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囲いの世界

「八木さん。データをいじった形跡ありました。過去のデータを出させてます。エリア情報システムが作り出したものですから難しいと思っています。」

「そうか。榛原もほどほどにしておけよ。鑑識の他のものにもな。捜査一課よりも動いているんだ。ちょっとくらいいいだろう。」

榛原は頷いた。阿部を陥れることに利用したことなのだ。黛も関係している可能性は消えることはないだろう。疑惑は張り付くと消えないのも知っているだろう。

「工藤、俺はあるところに行ってくる。そこまで心配するような場所じゃない。」

工藤に背中を見せていなくなった。心配するような場所じゃないといってしまうと不安に感じてしまう。事件を知りすぎてしまってのめりこんでしまうんだ。八木は警視庁を飛び出すように出る勇気もない。タクシーを止めてあるところへといった。行きたい場所でもないだろう。そしてその場所を好んでいく人は少ないはずだ。タクシーで流れるラジオは今を知らせていた。現実世界を見ることのできない上に立つものばかりだ。ミサイルだとか威圧しか武器がないのだろう。

「お客さん。その場所で誰かいるんですか?それならいけない言い方ですけど巻き込まれて可哀そうですね。」

「俺は行きたくなんですよ。親父といってもらしいことしてもらえなくて。この職をするのも大切なものを失ったんです。謝罪の言葉を聞きたいだけなんです。」

「そうでしたか。すいませんね。不愉快な思いをしたのなら謝ります。」

彼は小さな声で言った。運転手が握りしめるハンドルはきつかった。新聞でもネットでも荒れたことだ。名前を明かしてしまえば済む話だがなぜか喉から吐き出すことはできなかった。

「貴方も行くべき場所じゃないのにつれてきてしまって申し訳ないです。」

「私の事はかまいませんよ。ただ、貴方は自分の気持ちをはっきり示すことほうがいいですよ。ためてしまうのは間違いを起こしてしまうことが多々ありますよ。」

彼の経験も含まれているのか忠告であるようである感じがする。八木は流し聞きをしてしまいそうな感じがして顔を叩いた。

「つきましたよ。どうしますか。帰りますか?」

「いいえ。会います。気持ちを明かすのがいいでしょうから。」

タクシーから重たい腰を上げた。運転手におつりも渡した。彼の誠実な心ではきてはいけないのだ。囲いの中でしかいきれない人間なのだ。自由というものがない世界へと足を踏み出すのだから。助言などいらない。

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