裏話 受付嬢達+αの戦い
ユート達が各地で激戦を繰り広げている頃
冒険者ギルド内は大忙しであった
「手の空いている冒険者はまだいる?」
「D〜Bランクの冒険者は戦闘の激しい場所に向かっています!
残っているのは新人冒険者のみです!」
受付嬢達は各地の被害状況を逐一報告しあい冒険者を派遣していた
「今度は南区にて魔物が発生!!」
「南区!?発生源は東と西じゃなかったの!!」
「そっそれがいきなり現れたそうです!!
現在門兵と近くの住民が抵抗している模様!」
受付嬢達は慌てた様子で武器を取り出す
南区とはこの冒険者ギルドのある場所
であるならここにもすぐにくる恐れがある
新人の冒険者達は緊張しているのか体を震わせ、顔を青ざめさせている
「大丈夫よ。私達だって伊達に冒険者ギルドの受付嬢をしてないわ。私達だってそこそこ戦えるのよ!あなた達は後ろにいなさい」
受付嬢達は新人冒険者達にそう優しく諭す
受付嬢達はゆっくり扉を開けキョロキョロと外を確認する
南門から逃げてくる住民達
衣類から血が滲み出ながらも走って逃げている
「ギルドで匿って!!」
受付嬢達を見つけたふくよかな婦人が近寄ってきて話しかけてくる
受付嬢達はとりあえず事情説明した上でギルド内に避難民を受け入れる
そして再度外に出ると魔物が何体かこっちに向かってきている
「各自迎撃準備!!」
「「「「おー!!」」」」
各自得物を構える
「3.2.1…攻撃開始!!」
一斉に魔物に向かって攻撃を仕掛ける
☆★☆★
グサッ
「ふぅ。これで最後?」
受付嬢達は最初の数体を倒した後、他の位置から現れた魔物達を刺しそう話す
「とりあえずは…かなっ?」
ふうっと汗を拭う受付嬢達
一時的ではあるが束の間の休息をとる
「まだあちこちで音がするわね」
「そうですね…一体何があったのでしょうか?」
皆同じ事を考えていたがわからない事だらけである
王都には巨大な城壁、更に初代国王が施したといわれる魔物避けの魔法がかかっている
そう簡単に魔物が入れる訳がない
そんな事を考えていると
受付嬢達の目の前を巨大な岩が通り過ぎる
「「「「えっ!!」」」」
飛んできた先を見ると全身傷だらけの魔物がいた
「あの魔物って……グラップラーオークじゃない!」
魔物はフゴフゴ言いながら受付嬢達に迫ってくる
「グラップラーオークは不味いわ!オークの中でもかなり性欲が高いので有名よ」
「「「……」」」
受付嬢達は直ぐにギルドに立てこもるが
ドンッ!
ドンッ!
ドゴォ!
グラップラーオークは扉を叩いたり、突進を繰り返す
受付嬢達は避難している住民、新米冒険者を地下に避難させ入り口を封鎖する
「やっぱりこうなるわよね…」
リーダー格の受付嬢は槍を構えて覚悟を決める
他の受付嬢達もコクッと傾きそれぞれ武器を構える
ドゴォォン!!
激しい音をたてて扉が破壊される
グラップラーオークは屈み、ギルド内に入ってくるや否や受付嬢達に突進してくる
キューーー!!
可愛い鳴き声と共にグラップラーオークは炎に包まれた
「ユエルちゃん?」
ユエルは受付嬢達の前に降りる
「危ないじゃないの!ユエルちゃんに何かあったら…私達のモチベが……」
そんな事を言うと皆ユエルを抱き締める
ユエルは直ぐに拘束から逃れるとまだ炎に包まれているグラップラーオークの方を見ると
炎に包まれながらも少しずつ近づいてきていた
キュキュ!
ユエルの鳴き声と共にグラップラーオークは氷漬けされる
「やれやれ、まだまだですね貴方達は。ユエル君は感じていたみたいですよ」
「「「「マッマスター!」」」」
壊れた扉の前にはギルドマスターであるギリアムが立っていた
「こちらの方で奇妙な魔力を感じて来てみましたが、なるほど…
貴方達はこのままここにいなさい。後は私がどうにかしますので」
ギリアムは一人で納得していると壊れた扉を氷の壁で塞ぎどこかへ行ってしまった
ギリアムの姿を消えると受付嬢達ユエルを抱えて一箇所に固まった




