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危険が迫った燃ゆる恋

「はぁーやっぱり温泉は良いねぇ。」

澄んだ青空に白い雲が静かに流れる天気の良い昼間に、鈴世は露天風呂を満喫していた。

活火山の麓にある白濁の温泉が出る地では、体にいい香りが広がっている。

あの日、友和の家に行かなかったらこの温泉はなかった。それを思うと、さらにホッとしている鈴世だった。

しっかり温泉に浸かった後は、脱衣室で浴衣を着用すると、女湯と書いてある文字を裏目に見て扉を開ける。

カーペットの廊下を部屋に向かって進む。

ピコピコした音が聞こえてくる。

小さなゲームセンターがあって、そこでは子供達が賑やかに遊んでいる。

「あっ、ばあちゃん!ばあちゃん!!100円ちょーだい100円」

ゲームセンターから馴染みのある声が飛んできた。

内孫の鉄乃新(てつのしん)8歳と、清乃(きよの)10歳が、友和の息子、葉と共に遊んでいた。声を発したのは鉄乃新の方だ。

「居間風呂から上がったばかりだよ!持っとらん。部屋に戻ってこい、くれるから」

鈴世は孫に甘かった。

こんな時しかないというのも頭の中にはあったので、説教くさい事は楽しむためにも、今はやめようと思っていた。

孫達は、鈴世について部屋に戻った。

鉄乃新はとにかく元気いっぱいで、賑やか極まりない。鈴世の説教なんて聞く耳持っているのか持ってないのか。怖いもの知らずなくらい、名前の通りでもあるのか、鈴世に対する心臓は強い。逆に、姉の清乃は大人びた雰囲気を持っている大人しい子で、どちらかというと、葉も同じようなタイプなのかもしれない。

コミュリョクというのか?それを持つ鉄乃新が、2人を引っ張っている感じだろう。

鈴世の部屋に入った孫達は、広い部屋に興奮して3人で追いかけてあそんだ。

決して鈴世だけ広い部屋というわけではないのだが広く見えるのだろう。

部屋は鈴世の希望とおり、里佳子は3部屋をとった。友和家族と秀樹家族と鈴世1人だ。

大きな部屋を1人で使える醍醐味は、こんな時しか味わえないとおもい、ダメ元でお願いしてみた。鈴世も嬉しいが、意外と孫達が喜んでいた。

「ほれっ、小遣いだよ。なかよくあそんでおいで」

ぞれぞれに、小遣いを渡して遊びにいかせた。

「ばあちゃんありがとう!!」鉄

「ありがとうおばあちゃん」清

「おばあちゃんありがとう」葉

3人は仲よく部屋を出ていった。

鈴世は外の景色が見える窓際の椅子に向かった。使ったタオルをかけるものがそばにあり、タオルをかけると椅子に腰掛けた。

山の木々が囀るように風になびいている。

そんな程よい風が窓を開けると入ってきた。

これがよく言う整う。というやつなのか、目を瞑りたくなる。

鈴世はそう思うと、椅子に腰掛けたまま眠ってしまった。

どのくらい時間が経っただろう。

鈴世が目を覚ました時、そこは白い煙に包まれていた。

にぎやかに騒ぎ回る声が聞こえる。

緊急を要するような感じは察知できたが、簡単に腰が上がらなかった。

わーわーきゃーきゃー聞こえる中で無音な感じさへした。

なんで自分はこんなにも落ち着いているんだろうかと不思議なほどだった。

「誰かいませんかぁー!誰かいませんかー」

かすかに遠く聞こえる。

手を挙げる?いや、どうする?

なんて考えていたら、浴衣を着た恰幅のいい男性が鈴世を抱き上げて運んだ。

ポーッとしている鈴世に、一生懸命声をかけていた。大丈夫ですよ、大丈夫ですよ。とそんなとまったような時間に感じていた鈴世はその男性の顔をずっと眺めていた。

一生懸命な顔。煙から守ろうと必死になってくれている。こんな時に本当に申し訳ない、申し訳ないけれど、こんな気持ちいつぶりだろう。

鈴世は一生懸命抱かれながらホテルの入り口を出た。

出るとすぐに消防隊員が寄ってきて、救急車まで案内した。

抱き抱えて出てくる姿を、秀樹達家族といた葉が見ていた。秀樹に子供達を預けて、すぐさま珠希がそばにきた。

「母を助けてくださり、ありがとうございます。ありがとうございます」と珠希がその男性に言っている。

「いやぁ、自分はそんな。助けられてよかったです。」

そう言って男性は乱れた浴衣を直しながら、離れていく。

それを見ていた鈴世は、珠希にあの男性の名前や住所など聞いてこいと目をギラギラさせて強く言った。

圧倒された珠希はすぐにその男性の元へ向かった。

ホテルは火事だった。どんな理由で火事になったのかはわからないが、友和と里佳子は、逃げ出した客の状態をみていた。

鈴世は救急車で運ばれていった。


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