表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/20

第10話 キリマンジャロ登山2日目~

 登山2日目。

 朝起きてすぐハット(山小屋)から出て周囲を見回した。足元から下の雲海がきれいだ。空気も清々しく気持ちが良い。今日は3750m のホロンボハットまで歩く。およそ1000m ほど上る事になる。

 朝食後、すぐ出発する。相変わらず自分は一人で周囲の景観を堪能しながらゆっくり歩く。このゆっくりをスワヒリ語で『ポレポレ(Pole Pole)』というそうだ。予め日本のガイドブックで知っていたが、ガイドのオッサンはよくこの言葉を使っていた。

 それにしても『Pole』がゆっくりなのか、はたまた『Pole Pole』がゆっくりなのかどちらだろう? まあ今はどちらでも良いけど 。


 昨日の初日は多種多様な高山植物(Mountain Flowers)と枝から根のようなのが無数に垂れ下がった樹木が随分見られたが、2日目の今日は自らの枯葉を太い幹にいっぱい纏った樹が随分見られた。それ以上に目を引いたのはホロンボハットのすぐ下数10mの場所で、首のあたりだけ白い、カラスによく似た鳥が10羽ほど戯れていた。これは高山カラスだろうか?


 ショックな事もあった。終盤になって6~7人の集団がタンカーを引いて下りてきた。タンカーには白人の若い女性が乗せられている。怪我ではないようだ。これが噂の『高山病』か⁉ 血が引きそうになる。気をつけねば。身が引き締まる。

 又、ハットに到着する直前に、マスクを着けた白人らしい若い女性が両脇を男性に抱えられてフラフラで歩いているのを見かけた。ますます血が引きそうになる。


 2日目も自分にとっては割合楽な山行だった。ただ、緩めの上りをポレポレと歩いてきたにも拘わらず、最後の方では脚に少々疲労を感じた。それに後半はずっと軽い頭痛がする。

 

 そんなこんなで12時45分、ホロンボハットに到着した。ここで標高3750m、日本の最高峰富士山頂とほぼ同じ高さである。標高差で言えば丁度半分辺りまで上った事になるが、五合目と言って良いのかな?


 同じグループの他の3人はみんな元気そうである。これでは弱音を吐けない。夕食までには時間はたっぷりあるので、4人でトランプで過ごした。途中から個人グループツアーで参加の日本人カップルも加わった。

 夕食は昨日と似たようなメニューだったが、空腹の為か今日の方が美味しかった。2日目で緊張がかなり緩和されたのだろう。


 夕食後は少し写真を撮った後、再び4人でトランプをした。

 今夜も星空は申し分なし。でも、頭痛はまだとれない。



 登山3日目。

 今朝も雲海が素晴らしい。ゆっくり朝食を摂った後、9時に出発する。今日はキボハットまで歩く。標高4500m だから750m ほど上るはずだ。スタートしてすぐ富士山頂を越した。まあ、富士山には登った事がないのであまり関係ないが。


 初日,2日目は楽勝かとも思われた山行だったが、そうは行かなかった。12時頃迄は高山病を警戒してポレポレ歩き。しかし標高4000m を超えた辺りから様子が変わってきた。風は強くなるし酸素は薄くなり何だか息苦しい。緩い上りなのに息が切れる。酸素不足がこんなに苦しいとは! ついに高山病に直面したようだ。


 周りを見回してみる。自分も含めて全員がゾンビのようなノロノロ歩きになっている。気温もかなり下がってきているのでみんな着ぶくれしている。昨日までとは景色が一変している。

 個人グループツアーで参加の若いカップルに追いついた。少し話し込んでいたら、ガイドに止まりすぎと注意を受けた。『Pole Pole』とは単にゆっくりでなく、『急がず、休まず』のようだ。星と同じである。


 ゾンビ歩きのまま、予定より大幅に遅れて15時15分、3人一緒にどうにかキボハットに到着した。

 先に到着していた若い見知らぬ白人男性が自分の飲んでいた温かい紅茶を一口飲ませてくれた。身体が冷えていたので有難い。


 この日は夕食は質素だった。何故だろう? 明朝は0時半起床である。ガイドも明日に備えて早く床に就くのであろう。

 夕食後、一時曇っていた空が見事に晴れている。最高に美しい星空だ。


 明日はいよいよ、山頂目指す。今回の旅最大のハイライトである。さあやるぞ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ