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わからない時計

屋上で静かに眺めていた。猛が話があるといって呼び出してきたのだ。父親が信頼していた大人が殺人者として隠れて生きてきたのが間違いだといいたいのだろう。

「親父はおふくろを殺したのか。嘘を言って親父を下ろそうと計画していたんじゃないのか。」

「お前は何処までめでたい奴だ。俺と兄貴で調べたよ。泊まるはずのないホテルに呼び出されたんだ。近くにいる俺たちのほうが信ぴょう性が増すだろう。それに聞き込みをしたのは親父が目の届く奴ばかり。脅して言わせたんだろう。ホテルの警備員が不思議そうに言っていたよ。どうして防犯カメラを見に来ないのかって。」

猛は言葉にすることはできないのだろう。親父はおふくろを殺し遺産だけを目当てにしていたことがわかるとなると。

「圭太は一体どういう暮らしをしてきたんだ。」

「俺たちはあくまでも庶民と同じさ。お前みたいに金だけを使わすためだけの私立なんて行かないよ。それもプライドのためだろう。」

彼の目には輝いている。事件に真剣に戦っているのだ。週刊誌も手のひらを返したように叩いているのを触れたくないのだろう。テレビでも警察の不正を面白がって取り上げているようだった。

「テレビで叩いてるのはお前と親父だけだ。警視庁に殺人鬼がいると思うと最後の砦としての役割を亡くしているのだ。」

空を見上げると重くのし上がったように雲が包んでいる。暗い空を見せるのは世の中だと思ってしまうのだ。

「兄貴は画家として生きている。売れる画家として働いているわけではなくて、人を和ませるために書いているのだろうから。」

「兄貴といってもあったことがないな。あんまり親父とおふくろ間で交流してなかったからかな。会わせてくれよ。」

「無理だよ。刑に服してからにしてほしい。親父がすべて喋っているから自首にならないのは知っているだろう。親父は出られるかはわからないのもわかっていたほうがいい。」

源太郎に猛を合わせたくないのだ。けがれた手で作品を触られるのかと思ったらゾッとしてしまった。きれいな心で描いたのは町の風景である事を知っているから。

「捜査一課は変わらないといけない。被害者の気持ちもわからない刑事がうじゃうじゃいたところで迷惑だと思わないといけない。」

政治家も同じだ。うわべだけを並べてろくに説明しないのにした気になっているのは勘違いということもわからないのだから。説明書のない家電のように飾っているのが正解なのだろうか。分からないといけないのではないのか。

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