過去の令状
圭太は捜査一課の自分の机で疲れを取っていた。工藤は絵について調べてくれるので此処までの事を整理する意味で机に腕を突っ伏していた。彼は何処かで人が通るのが一番強く感じてたが寝ることに専念することにした。すると、彼の肩を叩かれて起きた。そこに立っていたのは親父である幸助だった。
「話がある。屋上へ来い。来なければどうなるか分かっているな。」
「脅しかよ。どうせしょうもないことだろう。まぁ行ってやる。屋上で待ってろ。」
幸助の顔を見るのは嫌でしょうがない。自販機で缶コーヒーを買って屋上へと向かった。足取りは重くはない。ベンチには幸助が偉そうに座っていた。政治家の国会で座っているようなふんぞり返った感じだ。
「なんだ。話って。」
「阿部登、村沢巧の事件から離れろ。捜査一課の他の連中はもう探っていない。だから離れて別の事件に手を付けろ。」
「大した話ではなかったな。あんたは自分の過去を隠したいがためにやっているんだろう。テレビに映るのは政治家は忖度をしていて検察もすべての関係する人が忖度してしまう。そんないけない社会になっているのをじっと見てろというのか。人殺し。」
圭太は怒りをぶつけるように幸助にいった。缶コーヒーを飲んだ。苦味しか感じないと少し思いながらどんどん飲んでいた。
「源太郎も圭太もそうだ。どうしてそこまで俺に対抗する。もがいているようにしか見えないぞ。辞めたらどうだ。」
「人を殺してもなお正当化をするのか。証拠はあるんだ。八木家の秘密とはあんたと政治家の人殺しを消すためのものだったことを知っている。一番最初に知っていたのはおふくろだ。おじさんから聞いたんだ。」
幸助は聞くことのない話だと思い込んでいた。けれど八木家の中でおかしいと考えた人がいたことを知った。圭太は町を見ていた。ビルが立ち並んでいるが闇は消えることはないだろう。
「嘘を言うな。訴えるぞ。名誉棄損ってな。きっと俺の話を聞いてくれるぞ。」
「何、浮かれきっているんだ。裁判には証拠がなかったらしろと思ってしまうけどまさに出ているんだよ。指紋も映像も何もかも。おふくろが死んだとき、葬式も出てこずに遺産だけを取ろうなんてするとは親ではないけど最低だな。榛原が今、裁判所で令状を取ってるから待ってくれるか。無罪だとほざいてるのなら。」
幸助は偉そうな座り方から新人社員のような緊張したような座り方へと変わった。観念したようだった。テレビに映る政治家もなってくれればと思ってしまった。




