第3話 ボブとケビン
下の階に降りると2人の男が揉めていた。
「これは俺たちの獲物だ!でくの坊!」
「何を言うか!私たちの物だ!ひょっ子めが」
「またあの人たちね...」
マザーは言う。
「彼らは一体?」
「身体の大きい方がボブ、細長い方がケビンよ。泊まりにくるとよく2人で揉めているんです」
確かに仲良しの雰囲気ではない。
「ボブは魔法国、ケビンは機械国の出身でこの境界線を消して自分たちの領土にしようと企んでる人たちなんです」
「なあ、マザーからも言ってくれよ。今どき魔法なんて古い、機械こそが新しい時代には必要なんだってことをよ!」
「マザー、私からも頼む。機械の発達により、近年は廃棄汚染が進んで森や川、動物が住めない環境になっている。それをそのままにしていいわけがない!」
マザーは困った表情をしている。
「それはそうとマザーに聞きたいんだが、この近くに飛行機が墜落したと情報が入ってきたんだが何か知らないか?」
ケビンはマザーに聞いた。
「飛行機?知らないわ」
「噂ではこの世界の外から来た物体らしく明日から調査しようと思い、今夜はここで泊まろうとしたのですが...」
ボブがケビンを睨みながら言う。
「へっ、でくの坊に言われたくないぜ。マザー、宇宙人がこの辺りを彷徨いてるらしいんだ。何か知ってたら教えてくれ」
「マザーがおまえなんぞに教えるわけなかろう」
「なぁんだとぉ!!!」
ボブとケビンが一触即発になろうとした間に俺が立って言った。
「あんた達、宿泊しに来たんだろ?だったら大人しく部屋でゆっくりしてな!」
「スッ」
「ガチャ」
すかさず俺の目の前に杖と銃が向けられた。
俺も命のやりとりは初めてじゃない。
「お待ちなさい」
マザーが言う。
「旅館内での争いは許しません。やるなら外でなりなさい」
「ほぅ、なら外でやるか」
「受けて立とう」
そう言ってボブとケビンは外に出てしまった。
「?」
一瞬、マザーが悲しそうな顔をしてたような気がした。
「俺が2人を見てきます。マザーは館内にいて下さい」
「...分かりました。気をつけて下さいね」
ドオォォォン!!!
外に出ると、ボブとケビンが既に戦っていた。
ボブが杖先から火の玉をケビンに向けて飛ばしている。
一方ケビンは大きなライフルで火の玉を撃ち落としている。
旅館の外は広い草原であるため、戦いには最適の場所であった。