別れと新たな出会い
「まぁそ・れ・でアタシ達とこの子達は一緒に王国にきたのよん♡ち・な・みにアタシのお店にいる用心棒がマッスルビューティーの人達よ♡」
話を聞いていたユートは王都が襲撃された時の事を思い出す
街の人を逃がす為に魔物の群れに突っ込んでいったドレスを着た男達
あれがマッスルビューティー、、、恐ろしい
「それにアタシのお店で副店長をしてるのがその時助けた娘のエナちゃんよぉ〜♡」
「ずっと裏でテキパキ動いていた人ですか?」
「そうよ♡あの娘、実家のお店でも働いて、アタシのお店でも働くって働き者よねぇ〜
イ・イ・お・と・こがいたら紹介してるんだけど全く興味がないのよねぇ…なぜかしら?」
オトメが首を傾げながら話す
その話を聞いてジュアンは驚きの表情をする
「あの時の娘さんが!?お詫びをしたいがあの時の事を思い出させるのも悪い…くっ!」
「あらっ?あの娘全く気にしてないわぁ〜。むしろあの出来事があったからアタシの縁ができたって喜んでたし。なんならアタシの手下にアナタ達がいるってのも知ってるわよ」
「えっ?」
「だから気にする事ないわよ。アタシからも謝罪はしたけどアナタが決めた事に異論はありません!って言われちゃったらねぇ〜♡」
その言葉にジュアンの瞳から少しずつ涙が零れていく
☆★☆★
「じゃお仕事落ち着いたら王都に来なさい。すっっごく楽しみに待ってるわよぉ〜♡
アタシのイチオシファッションを着せ替えしてやるわ!!」
「「「「ハッ!」」」」
世紀末雑魚風の男達は一斉に敬礼をしてオトメ達を送り出す
「初代…いえ、今は無帝様でしたね。何処で何をしてるのかと思ってましたが、まさか王国で最強の一人と言われる無帝様が初代だったとは…無帝の下僕…クゥー!!
バットエンド商会を潰したら即お店に向かわせてもらいます!!
プリティー&ビューティーでしたね。サートン家の方々にもよろしくお伝え下さい」
「えぇ、でもアタシも結構忙しくしてるからいなかった時は王城の門兵にでもコレを渡しなさい」
そう言ってパンツのおしり側からほんのり湯気が立ち昇る記章を取り出しジュアンの手の平に載せるとギュッと強く握らせる
「アタシ、無帝の加護があるメダルよぉん♡マッスルビューティーの子達とサートンさん達、それにアナタ達しか持ってないから超貴重品よ!無くさないように肌身離さず持ち歩きなさぁい♡無くしたら、デコピンッ!だぞ☆」
ピンッと弾いた指が近くにあった木に当たると当たった場所から亀裂が入り、ミシミシと音を立てて倒れていく
それを目の当たりにしたジュアン達は乾いた声を出し愛想笑いをする
☆★☆★
「「「お気をつけて!!」」」
「じゃあねぇ〜ん、んちゅ♡んちゅ♡んちゅ♡」
森の出口まで一緒に行動していたジュアン達とのお別れがきた
手を振るジュアン達に投げキッスをするオトメ
商隊は再び王都へ向かい歩を進める
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シーレウスで仕入れた品を各村で少し販売をしその村で一日を過ごす
そして空が少し明るくなった頃に村を出発する
同じ事を立ち寄る村で毎回繰り返すこと数日、もう少しでコミの森が見えてくる位置まで辿り着いた
「もう少しで王都に着くな」
「そうだな。ここまでくりゃ夕方くらいには王都に着きそうだな」
「王都…姉の手がかりが見つかるかも知れない!」
咲香が息巻いているとコミの森の前をゆっくり歩いている女性がいた
修道服を身に付け、背中には身長よりバカでかい十字架を背負い、本を片手に持っている
「キキィッ!」
コミの森から一匹の魔物が襲いかかる
「危ないぞ!!」
ダスターが叫ぶと同時にユート、咲香、オトメが飛び出す
女性は上から現れた猿の魔物に気付き見上げる
(ギリギリ間に合わない!)
ユートはそう感じながらも最短距離で女性に向かう
「あっ!大丈夫ですからお気になさらず」
女性は冷静な口調で話すとユート達を制止するように手を向けた




