ミッドウェー海戦の兵装転換 7
もうひとつ。
被弾した三空母の被害について。
もちろん当時の日本海軍のダメージコントロールの状況では飛行甲板に直撃を食らった時点で発着艦不能になる。
つまり、三空母が戦闘不能で残りの戦いは飛竜単独のものになるのは史実と同じ。
問題は沈没まで進むのかということである。
では、三空母の被害状況を見てみよう。
赤城。
飛行甲板の中央と後部に直撃弾二発。
加賀。
飛行甲板の前部と中央に直撃弾四発。
蒼龍。
飛行甲板の三基のエレベータ付近に各一発、計直撃弾三発。
赤城と加賀は格納庫内で待機していた艦攻搭載の魚雷と取り外した八百キロ陸用爆弾に誘爆したことが沈没に至る被害の原因とされるものの、誘爆したのは魚雷ではなく艦爆の二百五十キロ爆弾であったにもかかわらず大損害を被った蒼龍の被害状況を調べると、この時には帰還してきた第一次攻撃隊用に装填するために魚雷を格納庫内に並べられていたという。
今回はこれを参考にする。
そうなると、第二次攻撃隊が飛び立ち、格納庫には帰って来た第一次攻撃隊が並ぶ。
当然次の攻撃準備のため、弾薬庫から爆弾や魚雷が運び出され装着が始まっていたと思われる。
そこに直撃弾。
おそらく蒼龍は史実と同じように沈没は免れなかったと思われる。
問題は赤城と加賀である。
赤城については史実では直撃弾によって舵故障が起きているので、当然これは起こる。
誘爆は艦爆十八機分の二百五十キロ爆弾。
沈没は免れたかもしれないが大破は確実。
加賀については誘爆は艦爆十三機分の二百五十キロ爆弾。
元戦艦だけに頑丈だったようだから、こちらも意外に沈没まではいかなかったかもしれない。
ただし、艦橋が破壊されるなどおそらく航行不能の状態になったと思われる。
ということで、ここでも三隻の空母は戦闘不能。
蒼龍は沈没。
加賀と赤城も自力航行不能という状態で、第二次攻撃隊が戻ってきたときに着艦できるのは飛竜のみということになる。