信者
八木と工藤は阿部が務めていた会社に向かうことにした。大きなビルがある森のように。株式会社エリア情報システムと書かれている。大手のIT企業なのだ。情報を扱うことに関して何処の企業よりも優れているため最も入れない会社とされている。受付に声をかけた。
「警察ですが、阿部登さんの同僚の方を呼んでいただけませんか?」
「わかりました。」
「明日も来ますのでよろしくお願いしますね。警視庁捜査一課の八木圭太と工藤昭です。」
受付はただ頷いていた。了承してくれたのだろう。話し合う場所へ行ってくれた。そこに来たのは2人の青年とでもいえるのかという人達だった。
「阿部の同僚の小林正文です。」
「同じく同僚の森成人です。」
2人ともに感じるのは仕事に対する疲れが見えた。阿部はこの呆れた会社で何をしていたのだろう。情報を扱うのだ。
「阿部は俺たちと格が違うのは感じてました。確か、社長が喜んで入れたみたいですから。この会社はうわべでは個人情報をキチンと扱っているといっているけど俺たちはいつも疑っています。政治家とかと仲がいいですからね。」
「阿部は社長の捨て駒にされることを嫌がってましたよ。秘書なんて都合で捨てられるといってました。だから過去に経験したのかなって言ったんですよ。」
小林と森は隠すことなく語ってくれる。警察にとってはありがたいものだ。だが、八木と工藤はあまり話さない人がいい。苦労するのはわかってしまうから。会社の駒として利用しているのだからこれくらいはどうってことないと思う。
「阿部は俺たちに隠しているのは感じました。後、憤りも。それくらい敏感な奴なんです。この事件で失ったのは阿部だけじゃないと思っています。」
「なんですか?」
「この会社の信頼です。阿部がなぜか情報をもっていましたから。1人で最後は抱えることを選んだ。それが一番悔しいんです。」
会社の信頼が失ってしまえば経営まで被害が及んでくる。果たして会社とは何を守っているのだろうか。仮想の現実と戦っているのだろうか。世の中を見えなくして現実から逃げてしまうのは卑怯だと思ってしまう。ただでさえ金をため込んでしまう。情報の扱う会社はどの会社も欲しがる品だと思う。
「阿部さんの事件を解決して見せます。ついてくるかもしれないですよ。会社に隠されたものもわかってしまう可能性があると心してください。」
同僚2人は一礼していなくなった。抱えているのは深い深い闇だ。解決はするのかと考えてしまうほどの。




