じたが、このキリマンジャロ・キボハットの星空は足元からである。360度満点の星空に感じる。

 体調チェックをしてみる。頭痛無し。吐き気無し。動悸無し。完璧だ。2度目だとこうも違うものなのか。


 小屋に戻って紅茶にビスケットの簡単な朝食の後、全員一斉に登山開始。数10人が一列になりゆっくり登る。ポレポレである。6枚着こんでいるので流石に寒くはない。自分も後方でマイガイドのすぐ後につく。満点の星空とは言えかなり薄暗いのに、どのガイドもライトを持っているようには見えない。動物サファリツアーのドライヴァーやガイドが双眼鏡を必要としないのと同じなのかな⁉ 登山客のヘッドライトで見えるのではあるが。


 2時間ほどで海抜5151m地点に到着する。流石に高山だ。わずか2時間程度なのに、自身未踏の高さでかなり疲労を感じる。自分の感覚では5300mぐらいかと思っていたので少しショック。ここでもう1枚着込んで7枚となる。

 一休みした後、再び登り始める。若いガイドの後を必死について行く。疲れる。足が思うように動かない。日本では未体験の高度でやたらしんどい。酸素が薄いとこれほどまでにきつくなるのか。

 ここで、少し吐き気がしてくる。だが幸いな事に頭痛は殆どない。動悸もない。手袋が薄手なので、ポケットに両手を入れるが、それでも痺れてくる。疲労、眠気、吐き気との壮絶な闘いだ。

 薄暗い中、ザンジバル島で大淵さんから借りているヘッドライトが大変役に立つ。眼を開けたり閉じたりしながら、夢遊病者のようにフラフラとガイドの後をついて行く。

 5151m地点で同グループになり、自分より後から出発した10人ぐらいの全員に抜かれ、時々立ち止りながら懸命に足を動かす。こんな状態で果たして頂上まで辿り着けるだろうか⁉


 前回の初挑戦の時は吐き気と動悸に頭痛でどうにもならなかったが、今は動悸も頭痛も殆どない。単に、疲労に吐き気と眠気が加わった程度だ。頑張らねば。

 マラソンレースと違って、関門時間は無い。己が頑張りさえすれば必ず登頂できる。そうだ、頑張りさえすれば。

 

『頑張れ、賴』


 必死に、自分を励ました。

 


 

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