ミッドウェー海戦の兵装転換 21
まず日本軍から見てみよう。
上空で敵を警戒している戦闘機は発艦と着艦を繰り返さなければならないが、限度を超えた数の航空機を受け入れたために飛竜は一時的発着艦不能な状態に陥っている。
それを解消するためには戻って来た航空機を一刻も早く格納庫に収容しなければならない。
この状態で一発食らえば即終了となるところであるが、ありがたいことにアメリカ軍も同様の作業をおこなっていたため襲撃はなかった。
だが、当然のようにここで相応の数を投棄しなければならなくなる。
さて、ここで考慮しなければならない重要なことがある。
飛竜に積まれている魚雷の数である。
当然のように空母には多数の爆弾や魚雷が積まれているのだが、飛竜の規格を見ると、魚雷の搭載数は二十七本。
つまり、艦攻のうち二十七機しか魚雷を装着できないということになる。
もちろん爆弾は抱えて攻撃することは可能だが、数を減らすことを迫られている中では当然優先的に艦攻は削られる。
飛竜に着艦できた第二次攻撃隊は、戦闘機二十九機、艦爆十九機、艦攻十八機。
上空に上がって防空に当たっている戦闘機が十一機。
そのほかに偵察機一、故障中の艦攻一機。
さらに攻撃準備をしていた戦闘機六機と艦攻十機。
艦攻だけでみれば二十九機。
ここで格納庫にある故障中の一機と史実では友永大尉が乗る燃料タンクを撃ち抜かれた艦攻が廃棄処分になる。
これで二十七機確定。
続いて艦爆。
ほぼ定数である十九機であるためこれもこのまま。
それから有用性が証明されている偵察機が一機。
そうなると、投棄対象の大部分は戦闘機となる。
飛竜の格納庫に入るのは五十七機
とりあえずこの数をそのまま利用すると、格納庫に入れられる戦闘機は十機。
そのうちの六機はすでに格納庫で整備中なので残り四機。
残り二十六機のうち数機は飛行甲板に駐機させても、大部分は投棄せざるを得ない。
ということで、現在の飛竜の艦載機数。
戦闘機は格納庫内十機、上空に十一機、飛行甲板に三機、合計二十四機。
爆撃機十九機。
攻撃機二十七機。
偵察機一機。
合計七十機。
戦闘機の大部分は飛行甲板に係留という形になるが、非常事態であるので大目に見ることにしよう。
なお、燃料と機銃と弾を積んで発艦させ、燃料切れ後は不時着させるという手もあるように思えるが、それを戦闘から帰ってきた搭乗員におこなわせるのはカタログスペックだけで戦闘を考える者の思想。
当然ここではその手は不採用とする。




