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描くもの

商店街とは町の発展がわかるものではないのだろうか。テレビで取り上げられる商店街は決まり切っているのだから。工藤と八木はシャッターが見える通りを歩いた。以前も歩いたが目的のために歩いていたので見えていなかった。村沢画材店の隣に今風の洋菓子店があった。

「いらっしゃい。」

店主は優しさにあふれているような人だった。酸いも甘いも経験してきたのかと思えてしまうのだ。焼き菓子などを扱っている。

「あの。隣の村沢さんについて教えてもらえませんか?」

「貴方がたは探偵とか?それか刑事?」

「刑事です。」

警察手帳を出していなかったのに気付かなかった。店主はそれを聞いて一瞬嫌な顔をしたがまた優しい顔をした。

「村沢さんは画家になりたくてなってみたけど食べていけるほどのお金がもらえなくてやめてはいないみたいだよ。画材店を開いて商店街のためだって言って空きスペースで画家とか趣味で書いている人の絵を飾ったらテレビも来たよ。」

政治家は町の活性化とかには興味はないらしい。見返りを求めているのだ。黒に近くても逃げているのだから。口先ばかりの暴言吐きとたたえてみてもいいかもしれない。

「じゃあ阿部登さんについて知ってますか?」

「村沢さんが良くしていたからね。一番自分に近いとか言って世話焼いてたとか聞いたよ。その分必ず恩がかえって来るって言っていたよ。個展も開いても阿部さんは子供よりかえっていたみたいだからね。会社も辞めて専念すると決めたとたんに死んだんだから悔しいんじゃないのかな。」

彼は何処か村沢に対して同情しているように思えた。それ以上に思ってくれる人を失うのは抑えきれないところがあるみたいだ。

「村沢さんって阿部さんを皆さんに教えていたんですか?可愛がっているって。」

「常に言っていたよ。よくうちにもきてケーキ買って村沢さんのところ行くみたいな習慣になっていて商店街全体で可愛がっていたよ。」

ケーキを買って2人で何を語り合ったのだろうか。他愛もない話をしていただけかもしれない。絵もかくのも適した場所をくれていた。けれど別荘をもっていた。物置になっているとは見えなった。かけないような絵を描いていたのだろうか。

「阿部さんが水彩画以外に油絵を描いているとか聞いたことはありませんか?」

「金がないからやらないといっていたよ。技術ももっていないから水彩画で十分とか言ってたこともあったよ。」

どこかから油絵の話が上がってきたのだろうか。何かもみ消したいことでもあるのだろうか。時計は泊まらないのだから。

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