第17話 プリズン島
プリズン島へはモーター付きの小さなボートで渡る。昔は囚人用の監獄のみの島だったようだが、今は自然の美しい小さな島である。ザンジバル島から3キロなので水泳のの得意な人なら泳いで行ける。
浜辺からなのでボートまで海水の中を歩かねばならない。大淵さんが美智子さんをおぶる事になった。私が3人分の荷物を持った。美智子さんをボートに乗せる時あわやの危機だったが、何とか彼女は海水浴をせずに済んだ。2人は身長はほぼ同じ(167cm)であるが、見た目は美智子さんの方が脚が長く、下半身が逞しい。
そんなわけで、モーター付きに乗船前に、我々の方がモーターついたのだが、何はともあれ無事乗船できた。
監獄の島には30分で到着した。周囲1kmの島を、昼食まで2時間ほどかけて3人で一周してみる。1軒だけの古いホテルの近くにはゾウガメが10数匹遊んでいる。甲羅には背番号がふられている。
遅い昼食後、3人でビーチに入ってみた。砂の美しい事。手で救って腕や胸に擦りつけてみた。気持ちが良かった。浅瀬は狭くすぐ深くなり、その上引き波が強いので泳げるスペースは限られているが気持ちよく遊べた。
2人のはしゃいでる姿をヴィデオに収めた。
海水浴の後、背番号18のゾウガメの背に乗ってみた。平気な顔をしている。2人にも奨めて、交互にヴィデオや写真を撮った。楽しいのが撮れた。
(今なら、スマホでその場で動画も静止画も見られる。この時代は帰ってからのお楽しみだった)
夕食はオムレツしかできないと聞き及び少しガッカリしていたが、何故か急にチキンが出る事になった。今まで生きていたのを絞めたのだろうか? しかし肉はかなり硬めだったので、冷凍したまま忘れていたのかな? 昼食時は他の人の姿も何人か見られたが、夕食時は我ら3人だけだった。彼等は日帰りか? それとも1日早かったのか? いずれにしても、島を独占しているようで良い気持ちだ。
3人で山小屋(海小屋?)みたいな古そうな部屋に泊まった。少し蒸し暑く寝苦しかった。
翌朝は少し雨が降ったりしたが、朝食後には徐々に晴れ間が広がってきた。一人ですぐ眼の前の浜辺を歩いてみる。まあ、いるわいるわ。いや、これは素晴らしい。ヒトデ、ナマコ(ウミウシかも?)、サンゴ、イソギンチャク、カニ、熱帯魚、岩のような姿の魚(オコゼ?)、その他正体不明の生物数種。ただただ感動して、夢中でヴィデオを回した。
特に眼を引いたのは大きなイソギンチャクに小さな魚が戯れている姿。指を持っていくとイソギンチャクの中に隠れたり、逆にこちらの指にぶつかってきたりする。
(この時は、いろんな海の生物が新鮮に眼に映りました。今は、TV等で観られますが、イソギンチャクとクマノミの関係も知らず、オコゼとも初対面だったのですごーく感動を覚えた事でした)
このプリズン島は干潮時には波打ち際まで、ウニ、ナマコ(?)、ヒトデがサンゴ礁の上にウジャウジャいて、足の踏み場もないぐらい。昨日はこのような場所で泳いでいたのか⁉ その先は急に深くなっているし、引き波も強いので、怖くて足を踏み入れにくい。底の方にどんな生物が棲んでいるやも。
昼食は13時30分からと少々遅すぎだが、タンザニアだから我慢しよう。大淵さんは日射病か、頭がフラフラするそうなので、部屋に戻って横になった。彼の昼食は部屋に持って行った。
午後からは干潮が治まったので初めてシュノーケルと言うモノを使ってみたが、口のサイズが合わないようで海水が入ってくる。シュノーケルを外して水中メガネだけにしたら楽だった。息止めは結構できる方なので。
私は小さな熱帯魚をたくさん観たが、美智子さんは昼食に食べたような大きな魚を観たそうである。
今日も夕方、新しい上陸客があった。カップルがシャワールームを使っている時、30代と思われる日本人女性と少し会話を交わした。アフリカに来て半年だそうで、初めの3か月はナイロビでスワヒリ語を勉強し、アフリカを旅するには差し支えない程度の会話はできると言う。それは大したものだ。更に個人レッスンを受けてマスターし、現地人ともっと親しくなりたいそうである。実に素晴らしい。
予定通り、17時に迎えのボートがやってきた。30分後にはザンジバル島へ、そして再びフラミンゴゲストハウスへと戻った。やはり戸田さんは、昨日の大型船で戻っていた。




