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38.0 『魔王の審判』


「おいネビロス、この話は本当か?」



——ネビロス……?



 タロットがそう呼びかけると、目の前に黒い大量の粒子が現れ、それが宙に渦を巻いて大きくなる。

 そしてそこから、片膝をついた太い腕の大きな悪魔が姿を見せた。



——ネロズ……!!!



 アタマには牛のような二本の大ツノ。

 タロットやベリトと同様に翼を生やし、上半身が異様に大きく、対比して翼が小さく見える。

 ギブリスで見た時より、一回りも二回りも膨れ上がっていて、路地でこの姿を見かけたら俺は一目散に逃げていただろう。

 二の腕には闘牛が争っている紋様が浮かんでいた。


「いえ、アスタロト様のご命令通り、人間は組織に入れておりません」


「ニールくん、ネロズはこう言ってるッスけど? 嘘ついてんスかね?」


「あぁ………あああ………ッ!」


 もう見ていられなかった。

 いつも優しく微笑んでいた冷静なニールも、追い詰められるとここまで醜く顔を歪められるものなのかと。


「ありがとネビロス、ついでにそこの大扉片付けといて〜」


 ニコニコしながらそう言ってネロズに命令していく。


「かしこまりました、アスタロト様」


 そしてタロットはニールの顔面を床に叩きつけた。

 鈍い音をたてると前歯が折れて、鼻血を垂れ流し、呻き声をあげて蹲る。


「ぅぐッッッ……ぁがッ……」


 少し間を置いて、タロットは思い出したように、ネロズを睨みながら付け加えた。


「そうだネビロス、露天市の日の事で話があるッス、あとで部屋に来い」


 それを聞いたネロズは、ビクッと身震いして、そそくさと大扉を持って奥の扉に消えていった。

 すぐにタロットは俺たちに視線を移し、申し訳無さそうに声をかけた。


「ネロズについては二人からも思う所あるッスよね〜……申し訳ねーッスぅ……」


 苦笑いを含ませて、小さなツノを爪でぽりぽりと掻いている。

 ナーコはそれに対して、どうしても聞きたかったように疑問を提した。


「だ、大丈夫なんだけどね……! 子供の誘拐だけがわかんないの……! ネロズさんの抱えてたあの子供はなんだったの??」


 それを聞いて俺も記憶が鮮明になった。


「そ、そうだ! タロット暴行事件はまぁ……なんとなくヤラセってのが理解できた……でも誘拐はわからない、俺たちは間違いなくネロズが子供を抱えているのを見たぞ」


 ここで魔王もタロットを見やって続いた。


「子供の誘拐? それは俺も知らんぞ」


 魔王にまで詰め寄られると、流石のタロットも苦笑いを浮かべながら話し始めた。


「い、いやぁ〜……あれ実は迷子なんスよ〜……アジトの前で子供が泣いてたみたいで……ほっときゃいいのにあのバカはホンットにもぉ〜〜!!」


 魔王が呆れたように、溜息をつきながら頭をぼりぼりかいた。


「ハァ……そういうのは人間に任せろよめんどくさい、構わなくていいと伝えておけ」


「ハイッ! 申し訳ありませんッス!!」


 タロットは立ち上がって敬礼のポーズをした。


「あっはは……なんかも〜、怖すぎてネロズさん撃っちゃったよ〜……」


 緊張が解けてナーコに笑顔が戻った。

 俺も釣られて頬が緩んでしまう。


「ほんとだよ、アレめっちゃくちゃ怖かったんだからな、マジで!!」


「ネビロスは優しすぎるんスよぉ……ちょっとハルタローに似てるッスね、目の前でなんかあると後先考えずに体が動いちゃうってゆーかぁ」


「うっわぁ〜、それすっごく分かりやすいね〜」


 ナーコは納得したように、俺のアタマにポンッと手を乗せた。



——俺は複雑な気持ちだよ? それ。



◇ ◆ ◇


 

 そしてまたタロットは、咳払いをして人差し指を立てながら話を戻した。


「そんでその迷子の日、ニールくんが『偽王国』について面白い事を言ってたッス」


 鼻が折れているのだろうか、蹲ったまま鼻血の止まる気配がない。


「言ってたね、『偽王国』の悪い噂とか……」


 ナーコがそう言うと、タロットはそのままニールを見下ろして続ける。


「そッスそッス、『偽王国』は腹の中に薬物を入れて密輸してるとか言ってて〜、それを聞いたアタシはピーンと来ちゃったッス」


「ぢがっ……ごべなざ……」


 そこにナーコが追い打ちのように笑顔で言う。


「ニールくんのお腹は空っぽなんだもんね〜」


「ぐぞぁッッ……がんげないぐぜに……ゲホッ……」


「あはは、ニールくんかわいそ〜♡」


 ナーコは見下ろして煽り、血まみれでそれを睨みつけるニール。

 タロットに対して『クソ女』と言ったことを心底根に持っているのだろう。

 俺は何があっても、タロットに汚い言葉を使わないと、固く心に誓った。


「そんでさぁ、ハルタローが勘違いした、アタシとニールくんのエッチ疑惑あったじゃないッスかぁ?」


「あ、あぁ……」



——正直もう思い出したくもない記憶だが、あの軋み音はどう聞いても……。



「ニールくんにお願いしたんスよ、『麻酔って気持ちいんスね〜、お部屋でもっとやってやって〜♡』って」


「既に悍ましくて聞いてらんねーんだけど」


「あっは〜♪ ニールくんはアタシとヤれると思ってウッキウキだったんスよ〜?」


「ぼぐに゛っ……なにを………」


「お部屋に着いたらいい雰囲気にしてやったッス、でもハルタローに聞こえないように気を遣ったつもりッスよ?」


 これにはさすがの俺も、声を張って自分の意思を主張するのだ。


「しっかり聞こえてんだよ!」


「マジッスか? 盗聴趣味でもあるんじゃねーッスかぁ?」



——聞こえちゃっただけだよ? ほんとだよ?



「そんでコーフンして、アタシの身体に手を伸ばしてきた瞬間に寝かせたッス〜♪ ニールくんの大好きな麻酔で寝かせてやったッスよ?」


 ソファで足を組むタロットが、ニールをニタついて見下ろしていた。

 ニールは鼻と前歯から血を流し、タロットをみあげている。


「ん"ん"ッ……ぐぞぁ……!」


 そして、タロットはその顔を満足そうに見た後、突然メイドに声をかける。


「サキュバスちゃーん、アレ持ってきて〜!」


 サキュバスは一礼すると扉に戻り、すぐにお盆に何かを乗せて戻ってきた。

 魔王の面前まで来ると、片膝をつき、お盆を差し出している。

 その上には長く真っ白のウィンナーが乗っている。


「うわァ、これかよォきったねェなァ……」


「しょーーがないでしょーー!! お仕事なんスからぁッ!!」


 俺は想像したくもなかった。


「これ……なんだよ……」


「昨日の夜、ニールくんのお腹から出てきたッス〜♪」


 それを見たニールは俯いて、息を荒げながら汗を垂らしている。

 ナーコは震えながら魔王に問いかけた。


「これの中……薬物ですか……?」


「おそらくな」


 そう聞いた瞬間、ナーコはニールに目を移し、見開きながら怒りを露わにする。


「やっぱりコイツは……生かしておくべきじゃないと思いますッ……!!」


 ニールは必死に目を逸らし、唯一の逃げ道である床に目をやって、鼻血を押さえながら震えている。

 そして魔王は俺たちに目を移した。


「ここで、お前達二人には認識を訂正しておくべき事がある。俺たちについてだ」


 ナーコが少し不安そうな顔をして魔王を見た。


「な、なんですか……?」


 俺もナーコも、生唾を飲み込みながら目を移す。

 さっきまでの和やかな雰囲気が変わった。

 ベリトは相変わらず寝転んで、興味なさそうに本のページを捲っている。

 タロットは寂しそうな表情で、少しだけ笑みを溢して俺たちを見た。

 

「ソロモン様ぁ、アタシから言わせて欲しいッス」


「いやお前は……まぁそうだな、お前から伝えてやれ」


 そのやり取りが不穏で、これからタロットに何を言われるか怖くなった。

 もしかしたらナーコは何か勘付いていたのかもしれない。

 優秀な幼馴染の事だから、ずっと見ないふりをしていたのかもしれない、涙目でタロットを見つめていた。

 そして寂しそうな顔でタロットが口を開く。


「別にアタシたちは正義の味方じゃないッス……ヒドイ事も沢山してるッス……目的の為なら人攫い、人殺し、拷問、人体実験、結構なんでもするんス……」


「あぁ、わかってる……今だってその一つだろ……」


 タロットの寂しそうな表情が見ていられず、別にこのくらいどうってことないんだぞと言いたかった。


「本来はこんな虫一匹の為にここまでしないんスよ……アタシやベリトはこんなの相手にしない。ソロモン様が出向いたりなんて絶対にあり得ない……配下が処理して終わりッス……」


 タロットの表情に耐えられずにナーコが身を乗り出す。


「わかるよ? 見てればわかるよ? なんでそんな顔するの?」


「でも今回は話が大きかった、コイツは国境跨いでる『シクラメン』っていうシンジケートの末端ッス」


 そこまで聞いたニールは顔をあげ、鼻血を詰まらせながら必死に声をあげた。


「な゛んで……ッ……なんでぞごまでぇッ……!!」


 見苦しい顔で声を出すニールから目を背けるように、俺はタロットに目を移して問いかけた。


「その組織がしてた薬物の密輸を……『偽王国』になすり付けようとしたってことか?』


「そうッス、それをわかっていながら……アタシはね……ナコちゃんを囮に使ったんスよ……」


「いや……だからそれはさっき聞いたって……」


 俺がそこまで言うとナーコが気づいたように口を開く。


「このペンダントも囮ってこと……?」


 それに対してタロットは俯いた。


「そうッス……それは売人からすれば喉から手が出る程に欲しい物ッス。転移先を変えるだけでノーリスクの密輸が出来ちゃう。それをアタシは、わざわざコイツの目の前でナコちゃんに付けたッス、それで……」


 ナーコは引っ掛かりが取れたように一人の名前を思いつく。


「北門のビックスさん……その『シクラメン』なの……? コイツが私たち以外に接触したのって……」


 ナーコがそう言った瞬間、ベリトの舌なめずりが聞こえた。

 そしてタロットも絶賛する。


「やっぱすごいッスねーナコちゃん。ビックスさんとニールくんは、わざと接触させたッス」


「ビックスさんって……北門で俺たちに水をかけてくれた……?」


「ビックスさんだけじゃないッス。衛兵のローべにトータッハ、貸奴隷のヤッド。全員『シクラメン』の一員ッス」


「ヤッドさんも……?」


 ヤッドさんはリーベンの大部屋で仲良くしてくれた。

 行方不明になったと聞いていたが、タロットたちが攫っていたのか。


 ナーコが名前を聞いて声を上げる。


「ローベさんとトータッハさんって……こっちに来てすぐ私たちを保護してくれた衛兵さん……!」


「あ、あの二人か!!!」


 ニールは変わらず俯いて鼻血を抑えている。


 タロットが足を揃えて座り直し、俺たちに向き合って、悲しげな笑顔を浮かべた。


「そいつらは今も拷問してるッス……別にそこまで大きな罪があるわけじゃないッス……」


 ベリトが手を上げぶらつかせて口を割ってくる。


「それをやってるのはボクだァ、ボクァ人間の苦しむ顔が大好きでねェ」


 ベリトは『タロットはやってないぞ』と言いたいのだろうか。

 ナーコが涙を浮かべて呟く。


「そんな……拷問……?」


 その顔を見たタロットは寂しそうに笑って続ける。


「昨日はナコちゃんにもっと酷い事をしたッス……そのペンダントを付けたまま、夜に一人で依頼に行かせたッス。わざわざ人気のない裏路地まで通らせたッス」


「揚げパンを買いに行かせたのはそういう……」


「そうッス、ナコちゃんが無事に帰った時、ニールくんが異様に驚いてたの、覚えてるッスか?」


「あ……」



——そうだ……。あの夜、俺がナーコの名前を出したあの時、ニールは大袈裟にナーコを心配をしてきた。ニールは事件を起こす側だから、その言葉をあらかじめ準備していたのか。だから直後にナーコが部屋に入ると一気に動揺して……。



「でも私……誰にも何もされてないよ……?」


「それは『偽王国』がナコちゃんを総出で警護してたからッス。だからその周囲で疑わしい行動をした人達は……その……」


 タロットが言い淀んでいる。

 俺もこの先を聞きたく無かった。

 聞きたく無かったが、聞かずにはいられなかったんだ。


「ど……どうしたんだよ……」


 俺の問いかけにタロットは悲しそうに微笑みながらこう言った。



「皆殺しにした」



「……ッ!」


 胸が締め付けられる思いだった。

 人が死んだ事もそうだが、でもそれ以上に、タロットがこんなに悲しそうな表情で話す事が、俺には耐えられなかった。

 さらにタロットは唇を噛み締めたあと、こう続ける。


「百人以上……殺したッス……」


 それを聞いたナーコが涙を流しながら呟く。


「この国から薬物を排除するために……私の行動だけで百人も……?」


「そうッス……きっと『シクラメン』とは関係ない、ただの物盗りもいたッス……でも疑わしきは全て罰してるッス……アタシは二人に合わす顔なんて……最初からどこにも無いんスよ……」


 目を逸らして悲しげに語るタロットの言葉で空気が重くなる。

 ニールと同じ組織の人間が多数なのは間違いないのだろう。

 だとしても昨晩だけで百人以上を皆殺し。


 数秒の沈黙のあと、ナーコが呟いた。


「すごい……」


 タロットは耳を疑うようにナーコを見た。


「へ?」


 そしてナーコは声を張り上げる。


「すごいよタロットちゃんッッ!!!」


 満点の笑顔になって、その声は止まらない。


「すごいすごいすごいすごい! やっぱり薬物なんてこの世にいらないんだよ! それを蔓延させる人間なんかもーっといらない! そんなの殺されて当然だもん! 情状酌量の余地なんてあるわけない! 完全なライン越えだよね! 窃盗も強姦も人殺しも好きにしたらいいよ! でも薬物は世界を壊しちゃうもん! いらないいらない! 反省できないよ! 成長に不要な物だよ! 取り返しのつかない物なんて世界にいらないんだよ! すごい! すごいすごいすごすぎるよタロットちゃん!」


 両手を広げ、目を輝かせ、俺の肩を揺すり、ソファに両手をついてタロットに身を乗り出し、ニールを足の裏で踏み付け、笑顔で大喜びするナーコは、まさに悪魔じみて見えた。


 ベリトは本から目を逸らし、唖然としながらナーコを観ていた。

 タロットも目を丸くしてナーコに尋ねる。


「ナコちゃん……? 話聞いてたッスか……? 疑わしいだけで、関係ない人もまとめて殺したって話なんスけど……」


「もっちろんだよ! その人たちは運が悪かったんだね~、交通事故みたいなもんじゃない? もぉ〜、タロットちゃん! なんでもっと早く言ってくれないの? 囮なんて私がいつでもやるんだから〜! あ、そーだ! 私がヤク中のフリして娼婦になるのはどうかな? きっとこういうゴミみたいな男が寄ってくるよ〜? あ、大丈夫大丈夫! こんな男に身体を触らせたりしないよ? すぐに手首切り飛ばしちゃうんだから! そしたらここに連れ帰って、ゆっくり拷問して出所吐かせればいいよ〜! ねぇ、そう思わない? ベリトさんッ!!」


 自分のカラダに魅力がある事を示すように、胸を寄せたり、下腹部を押さえたり、臀部にスカートを沿わせたりしてアピールをする。


 そのあまりのナーコの豹変に、常に気怠げだった魔王までもが言葉を失っている。

 そしてここまで狂っておきながら、タロットからは反対されると分かっているのだろう。

 わざわざベリトを選んで是非を問う、それはあまりに……。


「それはあまりに狡猾だろォ、ヘンミカナコォ……! だがすまなィなァ。賛成してやりたいがァ、アスタロトに殺されたくはなィんだァ……お友達のハルタロゥはどォ思うかなァ……?」


 ベリトがツノにかかった王冠を回してから、俺に話を振ると、ナーコは俺に期待を込めた眼差しを向けてくる。

 肩に掴まって、目をキラキラさせながら。

 おそらくここで反対などしたら、俺は一生ナーコから嫌われるんだろうな。


「お、俺は……」


 俺が言葉に詰まっていると、魔王から助け舟が出る。


「この話は保留だ、ここで決める事ではない」


「はぁーい」


 ナーコは不満げに返事をしていたが、俺は心底安堵した。


 そして仕切り直すように、魔王はタロットに告げる。


「続けろタロット」


「は、はいッス! えっと……そんで昨日から今日にかけてニールくんが逃げる可能性が非常に高かったッス! だからアタシはずっとベタベタして、気のある素振りをしてたッス! 皇国の大使もシクラメンかと思って警戒してたッスけど、こっちはただのバカでした! 今日は『不可逆の扉』が閉まるまで、逃がさないようにニールくんと手繋いでたッス! 手汗マジでキモかったッス! 以上ッス!」


 ソファに座りながらピシッと姿勢を正した。


 『不可逆の扉が閉まるまで』と聞いて思い当たる節があった。

 タロットは扉が閉まってすぐにニールの手を離し、ナーコにベタベタし始めた。

 そしてアイゼイヤ大使もそういう理由で警戒されていたのか。

 タロットがアイゼイヤ大使からニールを庇っていたのは、つまりメンバー奪還を警戒していたんだろう。

 


——下手したらアイゼイヤさんも殺されてたんじゃないか? 今は『ただのバカ』で済まされてるけど……。



 魔王は白いウィンナーを宙に浮かべた。

 メイドはカラの盆を持ったまま、ずっと片膝をついている。

 そしてウィンナーの白い皮が破られると、中からは半透明のザラメのような物がこぼれ落ちてきた。


 それを見たタロットが、魔王を見て問いかける。


「当たりッスかぁ?」


「あぁ、コイツの麻酔術と同じオピオイド系だな。まずは麻酔術で依存させ、土地を離れてから売人を使ってこっちを売りつけていく算段だろう」

 

「これ消しちゃった方がいいんじゃないッスかぁ?」


「ダメだ、『異物』は含まれてねーよ。人のいない海の上で燃やしておけ」


 サキュバスは盆でそれを受取ると、


「かしこまりました」


 そう言って奥の扉に消えていった。

 そして魔王が足を組み替えて頬杖をついて、気だるく話し始める。


「ニール・ラフェット。好き勝手喋ったが、いくつか質問があるんだ、聞いてくれるか?」


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