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疑問

工藤は事件ばかりを追って疲れをどこかで感じているがそれを表に出すなどというふがいないことはしない。自販機コーナーにあるベンチに座った。八木はこの事件には興味があるのだろうか。かえってくることが少ないのだ。ふとガラスを見ると一ノ瀬が立っていた。気づいたのがわかったのか入ってきた。

「工藤もお疲れか。そうだよな。調べることが多くて大変だよな。」

「俺は休めばいいんです。けれど、八木の事が気がかりで・・・。連絡があったりするんですけど、なかなかないんです。そうかと思えば前みたいに集めて情報収集し始めたりと最近読めなくて。相棒としては失格なのかと思ってしまってるんです。」

一ノ瀬はくだらないことに悩んでいるというように苦笑した。八木の机には工藤に見せないようにしているのだろう。

「そんなことないと思うよ。お前に会う前の一匹オオカミぶりを知らないから言えるんだ。酷かったんだぞ。無視するなんて当たり前の考えで事件解決するから嫌われる一方だった。それを変えたんだ。工藤がいたからか少し協調するようにもなった。必要なことは求めるようにもなった。見てみるといい。お前だけじゃない。関わる人をどれだけ大切にしているか分かるさ。」

「そうならいいんです。つまらないことで考えすぎるなんていけないですね。それよりこの事件おかしいと思いません?」

ホシの証拠が見つかるのだがもっと見つかるべきものがないのだ。阿部登が書いたはずの絵が消えたのかと思った。キャンパスを置く台が空だったからだ。

「簡単な話じゃないということか。政治家の言いなりが何かに影響しているのかと思っていたが・・・。」

「エリア情報システムには後ろ盾がたくさんあるのがわかってます。政治家である加藤剛、そして国内最大派閥の暴力団がいるんです。黛に割らすだけでも一苦労すると思ってます。」

黛は一向に任意である聴取にきてはくれない。それ以前に近づけないのだ。あれ以来会社自体が警戒を強めてしまっているのだ。八木のように力ではないがそれくらいがないとダメなのだろう。

「少しずつ壁を壊したときに見えてくるよ。真実が。画家が残したものにはメッセージがたくさんあるといわれているからな。通りすぎるなんてできないよ。」

捜査一課という肩書があるからといって胡坐をかかないほうがいいだろう。気づかぬうちにそれで怪我をしている可能性だってあるのだ。事件は解決するのだろうか。食いしばって壊れるだけなのだろうか。

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