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赤のランプ

八木はカーテンから漏れる光のまぶしさを感じながら朝食の用意をした。安売りされていた食パンをトースターで焼いた。栄養面を考えたら普通卵とかサラダとかはあってもいいかもしれないが面倒なので作らない。トースターが鳴る前に少しはやめに取り出した。いい感じに焼き色がついていた。皿を出しそれをのせてマーガリンを塗った。リビングについたとき、携帯が鳴りだした。

「もしもし。」

「八木か。もうきてるんだよ。早くしろ。捜査一課の他の奴に気づかれてしまうぞ。」

「それならこっちにこい。話があるんだ。」

彼はぱりぱりと音を立てている。電話の内容はよく聞かないのが彼の行動としての難点だと思った。扉をノックする音がしたため玄関に向かった。開けると案の定工藤がいた。こういうときは上がって話すのが定番なのだ。コーヒーを出した。

「それで話とはなんだ。」

「画材店、大型店は省いたか?」

「あぁ。それがどうした。」

工藤は甘いコーヒーを飲んでいる。ミルク、砂糖を入れたからだ。工藤は鞄から資料を出した。八木はただ眺めた。

「阿部はアパートから近い画材店に行っていたということだから・・・。」

机に乱雑に置かれている中からボールペンを取り出した。取り出すだけでも難しいと思える量だ。今回の事件の調べものがある。捜査一課の他の奴等には伝わらないという利点ももっている。阿部のアパートと対比しながら見ている。1件の店舗に丸を付けた。

「今日はここだけな。他にはいかないと思う。他はあまりにも遠すぎる。顔見知りも出てきてるはずだからそれも探さないとな。今回の事件は大したことないな。」

外では騒音のようで騒音とならない音が鳴っていた。赤のランプを回しながら大きな音で他の車を追い抜いていく。何処かで事故が遭ったのだろうかどこかで病気の人が倒れたのだろうかどこかで事件があったのだろうか。駆け巡るのは悪いことばかりだ。八木はこの音を聞くと話を聞いていない。分かっているから工藤は話しかけない。過去についた相棒はなりふり構わず話しかけてきた。遠くで音が消えてしまった。

「お前は救急車の音になるとダメになるからな。まぁいいや。今日のことが済んだら飲みに行くか。考えなおすために。」

「たまには良いな。久しぶりだな。一さんもこれたらきてもらうか。けど、捜査一課でも別だから来れないよな。」

工藤はなぜかは聞かない。話したがらないことを聞いてはいけないと思っているのだろう。少し古びたスーツを着て2人は出て行った。

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