捨て駒
店主はテレビドラマの刑事を思い浮かべてながら調理した。普通なら少なくするところを多くしようと思った。サービスなんていうのをするのは割りに会わないと思ってやっていなかったのだ。
「刑事さん。ただの聞いた話だから面白くないと思うんだ。けど、1人ここらあたりの人が死んでいる。参考として聞いてくれないか。」
彼は出来上がった定食を出しながら言った。八木はうなずいたのを見ると店を閉めだした。
「俺は警察というのはあまり好きにはなれないけどあなたの格好を見ているととても権力におびえたようでないから話すことにした。」
「それはありがたいことです。この事件の犯人を捕まえない限り、終わったなんて口を開けないと思ってます。」
店主の目は問いかけていた。事件を解決するには何が必要なのか知っているかという風に。
「エリア情報システムの社員がいっていたんだ。会社の中で内部告発をしたやつがいると。社長が疑惑を持っているのは確か・・・。」
八木は1枚の写真を取り出した。その写真を見ると店主は何度も何度もうなずいた。写っているのは阿部登であった。
「阿部って言う人はよく社員がいなくなった時間帯ばかりにきていた。誠実という言葉が当てはまる人だと思っていたからこんな会社に入ったなんて不幸だなと思っていたんだ。殺される数日前にきてやめてきたとかいってさ。俺が見た感じ自分で出したなんていうのじゃなかったな。」
エリア情報システムの内部告発についての話が流れなかったのは加藤の力であると考えられる。どんなにいやな会社でも奉公しようと思っていたのだろう。
「それでしたとか言ってなかったですか?」
「内部告発するつもりだったけどしなかったって。それに内容があまりにも部外者みたいなものだったって。情報の入っているパソコンの製作に関することでそんな仕事やってもいないし、わからないと。」
黛は内容をよく見ることなくやめさせたことになる。まだこの会社の中にしたものがいるとは思っていないのだろうか。週刊誌がかぎつけたことが事実である証明もしたことになってしまっている。
「阿部がやめてからさ。悪いことをしたとか言っているやつを見つけたんだ。そいつ、阿部が秘書になるとか言ううわさを聞いて嫉妬でやってしまったことなんだとさ。それも同僚のやつらしい。パソコンの内部を製作する課にいたみたいだから。」
ボタンを掛け違えているのだろうか。エリア情報システムの内部告発を取り上げた週刊誌について調べることにした。




