第15話 ザンジバル島1日目
ザンジバル島は蚊の多い島のようだ。黄熱病の予防注射は10年間有効のものを日本出国前に打ってきている。一方、マラリアの予防薬は日本で購入したものを週1回服用している。故に蚊に刺された程度では罹る事はないとは思うが、血は吸われたくはない。このゲストハウスではベッドは全て蚊帳付きになっている。
子供の頃実家では夏は部屋ごとに一張りずつ吊っていた。ここでは天井に吊るされた蚊帳をベッドを包み込むようにして使うようだ。蚊帳とは懐かしいが、ベッド用のは初めてである。ベッド全体を包み込むには少し小さ過ぎて大の字にはなり難い。ベッドは硬めで使い易く、清潔感がある。
バス・トイレもスペース十分で、中からロックもできるので女性も安心して使用できる。
翌朝一番で4人で入国管理事務所に行き、滞在許可を得た。その後は換金したかったが本日はイスラム教の公休日とやらで、ナショナルバンクはクローズだった。それではと3組夫々でブラックマーケットにチャレンジする事にした。街を歩いているとよく声を掛けられる。『良いレートで換金しますよ』と言ってくるんだが、危ない橋は渡らない事にしているので今までは無視していた。しかしダルエスサラームと比べて人種はずっと紳士的に見えるので、一度トライしてみようと思う。ところがこんな時に限って誰も声を掛けてこない。
そんな時、港内で "People's Bank" を見つけた。ここでは、換金してくれると言う。名前からして庶民の為の銀行だと思われるので信用に値すると判断して、取り敢えず20ドルだけ換金した。ブラックマーケットはまた次の機会にしよう。
喉がカラカラで歩いていたら、ココナッツジュースを販売してるのに行き当たった。大阪の花博で好評だったモノの半分のサイズであるが、何と25シリング也。日本円で18円ぐらい。同じ量で比較すると約20分の1である。サトウキビジュースも25シリングだった。甘党の私はサトウキビジュースの方が好きだ。ココナッツジュースは絞らずそのまま飲めるので清潔である。どっちも飲んだ。満足。
昼食は、大淵さん、美智子さんと偶然一緒になったが、2人はゲストハウスのフロントで換金できたとの事であった。”灯台下暗し” である。
差し当たってタンザニア・シリングが入用なのではあるが、ゲストハウスで高率で両替できるとなれば、USドルのキャッシュが必要である。ゲストハウスのフロントで、T/C→キャッシュの両替は銀行で可能と聞き、翌朝行く事にした。
ところが行ってみると、ナショナルバンクでは不可で、"People's Bank" では可だと言う。そこで、前日訪れたばかりの ”庶民の銀行” に再度足を運ぶと、この場合は "Head Quarter (本店)" に行かねばならないとの事である。何とも面倒くさい。
整理をしてみるとこうなる。
1.USドルのT/C→キャッシュの両替ができるのは "Head Quarter" のみ。
2.USドル(キャッシュ)→タンザニア・シリングの両替ができるのは ”People's Bank" 及びブラックマーケット
(恐らく、ナショナルバンクでもできる。未確認)。
3.ナショナルバンクは日曜、祝祭日はクローズ。"People’s Bank” 及びブラックマーケットは年中無休。
ヘッドクウォーターへは若い黒衣の女性が車で案内してくれた。この女性は今回の旅でお目にかかった最高の美女だった。
年齢は19歳ぐらいに見えるが22歳だそうで、インド系かアラブ系の顔立ちをしている。途中に大きな病院の前を通り過ぎる時、
"I was born here."
と言っていた。身なりもきっちりしているし教養もありそう。性格も明るく英語もきっちり話す。こんな大きな病院で生まれたという事は、家柄も良いのであろう。
ケニヤのマサイマラ動物保護区で遇ったインド姉妹も相当の美少女だったが、インドやアラブの女性には美人がやたら多いと感じるのは自分だけなのだろうか⁉。
2ドルの手数料でキャッシュを入手でき、早速ゲストハウスの受付で両替して貰った。正規だと195Tシリングのところ、320Tシリングである。
夜、フランス人女性のバレリーさんも入れて、翌日以降の計画を論議した。希望が3つに分かれて夫々で行動する事になった。バレリーさんは東海岸の2泊3日のツアー、自分と大淵さん、美智子さんの3人は近辺の植物見学ツアー、大学生の戸田さんは1人で行動する事で決着した。




