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前世で眼が見えなかった俺が異世界転生したら・・・  作者: y@siron
第五章 掌握されていく国…そして…
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行商途中の出会い 3


目の前で起きている事に脳が理解に追いつかない

右にいた虎の魔物がいきなり風に包まれたと思ったら、目の前いた虎の魔物が頭から真っ二つに一刀両断にされ目の前に若い男性が現れた


颯爽と現れた男は右手を虎の魔物に突き出すと炎の槍が現れ、切り裂く風に耐え切れず腕を畳み目を塞ぐ虎の魔物に突き刺さり燃え上がると苦しみ出す

そして間髪入れずに残りの一体に向かっていく

その姿を見て動揺していた残りの虎の魔物は

焦りからか背中を見て逃走を試みるが、


「残念だけど逃げられないよ」


チラッと首を回した瞬間虎の首が宙に舞う


☆★☆★


「大丈夫ですか?」


男がそう言うと手を差し出す


「あっ…助けて下さりありがとうございました。

最初にいた一体は切り伏せたのですが、仲間が森から現れてから苦戦していたので助かりました…今考えるとあの一体は偵察又は陽動だったのかと」


私は男の手を取り立ち上がり服の汚れを軽く落とし話した


「依頼での討伐となると色々と面倒な事になると聞いたので途中までは迷ってましたが、命を落とすよりはマシだと思いまして…」


「えっ?あっ依頼では無いです!これから王都に向かおうと思っていた所に出くわしたので…それに今の私のランクでは依頼は受けられないと思います」


私は懐からギルドカードを取り出す


「Gランク?俺の目から見た貴方の腕ならもっと上に見えます。それにこの魔物は仲間から教えてもらったのですが一体ならC、複数体ならBでも厳しいと言ってました」


少し驚いた様子の男に私は軽く事情を話した


「…なるほど、それでランクが低いと…確かにギルドカードを持っていると色々と融通は聞きますからね…俺も作ってからそこまで経ってないのでまだよく分かってはないですけどね」


男は話しながら軽く笑う


「あっ!自己紹介がまだでした。私の名前は咲香と言います。日輪から事情があり家を出た姉を探してます」


「サキカ?日輪…」


「はい。日輪ではこう言う時で書きます」


私が地面に咲香と書くと男は驚いて私の顔を見る


「これは…漢字だ…」


「えっ?よく知ってますね。日輪以外ではあまり読める人はいないんです」


男は何か考えていると後ろから何かがドドドっと近付いてくる


「ユゥトキュンキュンキュンキュンキュンキュンキューーーーーン!!!!」


「待てオトメさん!」


オトメと呼ばれる半裸…いや、九割裸の男が勢いよく突っ込んでくる

私は小刀を構えると男が私の手を掴む


「戻して大丈夫。少し力抜いてもらっていいですか?」


言われる通り力を抜くと私達の回り風が吹く


「失礼」


男は私を抱き抱える


「きゃっ!」


その瞬間ふわりと体が浮いたと思ったら

一瞬にして空に飛んでいた


「急に抱き抱えて申し訳ない。俺だけ避けるわけにはいかなかったから」


「いっ、いえいえ!」


初めて同年代?の男に抱き抱えられ少しパニックになる

手を添えている男の体

手に伝わる感触

この人…かなり鍛えられている、何者なんだろう?

そんな事を考えていると下で岩にぶつかる音が激しく響いている


☆★☆★


「オトメちゃんついつい暴走しちゃったゾッ!」


自分の頭に拳をコツンとするオトメ

その姿を見てみんな溜息を吐いている

オトメが落ち着きみんな自己紹介が終わった後だった


「それでそのムスメはなによ!!アタシというのがいながら!キィー!!」


咲香に激しい嫉妬?をしながらハンカチを口で破るオトメ


「最近登録したばかりなので冒険者ランクはG

事情があり日輪から王都を目指しているみたいです」


「日輪からか…珍しいな

日輪の人はあまりこちらには来ないからな

まぁ事情があるからだとは思うが…」


ダスターは顎に手を置き話す


「咲香さん、俺達は王都からシーレウスに行くんだが、その事情の助けになるなら話してくれないか?元々王都に長くいるし何か力になれるかもしれない」


「王都からですか!…分かりました。ではこの女性に見覚えはありませんか?

私の姉なのですが…」


咲香は写真を取り出しダスターに渡す


「う〜む、すまない。俺は見た時ない」


「俺も。こんな美人で独特な服を着てたら印象強いし」


「同じく」


「なっ…中々美人じゃない!まっアタシの美貌の前には霞むけどねぇん♡」


次々と写真が渡されみんなそれぞれ反応すると最後にユートに渡される


「んっ?…この人ってあの時の…」


「!?なにか知ってるんですか!」


咲香は凄い勢いでユートに迫る


「ええ、王都を出る少し前にギルドでぶつかりまして…着物に刀って珍しいなって」


「ぶつかった…あの姉が?いや、それよりも早く王都に向かわないと!」


咲香は慌てて刀を拾い納刀するとぺこりとお辞儀をして走り去ろうとする


「まぁ待て。咲香さん一人ではまたネイルタイガーみたいな魔物が現れたら危ないぞ」


ダスターの一言を聞いて咲香は止まる


「でっでも早く王都に行かないと…姉がまた何処かに行ってしまいます!」


「焦りは死に繋がる」


「えっ?」


ユートがボソリと呟くと続けて話し始める


「目の前しか見えていない。視野が狭い

その状態じゃ直ぐにその身を滅ぼす

俺が助けた命が散るのは見たくはない」


ユートの話しを聞き咲香は震えていたが深呼吸をすると震えが止まる


「…確かに、私が間違ってました。止めてくれてありがとうございます。

それに父上にも同じ様な事を言われていたのを思い出しました

【用管窺天】(ようかんきてん)細い管で見るな、もっと広げて考えよと」


「四字熟語もあるのか…」


☆★☆★


「では短い間ですがよろしくお願いします!」


シーレウスでの商談が終わり王都に戻る馬車の前でジョーイ達の前で深くお辞儀をする咲香


「いえいえ、私共も助かりますよ。護衛はいくらいても良いですから!」


ジョーイは咲香に握手しながら笑顔で話す


「でもいいんですか?私にも報酬って…

王都に連れて行ってもらうだけでも助かるのに報酬も貰えるなんて…」


「何をおっしゃいます!ダスターやユート様から聞きましたけど良い腕前をお持ちだとか…そのような方にタダで護衛してもらうなんてガレット商会の名が廃ります!」


「は、はぁ…」


鼻息を荒く話すジョーイにたじたじな咲香

咲香の腕前はユート達も認めている

ジョーイが商談をしている間は交代で護衛をしている

空いた時間ユート達はシーレウスで依頼を受けていた

ダスターも久しぶりに冒険者の依頼を受けたらしく張り切っていた

ギルド受付でダスターがAランクのギルドカードを見せた時、ギルド内で凄く盛り上がっていたが、次のユートがSランクのギルドカードを出すと更に盛り上がる

尚且つ、ユートの名はシーレウスまで伝わっていたのか

ブランの話から王都での活躍まで詳しく話す事になった為、昼から宴会が始まり初日は終わった

その時初めて咲香はユートのランクを知り驚き、最初はユート君だったのがユート様になったのだが、ユートが頼み君に戻してもらった


…ちなみにダスターのAランク登場の盛り上がりはユートのSランク登場、今話題のユートの前では薄れ、ダスターは宴会中端っこに座り一人チビりチビりと酒を飲んでいた

頑張れダスター!


話は戻り依頼を受けていたユート達はたまに咲香の依頼を一緒にやりつつ、訓練相手として腕前を見ていた

最初はユート、ダスターの前では中々勝てない咲香だったが、今ではダスターと張り合えるようになった

ただ、魔法ありだとどうか分からない

(ユートには全敗中です)


そしてシーレウスを出る頃にはGからDまで上がっていた


☆★☆★


「では出発!!」


ジョーイがピシッと馬を叩き商隊は王都に向けて動き出す…



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