秘密のマニュアル
エリア情報システムに向かった。ビルは何処か豪華であるように思えた。八木と工藤は受付へといった。そこには来る人達に応答している女性がいた。警察手帳を工藤は見せるために用意したが、八木は手で制した。
「警察のものですが、黛社長はいますか。」
「今日はいません。出かけているのでいつ帰ってくるかわからないんですよ。」
受け答えが機械のように言っているようだ。マニュアルが絶対だと教え込まれているのだろう。八木は不愉快な顔をした。
「あんな安っぽい命令に従う警察ではないんですよ。上が変われば動く人もいるんですよ。教えてもらえませんか?」
「わかりました。黛は別荘で八木幸助と会う約束をしていたみたいなのですが、捕まった今、どうするかと思って別荘にいるらしいです。」
震えながら語る姿は自分は何時かクビになると思っているのだろう。工藤の電話が鳴り始めた。彼は玄関へといった。一ノ瀬であった。
「もしもし。一ノ瀬さん、どうかしたのですか?」
「宇佐美史郎が死んだ。他殺であると考えている。鑑識の榛原とかが来て始めている。済んだらきてもいいし八木の事だ。来なくてもかまわない。」
「わかりました。伝えておきます。」
一ノ瀬は何処にいるのかと問いただすことは一切しないのだ。きっと捜査一課は事件を追わないのがわかっていてもやっているのだ。
「俺の事件を解決しようとしているのはわかっているんだ。八木は沢山の闇を抱えているんだ。俺たちが光を与えないとダメになってしまう。それは嫌だから。」
「八木を支えておきます。また何かあったら教えて下さい。」
工藤は悲痛の思いで電話を切った。ガラスに映る姿は小さく思ってしまう。八木はいつも心配をしているのを知っているのに。太陽の傾きで暗くなってしまった。心の動きを知ってか知らぬかは別として。八木は彼に向かってきた。
「一ノ瀬さんが宇佐美史郎が死んだと伝えてきた。他殺だと。鑑識もきている。お前にあとは任せる。」
「黛について調べてくれ。エリア情報システムは裏社会とつながっている会社である感じがしてきた。一連の事件は計画がされてあったと考えるのが妥当だと考える。」
「なるほどな。宇佐美史郎は会社の範囲を超えて調べていたと思っていないわけだな。」
圭太の目は光り輝いていた。事件を解決するので必死なのだ。報われない気持ちが出てくるからだろう。工藤は警視庁へと足を向けた。八木は一体どこに行くのだろうか。闇を見つけるためなのか。果たして・・・。




