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ここはゲーム? 現実?

「逃げに逃げまくってたけどヒューレットの家からもいい加減結婚しろと圧力をかけられて。そしたらあんたがついにアルフォートと結婚するっていうじゃない」

「まあね」

「ヒューレットと結婚するのも、お飾り女王になるのも仕方ない。でもせめて初めては推しに捧げたかったの……ごめんねエスティア。てへぺろ♪」


 てへぺろ? エスティアにはよくわからない笑い方をされたが、これも〝推し〟と同じ前世のスラングの一種らしい。


「でも勇気を出して良かった。アルフォートも初めてだったみたいで。お互いに純潔を相手に捧げることができたのよ、何てすごい奇跡!」

「えええええ? あのアルフォートが?」


 女好き、ろくでなしのヤリ◯ン男かと思ってた。


「ふふん。あんたはセドリックに夢中だったから知らないでしょうけどね。案外純情で可愛い男なのよ、アルフォートって」

「純情で可愛い男は結婚当日に婚約者以外の女の人と寝たりしません!」

「あらー、あんたも言うわね!」


 しかしそうか、昨日が初体験だったなら、何となくサンドローザの動きがぎこちないのもわかる気がした。

 せめて今日明日ぐらいは客間で大人しくしているだろう。


「で、アルフォートは今どうなってる?」

「カーティスとセドリックが叱ってるみたいだけど」


 今日の朝食にも三人誰一人として食堂に来なかった。アルフォートの部屋に人数分の軽食を運ばせて三人で食べていたようだ。




「そのこと、ヒューレットも同意してるのかしら」

「さあね。お上品な貴公子様だもの。父親の公爵やうちの父から言われたら断れないんじゃない?」

「そうかなあ」


(学生時代のヒューレット君はサンドローザを大切にしてるように見えた。偽装結婚しろと言われて受け入れるタイプには思えないけど)


 エスティアとてセドリックがいなかったら、多分惹かれていたのがノア公爵令息ヒューレットだ。

 容姿の美しさではアルフォートや父テレンス、セドリックなどに劣るかもしれないが、物腰穏やかな品の良さは女性なら一度は憧れる。




 ところで、気になっていることがある。


「サンドローザ。あなた、『乙女☆プリズム夢の王国』はどこまでプレイした? 最後までクリアしてる?」


 前世のミナコはスマホ版を本編をサブヒロインの母カタリナで、百合とBLはさらっと、そして特典ストーリーは序盤の学園編を卒業まで進めている。

 恐らく現在は中盤。婚約者の寝取られと婚約破棄がイベントのはず。


(ということはこれから後半に突入のはず)


「ああ、それ? 本編も追加編と特典編も全クリしたけど参考にならないわよ? 多分この世界は乙プリに似た別の異世界か、乙プリの元になった世界のどっちかじゃないかな」

「……やっぱり」


 前世のミナコは若い同僚たちから、そういう世界観設定のラノベやアニメが人気だと聞いたことがある。

 そのまま乙女ゲームの世界に転生するだけでなく、近年は「乙女ゲームだと思ってたら現実だった」とどんでん返しになる作品が増えているそうなのだ。


「じゃあこの後、何が起こるかはわからない?」

「遠い異国だと魔王が復活したなんて話もあるけど、どうかしら。セドリックの隣国は安定してるし戦争の心配もないわね」


 国内に限っていえば瘴気被害だ。ただし発生源が曖昧だ。

 エスティアは婚儀が終わった後は新婚生活を無視して領内を隅々まで回って調査する予定を立てていた。

 なのに婚約破棄騒動で出立が遅れている。


「とりあえず家の者にはあなたを丁重に扱うよう伝えてある。でもあなたに良い印象は持ってないから、できるだけ部屋から出ないで」

「ま、仕方ないわね」


 お互いにそれぞれの婚約者に微塵も心を動かしていなかったから、婚約破棄などどこ吹く風だ。

 サンドローザ王女に関しては、王家から慰謝料が支払われるならそれで済ませても良いと考えている。


(ただ、国王まで王女を邪険に扱うというならサンドローザの立場は危うい)


 その辺は本人に頑張って対処してほしいところだ。


(アルフォートとサンドローザはとりあえず後回し。まずは……)


 あの父親テレンスをどうするかだ。



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