うぬぼれた誓い
何時から夜景を見なくなったのだろう。このマンションを買ったのは自分を守るためだった。画家となったからではなくて親父からの圧から避けるためだったのかもしれない。個展のための絵は描き終わったため、圭太に頼まれた絵をかいている。リビングでテレビをかけっぱなしだ。ニュースを見るため。今の事件のとこということより政治家とか社長とかがでまかせでだましていないかと思ってみているのだ。筆は止まることなく動き続ける。源太郎の携帯が軽快になった。
「もしもし。」
「兄貴、村沢巧が死んだ。その人、画家をしていたといっていてそのことについて知っているか?」
圭太の言葉は冷たい風がどこかで吹いているかのようだった。村沢巧は画家として名が知られている人だった。話題が上がるほどだった。何故、そこまでの人が画材店をしているのかと。
「村沢はマイナーな画家ではあったがテレビに取り上げられたことのある人だ。その人がなぜ画材店をしているのかと話題になったことがあった。」
「そうか。あと、阿部が油絵をやっていることって誰から聞いたんだ。油絵は村沢から習っている途中で表に出したことはなかったらしい。」
油絵を使うのは人それぞれである。画家としてだろうかと思っていたが村沢から習っていたとすれば中途半端に出したりしないだろう。元画家としては。
「宇佐美史郎。鏡東映のアパートに住んでいるよ。確か隣に住んでいるはずだ。後、宇佐美は画家として異例の経歴を思っていて週刊誌の記者をしていたという噂が立ってるよ。」
「週刊誌の記者ということはエリア情報システムについて知っていておかしくないということだな。有難う。兄貴、もうこの事件から離れてくれ。画家がホシとなると狙われる可能性だってあるんだから。」
彼の少し焦ったような普段ではない感じに気づいている。刑事として被害者遺族として守ろうとしているのがじんじんと伝わってきた。
「わかったよ。この事件から離れるから。」
「もしもの時は兄貴は先走らないように頼むよ。親父のことだからどうだかわからないけどな。おふくろのようにならないと思うから。また用事があったら電話とかするから。」
一方的に切れた電話を見つけた。親父から逃げるように生きている。人殺しなのに罪悪感もないのだろう。人の人生を狂わしておいても他人事しかできないのだから。ニュースに流れる政治家とかのように。でまかせを話しても悪いとは心から思っていないだろうから。正義と思っているのか。ただ単純にうぬぼれているだけか。




