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29歳と地震  作者: DANCHOU
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東京編

もう8年も前のことかと思う。


僕は大学生で就職活動で神奈川から東京の銀座に出ていた。


説明会は午前の部と午後の部に分かれていて、朝早く起きるのが嫌で、午後の部にした。


今考えると、午前の部にしておけば、あんな苦労はしないですんだのにと思う。


その揺れは会場へ向かうときに起こった。


大きい揺れだった。


信号機がゆれ、ビルから人がでてくる。


震度5か6ぐらいだろうか。


地震になれていた日本人の僕は、とりあえず説明会の会社に向かった。


会社には、多くの学生がいて、地震の話題で持ちきりだった。


結局、説明会は中止になった。説明会が中止になるほどの地震だった。


この時から、違和感を感じ始める。


帰ろうと思い、駅へ向かうが、電車が動いていない。


JRが動かないのなら、東横線なら動くのではないかと渋谷へ歩き始めた。


途中で新橋を通ったのだが、そこにあった大きな液晶モニターに目が釘付けになった。


工場みたいなところが燃えているのだ。


どうして、地震で火事が起きている?


TVの映像で、地震が東北で起きていることがわかった。


そして、また歩きはじめる。


渋谷に着いたが、電車は動いていなかった。


人の動きがいつもと違う。いつもは、行くべき場所がわかっている動きだった。


けど、今は違う。


行きたい場所はあるが、行けずに止まっているようだった。


コンビニに入ったが、パンや飲み物がない。


携帯の電池が切れ、公衆電話で家に電話をかけた。


駅構内で待っていると、避難場所に青山学院大学を勧められた。


大学の体育館が避難場所で人が多くいた。


飲み物と非常食、防寒のシートをもらう。


本来であれば、学生に使うものだったが、避難者に分けてくれた。


いつか、青山学院大学に恩返ししたい。


避難場所でいろいろ考える。


「午前の部にすればよかった」


「最寄駅のデパートに自転車置きっぱだけどどうしよう」


「今日、家に帰れるかな」


時間が過ぎて、夜の11時ぐらいに東横線が動き始めたとアナウンスが流れた。


駅に着いたが、人がたくさんいて、電車に中々乗れない。


乗れたとしても、安全のため、急行でなく普通だった。


いつもは、20分ぐらいなのが倍ぐらいかかって辛い。


横浜に着いたが、最寄駅への電車が動いてなかった。


しかたなく、漫画喫茶で一夜を過ごそうと向かう。


満室だが特別に入れてくれた。


何を読んだが覚えていないか、ホッとしたことを覚えている。


そして、朝になり電車が動き始めた。


最寄駅に着いて、バスに乗り、家路に着く。


すぐに布団に入り、寝る。


午後になって、また、バスに乗り、自転車を取りに行った。


これが、僕の地震体験。


でも、それで終わらない。


僕の故郷は、東北だった。


(続く)


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