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同舟相救

 すばるのアパートには、沙月が夕食を共にするために訪れる日が増えていた。職場が近いこともあり、沙月にとっても気軽に立ち寄れる場所になっていた。


「ごちそうさま。」

 沙月が食べ終わった皿を重ね、洗い物を始める。すばるが手伝おうとすると、沙月は軽く笑いながら言った。


「いいよ、今日は私がやるから。」

「いやいや、そんなわけにはいかないだろ。分担しないと。」

「じゃあ、次はすばるがやってね。」


 そんな軽いやり取りが、二人の関係を自然に彩っていた。


 その夜、いつものように夕食を終えた沙月が時計を見て立ち上がる。


「明日もお互い仕事だし、そろそろ帰るね。」

 バッグを肩にかけようとする彼女を見て、すばるはふと提案した。


「近いんだし、今日は泊まっていけば?夜道を歩くのも危ないしさ。」


 沙月は少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑みを浮かべた。


「……そう?じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな。」


 それからというもの、沙月がすばるの家に泊まる日が少しずつ増えていった。彼女の持ち物が部屋に増え始めると、沙月はある日、少し考え込んだ表情で切り出した。


「最近、ほとんど家に帰ってなくてね。家の掃除とか全然できてないの。それに、住んでないのに家賃払うのって、正直もったいない気がしてさ。」


 すばるは少し考えた後、静かに提案した。


「それなら、いっそのこと一緒に住むのはどうかな?家賃も折半できるし、お互いまだ勤務始めて1年しか経ってないから、貯金もできるだろうし。」


 沙月は驚いた表情で彼を見つめた。


「えっ……でも、それって迷惑じゃない?すばるに負担をかけちゃうよ。」


 すばるは一瞬、眉をひそめながらも、少し笑って沙月を見た。


「いや、むしろ助かるよ。実は僕、部活の顧問をやっててさ。バスケ部なんだけど、主顧問がいない日は僕が全部見ることになってて、帰宅が夜遅くなることが多いんだよね。」


 沙月は驚いたように目を見開いた。


「バスケ部?確かにすばるってバスケ好きだったけど……そんなに遅くなるんだ。」


「うん、バスケ自体は好きだから楽しいんだけど、部活ってほとんどボランティアみたいなもんでさ、正直まいっちゃうよ。だから、もし沙月がいてくれて家事とか手伝ってくれると、僕もすごく助かる。」


 すばるはそう言って、沙月を真剣に見つめた。


「迷惑なんて思わないよ。それどころか、僕にとってもメリットがあるし、沙月にとっても無駄がなくなると思うんだ。」


 沙月はその言葉に少し考え込んだ後、ふっと笑みを浮かべた。


「……そうだね。そういうふうに考えると、いいかもしれない。」


「でしょ?」


 すばるの提案を受け入れる形で、二人は一緒に住むことを決めた。表向きは「経済的な理由」や「利便性」を理由にしていたが、すばるの心の奥底には、沙月を支えたいという責任感と、彼女を一人にすることへの不安が渦巻いていた。

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