学校に帰ろう!
<このサングラスを装着するだけで、リアルな世界に行ける!>
アニメ世界だけだと思っていたものが、いま、目の前に。
僕は、もちろんそれを購入した。初実装なのに、手ごろな価格。
仕事から帰り、夕食後、僕はそれをさっそく装着した。
目を閉じると、僕は、深い眠りに陥っていた。
ポーン!<設定を、お願いします>
機械音声で目が覚めた、僕。
いつの間に眠ったんだろう?
<どの世界を、選びますか?>
ファンタジーの代表な魔法世界もあれば、リアルな他の星というのもあり、また現実世界の海外諸国や、国内の有名な観光地というのもあった。
どこを選んでも、リアル感いっぱいの世界を体験できるのである。
ふと僕は
<スクールライフ。あの青春の甘酸っぱいときを、もう一度過ごしてみませんか?>
というのを見つけた。
僕は、中学生のときをふと思い出した。
好きな女子が、いた。中学3年間、ずっと好きだった。しかし、声をかけるどころか、視線を送ることもできなかった。思春期だったからだ。
今なら、どうだろう?
十数年の社会人生活、会社勤めで、異性との会話は日常化している。非モテなのは相変わらずだが、今だったら、あの時のような失敗はしないだろうと思う。
「これを、やろう」
選んだ。
<校種選択:幼稚園、小学校、中学校、高校、大学>
中学校を選んだ。
<1つだけ、能力を持てます。選んでください>
「能力?なんじゃ、それ」
リアルな中学校スクールライフと思っていたら、異能アリかい?
見ると、4つの選択肢があった。
1:視線能力(相手が、振り返る)
2:魅了能力(相手が、視線を向けてくる)
3:会話能力(相手が、話しかけてくる)
4:接触能力(相手が、触れてくる)
これは、悩むなあ。
4は、ちょっと引く。突然触れられるなんて、ちょっと気持ち悪い。
普通なら、3かなあ?でも、それじゃときめきも何もなく、ただの日常生活じゃん。
2もいいけど、ちょっと不気味かなあ?全員にじろじろ見られるのは、ちょっと…。
ということで、僕は1を選んだ。
さっそく、スタート!
このとき、僕は、うっかりミスをした。
そのスタートタッチのすぐ脇に
<プレイをする前に、必ず読んでください>
という項目があったのを、僕は、完全に無視したのだ。
後から思えば、それは非常に重大なミスだった。
なぜなら、その説明内容は、この<ゲームの攻略のしかた>だったのである。
そう、僕は、このヴァーチャル世界が、<ゲーム>、しかも罰金ゲーム(攻略できなかったら、罰金を取られリアルマネーで支払わなければならない)であることに気づいていなかった。
その<攻略のしかた>を読めば、罰金は100%免れることができる…。
その<攻略のしかた>の内容は、ごくシンプルで、次の通りである。
1:異性と挨拶を交わしたら、ゲームクリヤ。
2:その挨拶言葉は、「おはよう」「こんにちわ」「さようなら」と、その類語。
そして、もう1つ重大なこと。
その<攻略のしかた>を読めるのは、初プレイの前だけであった。