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誓いの音

「その絵には罪があったんだと思います。よく言うじゃないですか。政治家って罪から逃げ回っているのに冤罪でも裁かれる人もいるって。村沢さんは一ノ瀬という和食屋は行きつけだったんですよ。時間外でも無理言っても開けてもらえるほどの常連だったんですよ。」

「犯人が近くにいたために近づくこともなかったということですか?」

「すぐに通報したみたいですよ。けど、犯人を取り押さえることができなかったから八木千尋っていう人が殺されたのだとやめた後に打ち明けに来ましたよ。此処の管理に金を出している政治家はあまり絵に興味はないのか買った絵すら見ないですからね。」

管理人は村沢に頼まれて此処に置くことにしたのだ。見つかったら政治家人生が問われるものであるのも知っているからだろう。

「税金をどこかでふんだくっているのでしょう。だってあまりにも金使いが荒いことで有名ですからね。経済を回すためには政治家の金を国民に回さないと動かなくなると思ってます。」

八木は管理人が机に置いた冊子を見た。そこには絵について説明がなされていた。画家が描くのだから思ったこと、感じたことが書かれているのだ。

 この絵を描いたのは名前をテレビでとどろかすことよりも深く闇に落ちてしまったと思っています。この人と同じ世界へといってしまっているのかと心のどこかで愚かさを感じるばかりです。人はどんな絵でも傑作と呼ぶけれど、この絵だけは呼ばないでください。魂がさまよっているはずだからです。虚しさやくやしさを描き切れない画家ではだめだと心底思ってしまいました。この作品が最後になるかは少しの休暇で決めようかと思います。自分の気持ちが安らぐまではと。近くで見ていたがために闇に落ちてしまったのなら運命に託すことにします。

「闇に落ちてしまったと書いてありますけど同時村沢さんの異変とかありませんでしたか?」

「よく夢に出ると語っていました。新聞の記事をスクラップして残しておかないと罪は償えないと。消えるはずがないって。」

「どうしてそのような言葉をいったんですかね。」

管理人は話しにくそうにいった。その日、村沢は一ノ瀬に遅くなってもよるつもりだと電話で言っていた。毎回遅くても作ってもらっていたから初めて人に渡すために書いた絵をサプライズとしてもっていこうとしたときに起きた出来事だった。自分がいたからこんな目に遭ったのだと悔やんでいた。

「その無念を晴らして見せます。」

誓いに近い言葉であった。工藤は村沢は苦しんだから画材店をやる事にしたのだろうと思った。

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