心のバラ
圭太はマンションにいた。久しぶりといっていいほどきていないのだ。警察が民間人に頼るなとかわけのわからないことを言うのだと思ってしまう。事件を解決するのに情報を提供してくれているのだから偉そうにする理由なんてないのだ。むしろ感謝をしたほうがいい。源太郎のいる階へとエレベーターでいった。インターホンを鳴らしてみた。分厚いドアで動きを感じとることができない。玄関が開いて見えたのは驚いた顔をした源太郎であった。
「圭太、来るなら言えよ。さぁ入れ。今書いているところではあるけどな。」
「あの時、心配かけたな。」
「何がだよ。」
リビングに行くとテレビが流れていた。ニュースでは政治家のくだらないことを言っているのだ。無視するのに一人前にかまってくれといわんばかりに対応をするのだ。
「いつもテレビつけているよな。それでかけるのか?」
「かけるよ。何年間もやっていたら慣れてくるのもあるし、圭太が親父の事を何時明かすか気になっていたから。隠されていた奴、すべて捕まりそうか。」
「捕まるよ。証拠があるのに逃げるなんて卑怯なことをすることはできないからね。法とかの世界ではね。どんどん不利な立場になればいい。気づくことができないんだから。」
テーブルに缶ビールを置いた。言葉は少ないが飲めという意味である事はわかっている。彼は絵を描くことに集中するみたいだった。淡い色を使うのだ。まるで思い出を描いているようである。ことろどころで鮮やかな色を使ってもいる。現実と幻想をさまよっているみたいだと思ってしまう。
「阿部登と村沢巧の事件は必ず解決するから。兄貴に危険なことはさせない。」
「わかっているよ。宇佐美史郎は最近いってないみたいなんだ。自分で開いている教室もほとんど臨時休業をしているらしい。俺たちの中での噂では記者みたいなことをしているんじゃないかって。だって元記者ということは会社を利用することも簡単だから。素人の質問より現実味があるからな。宇佐美は黛とか言っていた時があったよ。」
黛はエリア情報システムの社長の事だろう。悪事の話は少なからず知っているだろう。宇佐美は金をとっていたといっていた。自分のためじゃないことをわかっているのは会社とか関わっていた人間だ。恨んでいたとしておかしくない。むしろ狙われるターゲットにされているようなのであると思っているのは確かだろう。
「いつだったか、会いに行くって言っていたよ。国民を裏切っていることを知ら占めるためにとかね。」
宇佐美によってわかる事があるかもしれないと心底思った。




