詐欺師放浪記
透明な服を売る詐欺師たち――いや、実は彼らはすべて同一人物だった。
その詐欺師たちは、巧みに姿を変え、話術を駆使して各地を渡り歩きながら金を稼いでいた。
そんな彼らが次に目指すのは、北限の国だった…
透明な服を売る詐欺師たち――いや、実は彼らはすべて同一人物だった。
その詐欺師は、巧みに姿を変え、話術を駆使して各地を渡り歩きながら金を稼いでいた。筋トレ国で一度は大金を手に入れたものの、筋肉自慢の武烈王による改革で再び商売ができなくなり、次なる国を目指すことにしたのだった。
詐欺師が次に目指したのは北の国。冬の厳しい寒さで知られるその地ならば、王や貴族に「透明な服」の美しさを売り込めると踏んでいた。しかし到着してみると、冷たい風が肌を刺し、息は白く凍りつくような寒さだった。
「透明な服を売るどころか、裸でいたら命が危ない!」
仕立ての実演すらできない状況に追い込まれた詐欺師は、王宮にすら近づけず、商売は大失敗。凍え死にそうになりながら、早々に北の国を後にするしかなかった。
北の国での失敗を教訓に、詐欺師は今度は暖かい南の国を目指した。灼熱の太陽の下、温暖な気候なら「透明な服」がより魅力的に見えるに違いない、と期待していた。しかし南の国に到着すると、さらに驚くべき光景が彼を待ち受けていた。
「なんだ、ここは…みんな裸じゃないか!」
南の国では、気候が暑すぎるため、もともと服を着る文化がほとんどなかったのだ。誰もが堂々と裸で歩き回り、服そのものが不要とされていた。詐欺師がいくら「透明な服」を売り込もうとしても、誰も興味を示さない。
「服なんていらないよ。邪魔なだけだ!」
詐欺師は途方に暮れ、南の国からも手ぶらで退散することになった。
失敗続きで資金も尽き始めた詐欺師は、途方に暮れていた。金を稼ぐためには、どこかで成功しなければならない。そんな中、とある噂が耳に入る。
「最近、君の故郷の国では王様が代わったらしい。とんでもないお人よしの王になったとか。」
詐欺師はその言葉に目を輝かせた。
「それはいい話だ!お人よしの王ならば、再び一儲けできるかもしれない。」
かつての故郷を後にしてから数年。新たな王の評判を聞きつけた詐欺師は、満を持して故郷の国へ戻ることを決意した。
詐欺師は心の中で再び計画を練り直した。
「次はどんな話をでっち上げようか。王が甘いなら、透明な服をさらに特別なものだと言い張ればいい。いっそ『神の衣』とでも名付けてやるか…。」
そうして彼は故郷の国へと足を進める。その顔には、悪だくみが浮かんでいた…