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チートトーナメント  作者: 掘削名人
予選リーグ
7/22

第2グルーブ第1試合

 予選リーグ第1グルーブの2試合が終わり、闘技場では、第2グルーブの試合が始まった。


 第2グルーブは、

 マイル 出身世界カード

 エクセル 出身世界シート

 エル 出身世界ジュエル

 グリッド 出身世界トウエ

の四人だ。


『さあ、第1グルーブの試合が終わり、今から、第2グルーブの対戦を行います。まず、第1試合は、マイル、出身世界カード、対、エクセル、出身世界シートです。では、試合開始!』


 試合開始の合図とともに、マイルは後方にジャンプした。その直後、観客席から歓声が上がる。マイルは、ジャンプしたまま、宙に浮いているのだ。マイルは、少しずつ高度を上げていく。高度が10mほどの所で高さを維持すると、両手を上に上げた。すると、マイルの上に、無数の氷の刃が出現した。さらに、観客席から歓声が上がる。

 歓声が上がった理由は、マイルの使った魔法にあった。マイルは、浮遊と、アイスランスという2つの魔法を使用している。アイスランスは、貫通力が高い高ランクの魔法だ。それを同時に無数出現させたのだ。相当な魔力量がないとできない芸当なのだ。そして、浮遊。これは、魔力消費が激しく、まともに使いきれる術者は少ない。浮遊している間、常に魔力を消費してしまうからだ。だが、マイルは、それを楽々とやってのけている。だからこそ、歓声が上がったのだ。

 こんなことが出来るのは、マイルのスキルのためだ。マイルは、スキル「MP無限」を持っている。つまり、どんな魔法も、際限なく使用できるのだ。


「な。なんて数だ。」


 エクセルは、アイスランスのとてつもない数に驚いていた。だが、エクセルは、そんな状況にもかかわらず、武器を使用する気配はない。ただ、体をマイルに向けて半身にし、右手を少し前に出して構えるぐらいだった。


「ふん。」


 不適な笑みをしながら、マイルは右手を前に突き出すと、上空のアイスランスが、ひとつ、エクセルに向けて高速で向かった。アイスランスがエクセルに辿り着く直前、エクセルは、アイスランスを右手で斬り落とした。斬り落とされたアイスランスは、すぐに消滅した。


「な、なんだと?」


 高ランクの魔法を、素手で斬り落とされたことに、マイルは驚愕した。本来なら、魔法というものは、素手で斬る、何て事は、できるはずがない。ましては、アイスランスは高ランクの魔法なのだ。素手で斬ろうとすれば、触れた途端に、たちまち、凍りついてしまうのだ。だからこそ、アイスランスが斬られたことに驚いていたのだ。


「お前、その力、スキルによるものだな。」


「まあ、そうだ。」


「なら、これならどうだ。」


 マイルは、右手を一度上に上げ、手を広げながら振り下ろした。すると、頭上にある全てのアイスランスが一斉に高速でエクセルの方へと突き進んだ。


「むう!」


 次々と襲いかかるアイスランスを、次々と右手で切り落としていくエクセル。だが、右手だけでは、無数のアイスランス全てに対応できるわけもなく、一本、また一本と、アイスランスがエクセルの体を貫いていく。貫かれた箇所から、エクセルの体は凍りついていった。エクセルの全身が全て凍りつき、ピクリとも動かなくなったところで、マイルは浮遊魔法を解除し着地した。


「ふん。こんなものか。他の世界での最強という割には、あっけなかったな。」


 勝利を確信したマイルは、凍りついたエクセルを背にして、自分の部屋に戻る階段の方へと歩き出した。


「おおっ。」


 すると、観客席がざわつき始めた。なんだ、と思い、エクセルは振り向くと、ピタリと動かなくなっていたはずの凍りついたエクセルがブルブルと震え出した。まだ、勝負は決していない。そう判断したマイルは、警戒のため、浮遊魔法を使い空中へ飛びエクセルとの距離を広げた。

 パリーン、と音とともに、エクセルを覆っていた氷は全て粉々になった。そしてエクセルは、マイルがいる方向へ顔を向けた。


「ふん。そう来なくてはな。これしきで終わったのでは、あまりに歯応えがなかったところだ。」


 マイルはそう言いながら右手を上に上げると、今度は、無数の炎の槍が出現した。アイスランスで倒せないなら、真逆の属性の魔法であるファイアランスで攻撃をする、とマイルは判断していた。


「せっかく氷から抜け出したところ悪いが、まだまだ俺の攻撃は続くぞ。」


 マイルのファイアランスが一斉にエクセルに向かっていく。だが、エクセルは、先程までとは違った。ファイアランスを斬り落とそうとせずに、右手を握り力を込めだしたのだ。


「なんだ?何をやっている?それでは、ファイアランスが全部直撃するだけだ。」


 次々とファイアランスがエクセルに直撃していく。、だが、その間も、エクセルは、ずっと右手に力を込め続けていた。ここで、マイルは異変に気付く。


「な、なんだ?おかしくないか?何であいつは微動だにしないんだ?そういえば、アイスランスの傷はどこへ行ったんだ?何が起こっている?」


 疑問を抱いたマイルはエクセルを良く観察した。ファイアランスは、確実にエクセルを貫いている。貫いた瞬間、体に穴が空き、出血している。だが、一瞬にして、エクセルの体が全回復しているのだ。マイルの攻撃は、確実にエクセルにダメージを与えてはいるのだが、その直後にエクセルは全回復してしまっているのだ。


「ま、まさか、奴のスキルは。超回復能力なのか?」


 マイルは、エクセルのスキルをそう解釈していた。MP無限のマイルと超回復のエクセル。これは、我慢比べの持久戦になる、とエクセルは判断した。だが、その判断は大きな間違いであると、マイルは分からなかった。超回復に目を奪われて、肝心な事を見落としていたのだ。そう、エクセルは、武器を持たずにアイスランスを斬り落としていたという事実を。


 マイルは続けて、上空に様々な属性の魔法の槍を産み出していく。先程よりも巨大な魔法の槍が、上空を埋め尽くす勢いだ。


「いくら超回復のスキルを持とうが、これだけの魔法の一斉攻撃を受ければ、即死は確実。超回復どころではないぞ。」


 生半可な攻撃をするだけではキリがないと結論ずけたマイルは、エクセルを殺すつもりで攻撃の準備をした。今回の戦いのルールでは、生死を問わない。だからこそ、マイルは、エクセルを殺すつもりで攻撃をすることにしたのだ。


「くらえ。ん?」


 マイルが一斉攻撃をする直前、マイルの前方に、神聖な輝きを放つ光の柱が目に入った。


「な。なんだ、これは?神聖な輝き?これは、魔法なのか?」


 光の柱沿いに視線を下へと移すと、この光は、エクセルの右腕から発していることが分かった。


「な、なんだ、これは?これが、お前のスキルなのか?」


「ああ、そうだ。決着が着く前に教えてやる。俺のスキルは 「エクスカリバー」だ。」


「エクスカリバーだと?」


「ああ、俺の右腕には、エクスカリバーの力が宿っているんだ。」


 このスキルは、光の属性を付与している、聖なる斬撃を可能にするのである。力を込めるほど、その力は巨大になっていくのだ。それに加えて、光の属性の付与により、エクセルの体は超回復能力が備わっているのだ。


「くらえ。」


 エクセルは、掲げた右腕を振り下ろすと、光の柱も右腕を追うように動いた。その起動は、マイルへ目掛けて倒れこむようだった。


「うおおっ!」


 マイルは、光の柱目掛けて上空の魔法の槍を全て打ち込むも、光の柱は全く消えることなく、そのままマイルへと激突した。その勢いで、マイルは地面に超高速で叩きつけられた。


「ぐはああっ!」


 その衝撃はあまりに凄まじく、マイルの全身の骨という骨が砕けた。マイルは、完全に身動きがとれなくなっていた。

 かろうじて目線だけは、エクセルの方へと向けていた。エクセルは、右腕をマイルの方へと向けるだけで、それ以上の攻撃をする気配はなかった。


「な、なぜ、止めをささない?」


「もう、勝負はついた。これ以上、何をする必要がある。止めはさす必要はないさ。今回の俺の勝利は、お前の油断によるところが大きい。だから、今度は、トーナメントで再戦しよう。」


「くっ。」


『決着ーーー!エクセルの勝利でーす!無数の攻撃を耐え抜いた、エクセルの一撃により、勝負はついたー!』


 結果だけ見てみれば、エクセルは無傷。完勝であった。



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