弱み潰し
2人はあるところへ向かうため、車に乗った。そこでは詳しい話が聞けるだろう。政治家だけというか政治家関連や警察などの不正だけを取り締まる週刊誌があるのがいいと思った。車の中ではラジオが流れていた。2人の会話をさせないように思えたが、八木が口を割った。
「工藤、お前の親父の死について疑問に思ったことはないのか。」
「あるよ。遺書なんてなかったしテレビとかに出ていて会社は上々だったから銀行に断られることはないと思っていた。けど、銀行は断ってきた。沢山のところに頭を下げても変わらなかった。それも内容としては支店を増やそうと思っていたくらいだから。親父は笑顔でかえって来たけどその数日後に自殺した。俺は他殺だと思った。警察はよく調べていないことも気づいたから。」
彼の熱意に八木は逃げてしまおうかと思ってしまうほどだった。工藤の親父はピースサポートという警備会社を作った。大企業にするつもりはさらさらなかった。地域密着型の警備会社にしたかったから。支店の数も1つか2つくらいを考えていた。それだからあまり深く落胆した様子はなかったのを工藤の目は憶えていたから。
「あの自殺は作られたものだって俺はわかってる。大学にいるときにその話を新聞で見ておかしいと思った。別にそこまで望んでいない人が自殺をするのかと。会社の社長として仕事をしていたのも有名な話だ。それを知らないとすれば政治家とか警察幹部に思えてな。その中に親父も関わっているのは間違いないだろう。」
「どうしてそれを急に?」
「政治家にとっては邪魔ものだったら。警備をしていて政治家のわいろとかを見てしまったとしたら。」
工藤は正義感の強かった親父を思い出した。強すぎて人のことでさえ口を出してしまうことが多々あった。政治家は嫌だったに違いない。消えてもらうことを計画しても可笑しくない。昔、よく言っていた。テレビに出ている政治家は偽りばかりを見せてろくに正しいことをしない。強行採決なんてただの自己都合だと。良心がないのは政治家だと。
「親父は目をつぶる事はできなかったと思う。金をもらうことですら躊躇してしまう人だったから断っているのをよく見た。口を出したとすればと考えれるが・・・。」
「警備会社を作るような人だ。それも地域と一緒に活動したいと思ってもいたとしたら市民団体みたいなのを作られるのが少なからず政治家の頭には浮かんだんではないのか。」
複数の事件がつながったとき、何が見えてくるのだろうか。政治家などの罪を償いをしない姿が見えるのだろう。証拠が出ても自分の発言を思い出そうとしない見苦しい映画だ。逃げることができないのに懸命に逃げようとして捕まればいいのに。




