壊れた塔
八木は警視庁で騒がしくなっているのを無視をした。事件に関係ないと思っているからだ。幸助にただ従っていた人はボイコットしているらしい。ホシを野放しにしているのだとわかっていないのだ。
「八木さん。村沢が書いた絵にはかきなおしたような跡はありませんでした。阿部が村沢から教えてもらっていたのならあるはずだと思っています。探します。」
「村沢の店でも調べるのがいいだろう。この絵は罪を感じるようなものであり、記憶の中から消したくないものであるはずだ。題材として選んだ理由も隠されているのだから。」
榛原は出かけるために鞄をもっていた。くだらないプライドはもっていないのだ。事件のため、被害者のためと第三者の事を考えている。いくら損したとしてもかまわないはずだから。
「宇佐美史郎もどうだろうか。狙われていることはないのだろうか。道を間違えたらただすことができるのだろうか。」
「宇佐美は画家になっているので関わっていることはないでしょう。」
「いや、画家になっても週刊誌の時の名刺を使っているのがわかっている。会社も許可を出しているはずだから。宇佐美はあとにして黛清について聞きに行きたいと思っている。」
工藤は隣ですらっと立っている。八木に対して多くを語らない姿は憧れを持つものもいるほどだ。今、警視庁は上が機能していない。動かない奴は刑事として警察官として資格がなくなりいる意味がないと思ってしまうのだ。
「俺たちはじゃあ黛について調べるか。俺も暇しているのも嫌でしょうがないから。」
「そうだな。何故、エリア情報システムが警察からわいろをもらいながら情報をもらっているのかということだ。経営不振になったことがないか、調べる必要があるな。」
榛原は絵について調べにいった。鑑識が止まらないので事件について調べることができるのだ。ありがたいと思っている。捜査一課の部屋に行ってみるとスカスカの人のいない部屋であるということであるのだ。八木という上にいた人間はいなくなった。砂の塔が崩れ去ったのだ。説明をすることなく。
「政治家みたいだったな。説明することなく、マスコミの批判をして逃げていくなんてな。世間体とか意味が分からない言い訳をしているのだから。」
「責任がないんだろうな。全てを負うことになるのくらいわかっているはずだろう。辞めたらすべてが終わっているという幻想の中をはいずりまわっているみたいだけど。俺たちにはするべきことがたくさんあるから。やるしかないな。」
2人はパソコンに向き合った。事件とは解決しない限り終わらないのだ。




