見えぬレール
空は青いと誰かが言ったら答えてくれるのが当たり前だった。幸助は取調室で仲間だったはずのやつが疑いかかっていた。なぜ、間違いを犯したのかはわからないことばかりだ。裁判所は証拠があったため、すぐに礼状を出したのだ。息子は3人いるが、2人はいないも同然だった。妻である千尋に育てられたからだ。猛だけはどこか違うことに気づいたのは高校のときだった。それでは社会で生きていけないほどだったために巻き上げることにしたのだ。
「気分はどうだ。裁かれることのないと思っていた事件に裁かれる気持ちは。」
「俺たちが冤罪を作り上げていたこともわかっていたのか。」
「知っていた。捨て駒なんてとんだプライドが作り上げる悪事だって。」
圭太は飄々と答えていた。怒りなどといったものはないのだろうから。検事も無実の人を送り出そうとする。廻りの話だけを受けてそれで作文を作っているのだ。
「工藤の親父さんが自殺したのはあんたの指図が関係するんだろう。一ノ瀬の店はお袋とつながっていたから消そうとしたんだ。」
「工藤君の警備会社はテレビで流れているほどの有名人だった。それに人柄もいいといわれていた。知り合いにいた警備会社の人の会社がつぶれそうになっていると聞いた。ピースサポートの金をその会社にまわすように言った。支店にはあまり興味を示していなかったことをうわさで聞いて自殺に見せかけて殺すことを行った。一ノ瀬君の店は千尋がよくいることを知った。話されるべきでないことも知られているのかと思って燃やした。」
千尋は八木家の隠された事件の真相をやみに落とすために殺されたのだと思った。
「お袋が死んだとき、死んだ場所に疑問を持った。ビジネスホテルで死ぬなんてありえない話だって源太郎といっていた。」
彼は囲いの中の光を見ていた。捜査一課は未解決事件の真相を調べないといけないくらいマスコミが騒いでいるという。
「あんたの失態だな。俺はあの事件が終わるまではやめないしやめる気もない。」
「圭太、お前もたたかれているんじゃないのか。」
「たたかれてないよ。マスコミも手のひら返してさ、猛のことを潰そうとしている。きっとやめないといけないだろう。俺はただのびのびとしていれば解決することだってある。阿部の事件と村沢の事件のホシが尻尾を出してくれるだろうと見込んでいるけど。」
圭太の言葉には押し付けがない。いつか零れ落ちる雨のしずくをただ待っているのだ。急いでも解決しないことだってあると思っているようだ。政治家は準備罪を通そうとしている。過去を忘れてどこかで正当化をするだろう。見えない聞こえない声があるみたいに。怒りの声も無視するほど勘違いをしているのだ。理解してもらわないといけないと思わないのだろうか。理解を得ずにやっているのは一方通行であるということだ。忘れるべきではない。国会議員が逃げるために民間人をトカゲの尻尾のようにしていることを。うそつきは国会議員と官僚であることを。




