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恋続自殺未遂  作者: 西川希龍
第1章「WEBでの解決」
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第二話「決意」

キャラクターに『麗』というキャラがいますが、読み方は『うらら』ですので悪しからず。

佳子が未遂を行ったその日の午後。俺は授業中にも関わらず、考えことをしていた。それはもちろん佳子の復讐のことである。ふむ、生徒陣に復讐することは別に抵抗はないが、教師陣にするのはあまり気乗りしない。もしかしたら本当に悪意がなかった可能性もあるのだから。しかし、佳子をあそこに連れて行ってもいいものか。一応クライアントとして扱ってもいいかもしれないが。いや、そもそも正式に依頼されたものなのか。いや違う。これは個人的な頼みだ。頼るべきではないのかもしれない。いや、そうだとしても1人で解決できる問題だろうか。無理だろうな。パソコンの扱いやら盗撮・盗聴器の扱いやらも人より少し上手い程度にしか扱えない。やはりそこは専門家に頼むべきなのだろう。そう考えながら、俺が授業を右から左に流していると、教師から声がかかった。


「おい、一条何ぼーっとしてんだ。自分の行いに恍惚するのは別に構わないが、授業は聞けよ。それに俺はお前の行いを善とは思わん。お前がしたのは救う価値もない者を自らの株を上げるために助けただけの偽善行為だ」


その言葉に、俺の耳はピクッと反応した。そして、自分でもわかるくらい頭に血が上っていた。俺は教師の言葉に当然の疑問を返した.


「救う価値が……ない?」


俺のその言葉に教師は続けた。


「ああ。あんな身寄りもいなくて、障害持ち。いじめられても何もおかしくない。いじめられて当然だ。悲しむ人もいないし社会に貢献することもできない。あの時死んでおけばよかっ__」


そこまで教師が言った時、俺はカバンの中に偶々入っていた空き缶を投げつける。俺はその時気づいていなかったが、其の缶はアルミではなくスチールだった。幸い、俺の席は窓際最前列だったために、空き缶は真っ直ぐに、教師の額にクリーンヒットした。俺は思わず声を出してしまう。

「おお。命中.もう一発いっとくか?」


教師は額含め、顔全体を赤くし激昂して俺に叫んでくる.


「ななな、何するんだお前は!」


「私的に刑を下しただけだが? 自殺をしないようにあんだけ言っといて未遂に終われば手のひら返して元のポーズに戻った。バカじゃねえの!? あいつはな! 本気で悩んだ! 本気で葛藤した! それでもなお自殺という道を選んだ! それを止めても、いじめが続く。呆れて何もいう気にならねえ。ま、止めたのは俺だがな。俺はもう今日は帰らせてもらう。俺を退学にするなら結構。俺は今日以前の出来事を全てぶちまけるだけだ」


そう言って、俺はカバンを持ち教室から出て行く。まあこのまま家に帰るわけではない。俺はカバンの中からメモとペンを出しながら、文芸部室に向かって行た。そして、あることをメモに書き、佳子の下駄箱に入れておいた。そのまま学校を出て、ある場所へ向かう。そこは、WEBというカラオケボックスである。決して遊ぶためではない。ていうかあの人今日いるだろうか。いない可能性の方が高いだろう。いやまあどうせ今日行かないといけないんだからいようがいまいが関係ないか。そう思い、俺はWEBへと向かっていく。その道すがら俺はあるメンバーに連絡しておく。あいつらならもう既にいるかもしれないがWEBに来てくれと召集をかけた。結局、頼った方がいいだろう。これはもう佳子と俺の2人の学校に対するだけの問題ではない。教育委員会を巻き込んだ復讐劇だ。完遂の為には俺1人では力不足である。だから俺は力を借りるのだ。そうこうしているうちにWEBに到着した。その中に入り受付に行くと、想像通りとはいかず、長身の女性が立っていた。


「今日いるんすね。芳里さん」


彼女の名前は三ツみつや芳里かおりさん。WEBの店長をしており、両親のいない俺にとって有一信頼できる大人であり、俺が所属しているとあるチームのプロデューサー、サポーターでもある。


「いらっしゃい司くん。今日早いわね。もしかしてサボり?」


「人聞きの悪いこと言わないでください。今日は早退っす。ちょっと色々ありすぎたんで」


「色々って?」


俺は事の顛末を話すことにした。


「学校で自殺未遂が起こって、未遂した子はいじめが原因で未遂したんすけど原因のいじめを教師が黙認しているようなもので、それで俺がキレてしまって教師に空き缶を投げつけて早退したってわけっす」


「君らしいわね。それでその子、どうする気?」


「さすが芳里さん.俺の考えわかってたんすか。一応頼まれたんすけど、俺一人の力じゃ足んないのでクライアントとして扱うつもりではいますけどあいつらやってくれるかわかんないっすよね」


「そうね。正式な依頼ではないからやってくれるかしら?」


「まあ、やらなさそうだったらリーダー命令で強制的にやらせますけども」


「職権乱用ね。やらなかったら私がいうから安心してね」


「あざっす。まあ、所詮偽善ぎぜんですけどね」俺がそういうと、芳里さんは少し右に移動し、背後のハッチを開けた。するとそこには地下への階段が出てきた。


「他の子達が来るにはまだあと二時間くらいあるし一緒にゲームでも、、って、今日は一式しないといけない日だっけ?」


「そうっすね。風呂入れて髪をといて着替えさせる。大変っすけど、今あいつに俺のできることと言ったらこれくらいしかないっすから。点滴変えるのは芳里さんがやってくれてるんすもんね?」


「うん。養子縁組してたし、医者でもあるからね。それに君の言葉を借りるとすれば私にできることもこれくらいしかないからね」


「芳里さんには感謝してるっすよ。じゃあ、いかせてもらうっす」


そう言い、俺は受付を通り抜け地下への階段を降りていく。そこは薄暗く、されど静かではない場所である。この施設はあくまでカラオケボックスのため、歌声や騒ぎ声が聞こえてくる。完全防音のはずだが、この地下階段だけは音が響くのだ。多分、床から響いているのだろう。まあ、無音だと流石に薄気味悪いからこっちの方がマシだとは思う。俺がしばらく降りていくと、鉄のドアが見えてきた。そのドアを開けるとちょっとしたリビングのようになっており、一つのテーブルを囲むようにソファが配置してある。さらに、正前と左右に二つずつ、計6つのドアがある。そこはメンバーの自室である。場合によっては徹夜になることもあり、そのために風呂キッチン付きの部屋だった。事情により、左側向かって左の部屋は使っているものの、俺を含み実働員4人のメンバーがいるため、一部屋空いているが、その部屋はゲスト部屋として扱っている。俺は、その内の一つの部屋のドアを開ける。俺の部屋ではない。事情の部屋である。それはベッドで少女が寝ていることでわかるだろう。その少女には細長い管がついており、その先には点滴がつながっている。俺はその部屋の奥にある風呂を洗い、沸かす。その間に点滴を一度抜いておいた。そして、その少女を風呂に入れた。体をタオルで拭き服を着せ、髪を櫛でとき、再度ベッドに寝かせ、点滴を刺す。その少女は寝たきりだった。ある時、自殺を図ったが運悪く助かってしまい、今、この状態である。あの時死ねていれば少しは違ったのかもしれない。たまに辛い過去の夢を見ているのだろう。うなされていることがある。自殺を図り切った人にとっては死にきれないことが一番の不幸なのだ。俺が一通りの作業を終え、リビングに戻ると、一人のメンバー椅子に座っていた。


「お前来んの早いな。壮一そういち


俺も椅子に座りながら言う。彼は高三の神崎壮一。変装の達人である。


「君こそ。教師に空き缶投げつけたんだって? 馬鹿なことするね。夜中に学校に忍び込んで椅子に画鋲忍ばせたらよかったのに」


「考えが悍ましいわ。俺は真正面から砕きたいんだよ」


「その割には今までの復讐方法が陰湿なものばかりだけど?」


うぐ……いつも痛いところをつくな。やめてほしい。俺の性格的にそれしかできないのだからそれ以外を求めないでいただきたい。ただ、それを言うのは癪なので別の理由を即座に考え、返答した。


「そりゃ学校が違ったらそうなるに決まってるだろ。まあ、今回は陰湿に追い詰めてから真正面から砕きに行くさ」


「その件なんだけどね、僕がその案件を受けるのに反対だって言ったらどうする?」


「理由は?」


「僕は身内がクライアントという時点で反対なんだ。全く関係のない相手だからこそ物事を客観的に見ることができる。それが同校、まして知り合いだなんて相手に心が寄って、正しい判断ができなくなるよ?」


「安心しろ。今回は完全にあいつが被害者だ。障害持ちということだけでいじめられたんだからな」


「もう既にその子に寄ってる気がするがいいか。それに、どうせリーダー命令で無理矢理やらせるんでしょ? ここで刃向かっても意味ないでしょ」


「正解。じゃあ早速作業をって思ったけど初めがお前だと何の作業もできねえじゃねえか!」


「失礼だね。まぁ、その通りだけど」


そう。壮一は変装についてはピカイチだが、それ一点特化のため、正直、壮一と二人では何も進まないのである。


「せめて後一人、うららでも来て欲しいんだけどな」


「なんで?もしかして狙っt」


俺はその言葉を即否定する。


「狙ってない。今回は変装させて佳子の代わりに学校に行かせる。確かあいつ演劇部だっただろ」


本当に変なことを言わないでほしい。麗とは3、4年の付き合いになるが、そのような感情を抱くことは全く無いとは言い切れないが、これまでにもこれ以降にも完全なものは無いと思う。それに、ビジュがいいからモテるだろ。それに性格もいいし。俺は顔もそれなりだと自負してるし、性格も悪い。根本的にタイプが違うから、麗の評判を下げかねないのだ。


「そうだね。ってことは麗ちゃんがいじめを肩代わりするってことかい?」


「一週間かそんくらいだけな。いじめの証拠が十分に揃ったら休ませるつもり」


「そうか。君も残酷なことをするものだね」


俺たちが話していると、急に後ろから声が聞こえてきた。


「なんの話してるんですか?」


話しかけてきたのは件の高二の七瀬ななせ麗である.


「うっわびっくりした。噂をすればってやつだな。今回の復讐方法についてだ」


「ああ! 芳里さんが言ってたやつですね。クライアントはどんな子なんですか?」


「そういえば僕も聞いてなかったね。どんな子なんだい?」


「どうせもう一回説明することになるんだから全員揃ってから説明する。っと、きたみたいだな」


俺はドアが開く音で察して振り返る。そこには一人の少女がいた。


「なんだ.お前ら早いな.学校サボりか?」


少女は頭を掻きながら言った。彼女の名前は高瀬たかせ凛奈りんな.アスペルガーとサヴァンを併せ持つ中3の少女だ.


「それは司くんだけだよ。僕たちはそもそもとして学校に行ってない」


「あっそ。で、依頼の話するんだろ? 話は聞こえてた。初めてくださいリーダー」


凛奈は何故か俺にだけ敬語である。年上だからだろうか。年上というのなら他の2人も年上だろうに。


「それじゃ始めさせてもらう。我々WEB、今回のクライアントは希村佳子。俺の後輩で高二だ。足の障害や親がいないこと、謂れのない噂が理由で長期のいじめがあり今日自殺を図った。それを俺が制止し、そのまま依頼を受けた。まあ、最初は俺個人に対する頼みだったんだけどな。教師陣が依然として対応を変えようとしなかったため、このように依頼と受け取ることとした」


WEBは過去、いじめを受けたことがある人により構成されるいじめ撲滅委員会のようなものだ。正式名称はWho eradicate bullyin。‘いじめを撲滅するもの‘だ。いじめを受けた理由はさまざまで、壮一は『女装がキモい』、麗は『色目を使った』、凛奈は『障害』という大体理不尽な理由でいじめられている。女装なんて趣味の一つで多様性の時代なんだし、色目なんて使ってないことが麗からの依頼を解決したことで判ってるし、障害なんて言うまでもない。そのようないじめを二度と起こさないように結成されたがWEBなのだ。メンバーにはそれぞれ得意なことがり、壮一は変装、麗は演技、凛奈は機材の扱いに長けている。そんな中、俺は全てがそこそこでしかないため、正直肩身が狭い思いをしている。


「リーダー。その人の声はこんな声ですか?」


凛奈は全員を静まらせて上を指さしていった。まあ、元から喋ってるのは俺だけだったが。耳を澄ませてみると、上から声が聞こえてきていた。その声は聞き慣れたもので……


「ああ。そうだな。もうそんな時間だっけ?」


そう言いながら俺はスマホを確認する。すると、終業時間はとっくに過ぎていた。


「すまん。ちょっと連れてくる」


俺は立ち上がり、上へ向かっていく。佳子が最初に下駄箱を開けるかは賭けだったが、誰も開けなくてよかった。俺はハッチを開け、顔を覗かせる。すると、芳里さんと佳子が押し問答をしていた。


「なんで教えてくれないんですか!」


「もうお帰りになられたのでは?」


「先輩はここにいるって言ってたんです.早く教えてください! 部屋を全部見たのにいなかったんですよ!」


「それなら本当にもうお帰りになられただけでは……」


俺はそこでハッチから出ていく.


「芳里さん。その子がさっき言った被害者です」


「ああ.そうなのね。ごめんね何も知らずに。どうぞ、入って」


そう言って、芳里さんが佳子をカウンターに招き入れる。


「どういうことですか先輩! こんなメモを置いて!」


佳子がメモを差し出しながら言った。そこには、『終業後、カラオケボックスWEBに来い』と書いてある。


「端的でいいメモだろ? とりあえずついて来い。話したいこととか色々あるから」


俺はそう言って階段を降りようとするが、佳子が話しかけてきた。


「ちょっと待ってください.私階段降りれませんよ?」


おおう。そうだ.スロープなんてねぇんだった。車椅子じゃあ降りれねぇや。


「じゃあ、前か後ろかどっちがいい?」


その質問をすると、佳子は明らかに戸惑った。


「え、え? どういうことですか?」


「いいから選べ」


「じゃ、じゃあ前で」


俺はそれを聞くと、俺は佳子に近づき、抱える。


「ちょっ!? え!? 何してるんですか!?」


「俺聞いたじゃん.前か後ろどっちがいい? って.前だからお姫様抱っこしてるだけ.後ろだったら背負う予定だったけど」


「じゃあ今からでも後ろに変えてください!」


「クーリングオフは受け付けておりません」


「何言ってるんですか⁉︎」


そんな口論をしながら、俺は佳子を抱え地下へ降りて行くのだった。

今回のはちゃんと長くかけてましたね。グッジョブ!過去の俺!っと素が出てしまいました。申し訳ない。んじゃまぁまた来週。土曜にします。更新。異世界革命と揃えておきまぁす。

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