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工藤が捜査一課の場にいることを不思議には思わない。パソコンを使って探っていく。一ノ瀬は何処かで眺めている。
「八木の指示か。」
「えぇ、だって事件の裏とかを考えとか得意ですかね。俺も口を出すときもあるけど的中率が高いのは知ってるから自由にさせたいんですよ。」
一ノ瀬は隣の机の椅子に座った。何時も八木が座っているところだ。ごちゃごちゃした感じの机を見る。
「八木の机を片付けてやってください。きっとしないですから。夢中になっているときは何言っても役に立ちませんから。一ノ瀬さんさえよければという話ですからね。」
「八木はそんなに事件に関わると離れなくなるのか。あいつらしいな。」
工藤は画材店を絞り始めていた。大きなチェーン店は色々あるらしいが無駄なものが多いともいえるのだ。阿部はきっと顔見知りとかのほうが良かったのではと考えて大型店は削除していく。
「大型店も削除していくと八木怒らないか。こだわりとか強そうじゃないか。」
「ないですよ。というか、長い間一緒にやっているのであんまり口は出さないんですよ。見えない絆とかあるじゃないですか。まさにそれです。俺たちのやり方でやっていかないといけないんですよ。」
彼は呆れたようではなくいつも通りからかまわないといっているようだった。それが彼等の関係性なのだともいえた。
「これで明日あいつに渡します。しがみ潰しとかになるでしょうけどそれが俺たちの性に合っているんでしょうね。」
工藤の目は笑っていた。これだから捜査一課からのけ者にされてもマイペースにできるんだろう。2人になってしまったと思っているのは八木かもしれないなと思ってた。八木は見せないところで正義感を持つタイプなのだ。捜査会議にも出たがらないのは多分疎外感を感じさせたくないということだろう。
「一ノ瀬さん。この事件は俺たちが解決して見せます。捜査会議は出ませんよ。八木が出たがらないのに出たってしょうがないですから。」
「それで本当にいいのか。苦しまないのかい。」
「苦しむのなら2人でいいんです。八木を1人にさせたくないです。相棒となった今、この生き方がいいんだと思います。」
工藤は捜査一課の部屋から出ていった。きっと報告するのだろう。見つかったと。一ノ瀬は心では閉じ込めれないほど深いもののように感じた。警察という組織がいかに馬鹿げているかといっているようだった。大勢で群がるのは意見を持たないのと一緒ともいわれているよう。強すぎる2人だと思った。