【銀狼】アレックの実力
対アレック戦です。
ユート達が地下闘技場に辿り着き試合の準備をする
「ユート君。ここの地下闘技場はシャインバリアの魔道具で覆っている。存分に戦ってくれ!」
そう言うとエストは肩を叩く
「さぁユート君!この中から武器を選んでくれ!
キミの得意な武器で戦いたい!」
アレックはユートの前に木で出来た様々な武器を置いて話した
(刀は無いか…)
「そうですね色々使えますけど、一番得意な武器は刀ですね。」
「へ〜刀か。確か何処かの国の武器だったね。確かその国の剣士の事を【武士】っていうんだよね?」
「えっ!あっはいそうですね!」
ユートは驚きながら答えた
(この世界に武士がいる?って事はニホンと同じ国があるのか?
一度は行ってみたいな!)
そう思いながら木の長剣を取る
「刀は無いのでこの剣にします」
「本当は得意な武器で戦ってもらいたかったけど…刀は流石に無いから仕方ないか……」
アレックは大剣を選んだようだ
「ではユート対アレックの試合を始める!
それでは…………はじめ!!」
エストの掛け声で勝負が始まる
(さて、どうでる?)
ユートは前にいるアレックを見つめる
「ユート君。キミは属性魔法も使える魔法剣士だそうだね」
「はい。魔法も一応使えます」
「そうかそうか。
僕は属性魔法はあまり得意じゃないんだよ。でもね・・・
魔力操作だけは魔法師より少し得意なんだよ!!」
アレックはユートにそう話すと、体にブーストを掛けた
「来ないなら先手は・・・もらうよ!!」
ヒュン
アレックは一瞬でユートの横から現れ、大剣を振るう
「ふんっ!」
ガァーーン
(これがっっ!少し得意だっ!ってレベルか!!)
ユートは横からくる斬撃を木剣で咄嗟にガードした
油断したユートはブーストを掛けるのを忘れてガードをした為、闘技場の端まで飛ばされる
(ちっ!アレックは俺よりブーストを掛けるのが速い!)
そう思いながらユートも身体中にブーストを掛ける
「まだ僕の攻撃は終わらないよ?」
その声が聞こえると、頭上から大剣が振り下ろされユートに迫る
(くそっ!どうにか気配は察知出来るが魔力は速すぎて追えない!)
そう思いながらユートは横に飛ぶ
ドゴォーーーン!!
大剣が振り下ろされた衝撃で闘技場が揺れ、
振り下ろされた場所には大きな窪みが出来ていた
バキィ!!
「あっ!ごめん!力入れ過ぎて大剣折れちゃったよ。
新しいのに変えるからちょっと待っててー」
そう言うとアレックはそそくさと武器を取りに行く
(はぁ…はぁ……助かった……
軽く手合わせだと思っていたが本気だとは)
ユートは考えを変える
本気で行かなければ怪我だけではすまないと
「お待たせ!じゃあ再開しようか!!」
新しい大剣を肩に乗せて話す
「ああ。こっちも本気でいく!」
「それは・・・・楽しみだ!!!!」
二人の戦いが続く
戦うこと数十分
「おいおい!あいつアレックとやり合ってるぞ!」
「あれで何度目の武器破壊だよ!」
「もう予備切れるんじゃないか?」
「武器の扱いも凄いけど、あの子魔法も凄いじゃない!」
「やっぱりどっちも攻め・・・ここは桃源郷!」
いつの間にか闘技場には多くの冒険者が観覧していた
ユート達の周りには数十本の木剣が転がっている
「流石だユート君!僕の目に狂いはなかったよ!」
笑顔で話すアレック
「俺の目も狂いはなかったですよ!」
ユートも苦笑しながら話す
「もう予備も無くなったしお互いに次の一撃に全力を込めないかい?」
「わかりました。その意見に賛成です!」
ユートはそう言うと互いにブーストを掛ける
(ずっと【眼】で見ていたから分かった
アレックは身体中にブーストを掛けているが
その掛け方に大きさの差がある!)
そう。アレックはブーストの掛け方を工夫している
アレックは魔法を覚えるより魔力操作を重点的に鍛えていた
それによりブーストの掛け方が常人と異なる使い方に辿り着く
ブーストは身体中に掛ける事により身体全体の能力が上がる
それにより脚は早く、腕力は強くなり、体は硬くなる
しかしアレックは全体に掛けるのではなく、部分的に掛け、その部分を最大限に発揮していた
(カラクリはわかった
だが俺はあそこまで魔力操作は出来ない
大雑把には出来るが、アレック程の出力が出るかわからん!)
ユートは更に考える
(考えろ考えろ!
俺は出来てアレックには出来ない事!
考えろ考えろ!!
アレックに無くて俺にしか無いものを!!)
ユートは考え抜いた
(あぁ…あるじゃないか
俺にしか無いもの
この世界で俺しか習得してないものが!!)
ユートは剣を下ろし、ゆっくり目を閉じた
ピコンッ
特殊スキル
■眼⇒脳眼に変わりました
生命の危険を感じた際、スキルは停止します
アレックが先に動き出しユートの頭に全力の一撃を振り下ろす
ユートの脳にピリッとした痛みが走る
「見えた!神崎流刀術:流動」
ガァーーン!
ボスッ
アレックの手から大剣が地面に落ちた
「僕の…負け……だね……」
アレックの首元にユートの木剣が止まっていた
「いえ、俺も…限界です……」
ユートがそう言うとお互いにバタッと倒れた
ピコンッ
特殊スキル
脳眼⇒■眼に変わりました
生命の危険があった為
一時スキルを停止します
「フフッ!おもしろい人がいましたね〜
ユートですか・・・私の邪魔になるかもしれませんね〜」
その人物は気配を消しながらギルドを去って行った
アレックの二つ名について
アレックは闘いの際にブーストを最大限に使用し、大剣で魔物に襲い掛かる姿がまるで狼のようだった為、【銀狼】と名付けられました。




