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60.0 『王と悪魔と』


 ナーコが先に口を開いて質問を投げかけた。


「先に聞きたいんですけど、悪魔たちへの願いは『アヤネちゃんを幸せにする事』と聞いています。なぜ目覚めただけで対価が必要になるんですか?」


 その言葉を聞いてタロットが俯く。

 顔が青ざめた様子で俺の服の裾を握ってきた。

 それを見て魔王が杖をカチッとついてから答える。


「『そんなに待てない、目覚めたら先に対価を寄越せ、そうすれば幸せにしてやる』そう言ったのは誰だ?」


「ァ……アタシが言ったッス……今は……すごく後悔してるッス……」


 タロットがまた涙を浮かべてそう言った。

 百年前はタロットから魔王への敬愛など無かったのだろう。

 ナーコが沈んだ表情でタロットの頭に手を置いた。

 

「ごめんタロットちゃん……」


 魔王はそんなタロットに目をやると、少し優しげな溜息をついてから言う。


「別に後悔する必要はない、タロットが言わなくても誰かが言っていた事だ。たまたま最初にタロットが言った、それだけだ」


 なぜ、ここまで相手を思いやれる人が、強引に自分を差し出さなければならないのか。

 この戦いは理詰めや論破で勝利すべきものではない。

 タロットの望みを叶えさせてやるだけでいい、もっと言えば、『魔王を喰いたい』以外で叶えられる望みが言えれば俺たちの勝ちなのだ。

 この魔王を生かす道を切り開ければそれでいい。


「タロットが王様に好きな料理を聞ければ、俺たちの勝ちでいいんだよな?」


「好きにしろ、そうなれば俺はそれを教えるだけだ」


 無愛想にそう言う魔王の横からベリトが口を挟む。


「嘘をつかずに『喰わせろ』以外を望む方法があるならァ、ボクが責任もって七十二柱全員に知らせよォ」


「約束ですよベリトさん」


「あァ約束だァ、ヘンミカナコ」


 『バルベリトの呪い』のかかった首飾りを握りしめたナーコが約束して、ベリトが引き受ける事で勝利条件は明確になった。

 そこに魔王が気だるく問いかけてくる。


「こっちはお前達二人に褒美を与えたら終わりだ、さっさとお願いでもなんでも言え」


 とにかく俺は挑発でもなんでもして、穴を作る。

 このいつも気だるげな魔王を怒らせる、困らせる、めんどくさがらせる事を最優先に言葉を選ぶ。

 片手でテーブルを叩き、精一杯の嫌味を混じえて俺は言う。


「王様さ、アンタちょっとケチ臭すぎるだろ、なんでアンタに生きて欲しいってだけのタロットの望みすら叶えてやらないんだよ」


「さっきも言っただろう。俺の血肉や魔力を欲しがる者がいるかもしれない。というかその可能性が極めて高い。本来、悪魔とはそういうものだ。タロットにしても今は少し情が湧いているだけだ。千年も過ぎれば『喰っといて良かった』と思うんだよ」


「ぞんなこど思わないッズッ……!!!」


 タロットはそう言うが、魔王も本心でそう思っているのだろう。

 七十二柱の事を思っているからこそ、自分の血肉を喰わせ、後悔しないようにチカラを与えたいと思っている。

 ナーコはその意図を理解しつつ、魔王に問いかけた。


「だから順番にしたんですよね?」


「そうだ、こいつらは悪魔だが思いやりがある。全員を集めればその場の空気に流される者も居る。『本当は喰いたかったのに』と思う者が必ず居る筈だ」


 順番に対価を聞いていく理由がこれだ。

 『生きてほしい』という望みは、『喰いたい人がいるかもしれない』という理由で却下されてしまう。

 でも、それは逆だって同じだろう。

 『喰いたい』という望みは、『生きてほしいと言う人がいるかもしれない』から却下されるべきなんだ。

 でもそうはならない。

 つまり、魔王自身が喰われる事を願っている。


「違います。先生は自分を罰してほしいだけです」


「なんだそれは」


 魔王が不快感を表情に出してそう言った。

 眉間に皺を寄せ、頬杖をつきながらナーコを睨みつける。

 が、ナーコはその威圧に一歩も引かない。


「先生は強欲ですよ。罰まで願ってるじゃないですか……!」


 ナーコがタロットの肩を抱きながら魔王に、そう詰め寄っていくが、魔王はそれを呆れたように突き返してくる。


「なんでわざわざ自分への罰なんて願うんだよバカバカしい」


「願ってるじゃないですか! じゃあなんでわざわざこんなに回りくどい事してるんですか……! 自分を罰してほしいからじゃないんですか……!」


 魔王は足を組み替えて、杖でナーコを指しながら、開き直ったように答える。


「はぁ……もしそうならなんだと言うんだ、ただの利害の一致だろう」


 ナーコはタロットとベリトに目をやって、テーブルを叩いて魔王に身を乗り出す。

 

「そんな言葉で済ませないでください! 願いが一つ叶ったら、またすぐ次の願いですか!? こんなに凄い悪魔たちに、何個も何個も願いを叶えさせようなんて、先生は強欲ですよ!」


 ナーコの言う通りだ、罰まで願っているのだとしたらあまりにも強欲すぎる。

 この言葉を聞いたベリトが、魔王の後ろで手を叩いて笑い始めた。


「クククク……ッ!! アッハハハハハ……ッッ!! 確かにそれァ強欲だなァ王様ァ!! ボクたちをここまで巻き込んでおいてェ、二つも願いを叶えよォなんて強欲すぎる!! ほらァ言えたァ、言えてしまったァ!! ボクァ本心からアンタの事を強欲だと思っているんだぜェ?」


「アタシも今……ソロモン様の事……強欲だと思ってるッスよ……!」


 そしてタロットも同意して魔王を睨みつけるが、魔王は表情を崩さず、ベリトの首にかかったペンダントを杖で指して言う。


「お前が付けてたこのペンダントと同じだ、主作用と副作用だよ。副作用も人によっては願いになるって事だ。だから利害の一致だと言っている」


 この言葉でナーコも魔王を睨みつける。


「じゃあ『七十二柱』の事も副作用で済ませるんですか……?」


「どういう意味だそれは」


 そしてナーコは涙をこぼすと、声を震わせながら魔王に言う。


「仲間まで……出来てるじゃないですか……ッッ!! もう貰いすぎですよ……!! ベリトさんは……自分たちの事を『道具』だって言ってました……でもそんなの……絶対違うじゃないですか……!! もうこれ以上……願う必要なんて無いじゃないですか!!」


「今それは関係ない話だ」


 泣きながら訴えるナーコに見向きもせず、その意見を突っぱねる魔王。

 そしてナーコはついに、自分への褒美をねだる。

 涙を拭って、魔王をまっすぐに見てこう叫んだ。


「なら私へのご褒美は『七十二柱』の事を、本心でどう思ってるか教えて下さい! 本当は『仲間』だって……そう思ってるんじゃないんですか……?」


 怯えるように俯くタロットと、したり顔で腕を組んで魔王を見るベリト。

 魔王は二人を見てから深くため息をついてこう言った。


「『仲間』などではない」


「……そんな……嘘……ッ!」


 ベリトは「ほらな」とでも言いたげに、したり顔でこちらを見てきた。

 タロットは俯いて、寂しそうな表情で笑っている。

 が、すぐに魔王はこう言ったのだ。



「『家族』だ」



 耳を疑ったような表情を見せたタロットだったが、ゆっくりナーコにしがみつくと、声を上げて涙を溢す。


「ァ……アダジもッ……アダジもソロモン様をッ……家族と思っでまずッ……ッ……あ"ぁッッッ……」


 ナーコはそんなタロットを優しく抱きしめながら、冷静に次の一手を思案していたが、俺は違和感に気づいた。


 この魔王の一言に、一番の驚愕を見せていたのはベリトだった。

 常に魔王の後ろで、したり顔を浮かべていたベリトが、目を見開いて魔王を凝視していたのだ。


 すぐにベリトは裏切られたような目つきで魔王を睨み、怒りに満ちた声を絞り出した。

 

「おィ……嘘だろ王様ァ……! なァ……嘘に決まってるよなァ……!」


「嘘ではない、それに『七十二柱』だけではない。その配下、その部下。何万という『家族』が出来てしまった。さっきヘタクソの言った通りだ、既に貰いすぎているんだ、相応の対価を払わずに済ませていいような願いではなくなっているんだよ」


 ベリトはそこまで聞くと、魔王の後ろからゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

 そのまま魔王を横目で見やり、愛想を尽かしたような表情で通りすぎた。

 魔王がここで初めて驚いた表情を見せ、少し言葉につまりながら問いかける。


「おいベリト……貴様なんのつもりだ……」


「なんのつもりって王様ァ、ボクが誰の味方をするかはボクが決めることだァ」


 ベリトが俺たちと肩を並べ、魔王を見据えてそう言うと、魔王は腰を浮かせ、声を荒げる。


「違う……少なくともお前は……ッ! お前だけは俺を喰いたがっていた筈だろう……ッ!」


 タロットがベリトを睨みつけて「キサマ……!」と言うが、ベリトはそれを気にすることもなく、魔王に向けて語りかける。


「先に裏切ったのァそっちだぜ王様ァ。ボクァ百年間、ずーっと『道具』のつもりだったんだァ。アンタがそう思ってくれている限りはァ、最後に喰ってあげようと思っていたんだけどねェ……」


「お前の……今の望みはなんだ……言ってみろ……」


「はァ? 『家族』に望むことなんかァ、そんなの一つしかないだろォ」


 そしてベリトは王冠をクルッと回すと真剣な面持ちに変わり、魔王を真っ直ぐに見てこう言った。



「ボクァ今ァ、アンタに生きてほしィ」



 それを聞いた魔王は、苛立ちを顕にするように机を叩いた。


「どいつもこいつも……! 情にほだされすぎだ……!」


「クハハッ、魔王の側近が勇者に寝返るなんてアツい展開じャないかァ。アンタもこういうのが好きな筈だぜェ? なァ王様ァ」


「クソ……もういい、ヘタクソへの褒美は与えた、これ以上喋るな」


 それを聞いて横のナーコを見ると、喉を押さえて口をパクパクさせている。

 

「ナーコに……何をしたんだ……」


「声が出せないだけだ、そしてタロットも料理がどうこうの望みはまだ言えないだろう、どっちにしろ俺の勝ちなんだよ」


「い、言えないッス……」


 タロットはそう言って首を横に振った。


 

——王様の気持ちが分かったところで、タロットが望みを聞けるかは別問題……。あとは俺の褒美だけ……俺がミスったら全部終わりだ……俺がミスったら……。



 そう考えて混乱しかけたとき、ベリトが肩に手を回してきた。


「ボク達の望みはお前に託したぜェ、勇者様ァ?」


 このベリトの言葉で冷静になれた。

 残りの手札は俺の褒美一つ。

 最低の方法でもいい、狡猾に騙せばいい。


 そして俺は、タロットに掌を向けてこう言ったのだ。



「なら俺への褒美は、タロットの胸を触らせてくれよ」



 少しの時間が流れたが、すぐに呆れ顔の魔王から回答がある。


「それはタロットに言え、俺の所有物ではない」


 そしてタロットも俺を叱りつけてくる。


「ハルタロー……なに訳わかんない事言ってんスか……まさかふざけてんスか……?」


 ナーコも俺を睨みつけていた。

 でもそれでいい、嫌われてもいい。

 この褒美が叶えば、タロットはきっと好きな料理を聞ける。

 俺の中のドス黒い下心に向き合えばいい。


「いやぁ実はずっと触ってみたかったんだよ、タロットの胸、身体は小さくて細いのにボリュームあってさぁ。ナーコなんて何度も何度も触ってんだぜ? ズルいだろう」


「俺が知ったことではない、それはタロット自身に言えと言っているんだ」


 そして嫌味を込めて、肩を竦めながら言うんだ。


「本当になんにも叶えられないんだな、王様」


「お前がよくわからん事を言っているだけだろう」


「じゃあ王様の杖をさぁ、この机に置いてくれって言ったらどうだ? この願いは叶うのか?」


「問題ない、それでいいならすぐに叶えてやる」


「それは100%叶うのか?」


「しつこいな、叶うよ、100%だ」


 魔王は『100%』と言った。

 それなら俺は、タロットにも同じ質問をするだけだ。


「タロットもこの願いは『100%』叶うと思うか? 本当に、何が起こっても必ず叶うと思うか?」


 ここまで言うと、タロットは両手をテーブルに乗せて立ち上がり、何かを思い出したように呟いた。


「ちがう……100%じゃないッス……」


「タロットまで何を言っているんだ」


 呆れた表情の魔王を無視して、タロットは天井を見上げ、震える声を絞り出すように言う。


「隕石が落ちてくるッス……」


「何を言って……」


「だからさぁ王様ぁ」


 そして俺たちは、声を揃えて言うんだ。



「隕石がドカーンって落ちてきたら全部無くなっちゃうッス」

「隕石がドカーンって落ちてきたら全部無くなっちゃうんだよ」



 タロットは目をキラキラさせて、俺の手を胸の近くで握った。


「ハァ……めんどくさい奴らだな本当に……」


「王様さっきさぁ、副作用も願いって認めてたよな? ならその杖を机に置けばもしかしたら、何かしらの副作用があって、限りなく低い確率かもしれないけどさぁ、俺はタロットの胸を触れるんじゃないか?」


 魔王も言いたい事に気づいたんだろう。

 深々とため息をついて、天井を見上げ、ダラリと手を外に投げ打って、やる気なく答える。


「あーそうだな、副作用で触れるかもしれないな」


「タロットの真の望みはアンタに生きてもらう事だ。 ならさ、好きな料理を聞いた副作用でそれが叶うかもしんないよな? 副作用に賭けた対価を望んでもいいって事だ」


「もういいから、さっさと好きな褒美を言え」


 タロットは涙をボロボロボロボロ溢しながら、俺の手を掴み、自らの胸に押し付けるタイミングを、今か今かと待っている。


「ならその杖、机に置いてくれ、俺への褒美はそれでいいよ」


 魔王がめんどくさそうに杖を机に置いた瞬間。

 すぐに俺の手がぐいっと引かれ、柔らかく、弾力のある胸に押しつけられた。

 タロットが目から涙を零して、俺の左手を引っ張り、嬉しそうに自分の胸にグイグイと押し付けている。


「王様、叶っちゃったよ! 副作用に賭けて適当なご褒美をもらったら、真の願いが叶ってしまった!」


「あぁそうか、そりゃよかったなぁ」


 いつもの無愛想な声で、魔王は気だるげに椅子をぐらぐらと傾けながらそう答えた。


「なんズがぁもぉ……ッ! ゾロモン様゛ッ……妬いでるんズがぁ……ッ!?」


 ぐいぐい俺の手のひらを自分の胸に押し付けながらタロットは、泣きべそかいて魔王をからかう。


「調子に乗るな、さっさと望みの対価を言えタロット、どうせもうとっくに言えるんだろう」


「アダジッ……アダジだけにッ……ッ……ゾロモン様の好きな料理をおじえでッ……!」



 ようやく望みを言えたタロットは泣きながら俺に抱きついてきた。

 そして二人でガタガタっと椅子から転げ落ちたその時。



「ダメだ」



 魔王がそう冷たく言った。



——は?



「なんッッッ……なんでぇッッッ……!!!!!!」



——なんでだ……! ここまで来てそれを叶えないなんて、そんなのもうただのワガママだ……!



 タロットは悲痛な声をあげて立ち上がり、魔王に詰めよるが。

 それを見上げた魔王は呆れたような声でこう言った。


「『だけに』を外せバカタレ、勝利目前で新たな欲を出すな、同じ望みの者が居たら叶えられんだろうが」


 魔王はそう言いながら、変わらず椅子を横着に傾けている。



——この人は本当に……。



「イ……イジワルしないでくださいよォ!!! もぉ!!!」


 怒ったタロットは、魔王の椅子を勢いよく蹴っ飛ばす。

 魔王はそのままドシッと床に尻もちをついた。


 これはしょうがない、今日の反抗くらい許されていい筈だ。


「肉じゃがだ」


 立ち上がる魔王からはそう聞こえた。

 明日からこの城の飯は、肉じゃがだらけになるんだろう。


「ハルダぁ……やっどじゃべれだぁ……! ハルダ偉いいぃ……! ぇぐっ……ぅえっ……ダロッドぢゃぁぁん……よがっだぁぁ……!」


 喋れるようになったナーコが、泣きながらタロットと抱き合っていた。

 そこに水を差すように、舌なめずりが聞こえてくる。


「いやァ初めてだァ、初めて王様の敗北を見れたァ! 最高だァ、キミ達最高だよォ」


 ベリトが手を叩いて大喜びしていた。

 ベリトについては俺だって言いたい事がある。


「なんだよ、お前が王様喰いたがってたなんて知らなかったぞ」


「どォかなァ、ヘンミカナコは気付いてたみたィだけどねェ……」


 すぐにナーコを見ると、訝しげに顎に手をやり、ベリトを眺めていた。


「ナーコ……そうなのか……?」


「なんとなくだけど……狡猾なベリトさんが順番最後にするなら、なんかあるなって……。私たちを使って全員が適当な望みを言えれば、最後にベリトさんが独り占め出来る訳だし……」


「それだよォ、やっぱ最高だなァこの女ァ」


 この会話を聞いていたタロットが、歯を剥き出してベリトを睨みつけている。


「お前……殺されたいんスか……?」


「もうそんな事思ってないから安心してくれェ、今は嘘がつけないのはお前も身を持って知ってる筈だァ! まさかねェ……『家族』とまで言われちャねェ……」


「あれが無かったら料理が聞けても、最後にベリトが王様を独り占めして喰ってたのかよ……笑えねーだろ……」


「ボクァこうやって生きてきたんだァ、悪魔らしィだろォ?」


 そんな後語りを四人でをしている中、魔王はダラダラと椅子を傾け天井を見上げていた。

 そして目線も合わせず、杖先だけをこちらに向けて、気だるく叱りつけてくる。


「いつまでベラベラと喋っている。もういいだろう、お前らさっさと出ていけよ、ベリトは最後でいいんだな?」


「あァ、頼むぜェ王様ァ」


「ベリトさん、他の悪魔達にもこの事……」


「わかっているさァ、ボクが責任をもって七十二柱全員にこの顛末を伝えよォ。ヘンミカナコとの約束は破れないからなァ。ただし、本気で王様を喰いたがってる奴がいたら止められない事は分かってくれよォ?」


「それは……そうかもな……」


 ベリトの言葉に一抹の不安を覚えたが、それは杞憂となった。

 魔王は心から悪魔たちに慕われていたのだろう。

 この後、魔王は他の七十二柱から、個人情報を根掘り葉掘り聞かれるのだった。


 そして、ここにようやく、当初の目的『魔王討伐』が達成された。



◇ ◆ ◇

 


「ねぇハルタぁ、別にタロットちゃんのおっぱい触る必要は無かったと思うんだけど?」



——さーて、この裏ボスをどうやって乗り切ろうか……。



読んでくれてありがとうございます。

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