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チートトーナメント  作者: 掘削名人
第1章 はじまり
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天使ガブリエル

 強い光に包まれていたルート。あまりの眩しさに、ルートは、ずっと目を閉じているしかなかった。しばらくすると、光が収まった。ルートは、ゆっくりと目を開くと、さっきいた高台とは、まったく別の景色が広がっていた。


「ここは、どこだ?」


 ルートにとって、今まで見たこともないような景色だった。造りからして、神殿のようなものだということは分かる。だが、ここは、今までルートが見てきたそれに比べて、遥かに巨大なものだった。とてつもなく高い天井。50m以上は間違いなくあるだろう。そして、今、ルートがいる部屋は、とても広大な所だった。


「うん?誰か、いるのか?」


 どうやらこの部屋には、ルート以外にも誰かがいるようだった。ルートは辺りを見渡すと、自分を含めて、32人の男がいることが分かった。自分も含めて、皆辺りをキョロキョロと見ている。状況からすると、周りも、自分と同じ状況なのだろう、とルートは確信していた。


「いったい、何が起こったんだろうか?状況が理解できない。何か知っている者はいないだろうか?」


 ルートは、どんな些細な情報でもいいから手に入れようと、一番近くにいる男に声をかけることにした。


「なあ、聞きたいことがあるんだが、いいか?」


「なんだ?」


「俺は、ルートという者だ。ここは何て言う所なんだ?何か知っているか?」


「さあ、知るわけないだろ?お前も、いきなりここに連れてこられたのか?」


「ああ、何か分からないが、急に全身光に包まれて。気がついたらここにいたんだ。」


「そうか、俺も、そうなんだ。」


「ああ、そうなのか。これから、何が起こると思う?」


「さあ、想像がつかないな。とりあえず、今すぐ命の危険がある、というわけではないだろう。だから、暫く様子見しようと思う。何かあれば、すぐに対応するさ。」


「ああ、そうか。確かに。もし、何者かが俺達を殺そうとするなら、こんな所に俺達を移動させるなんて手間をかけるはずがないもんな。」


「まあ、そういうことだろう。お前は、ルートっていうのか。俺は、マイルって言うんだ。よろしくな。」 


「ああ、こちらこそ、よろしく。」


 このマイル、という男。自分の強さに自信はあるものの、かなりの慎重派である、とルートは思っていた。何かあればすぐに対応する、と言えるのは、自分の強さに自信がないと言えない言葉だからだ。だが、今回の今の状況で様子見するということは、危険をおかすことは極力しない人間なのだろう。


 マイルからは、何の情報も手に入れることができなかったルートは、何とか情報を手に入れようと他の者にも声をかけようとしたが、急にこの部屋が真っ暗になった。


「な。なんだあ?」


 すると次の瞬間、前方だけが光だした。そこには一人の若い女性が立っていた。間違いなく、暗くなる前までは、この女性はいなかったはずだ。どうやってここに現れたのだろうか?ルートには、まったく分からなかった。

 よく見ると、この女性の背中から、羽が生えているように見える。その姿はまるで、俗にいう天使のようであった。


「はーい。皆さま。おはようございます。いきなりの事で、驚いているでしょう。はじめまして。私は、天使のガブリエルといいます。よろしくね!」


 天使ガブリエルと名乗る女性の軽さに、緊張感がどんどんと薄れていく。


「みんな、いきなり、知らない場所に連れてこられたのか、スッゴい、不安だよね。でも、大丈夫だよ。みんなには、今から、ここで生活をしてもらいたいんです。もちろん、各自、ちゃんと、立派な部屋を用意するからね。」


 いきなり、ここで生活をしてもらう、と言われても、誰一人、はい、そうですか、と納得できるはずがない。間違いなくここにいる全員、元の場所に戻してほしいと思っているだろう。


「おい、質問していいか?」


 この訳の分からない状況の中、一人の男が大きな声を出して、ガブリエルに質問を始めた。


「はーい。なんでしょう?」


「いきなりここに住んでもらう、と言われても、意味が分からない。ちゃんと立派な部屋を用意するからねって言うには、何か、俺達にやってもらいたいことがあるんじゃないのか?」


 男の質問を聞いたガブリエルは、今までのかわいらしい明るい表情から一変し、目付きが鋭くなり、凶悪なにやけ顔になり、男の質問に答え始めた。


「ふーん。なるほど。なかなか、勘がいいね。さすがは、チート能力者だね。いいでしょう。では、皆が、どうしてここに連れてこられたか、理由を言うよ!

 これから、皆には、ここにいる人達同士で戦ってもらいまーす。

 実は、ここにいる皆は、それぞれ別の世界から連れてきたんだよ。この世には32の世界があるんだ。君達は、その世界の代表なの。君達は、その世界で最強、一番強いんだよ。皆、自分が一番強いっていう、実感はあるよね。

 それで、私達は、この中で誰が一番強いのか気になったんだよ。それなら、全員集めて、皆で戦って、誰が一番強いか決めよーよ、ってことになったんだよ。そういうことで、皆をここに読んだんだよ。」


 ガブリエルの答えは、ルート達にとって、あまりにも想定外の事だらけだった。まず、世界が32もある、ということが、一番の衝撃だった。それで、いきなり、戦え、誰が最強か決めろ、と。さすがに、すぐには理解できずにいた。


「戦えって、なんだよ。それに、私達って、誰の事だ?」


 先程質問をした者とは別の者が、ガブリエルに質問をした。


「うん。それは、言い質問だよ。まず、私達っていうのは、神の事だよ。神々は、32の世界を管理しているの。それで、何か問題が起きた時には何かしらの対処をするために、私達天使が派遣されるんだ。神は、直接人間達がいる世界には干渉できないの。だから、私達が人間界に行き、問題を解決しているんだ。今回も、誰が最強か決めたい、と神が言っていたから、私達天使が、皆を集めたんだよ。誰が最強か確認するには、やっぱり、戦って見ないと分からないからね。

 とりあえず、皆には、それぞれ部屋に入ってもらうよ。暫くは、ゆっくりとしてるといいね。詳しい戦いのルールは、それから発表していくから、よろしくね。」


 ガブリエルの答えは、詳しくしているようで、要領が得ないものだった。天使だの、神だの、あまりにもスケールが大きすぎる話。普通なら馬鹿げた話だから、誰も信じるわけがないのだが、強制的に連れてこられたかつ、見たこともないような巨大な建造物を目の辺りにされたのでは、信じるしかなかった。

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