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家の構造

源太郎は警視庁からの帰りにマンションからは離れたところにある居酒屋に行った。常連と呼ばれるほど行ってないと思うが他人から見たら常連なのだろう。まだ時間的には開いていないが入った。鉢巻をしているおじさんがキッチンに立っていた。

「源太郎君。話をするのなら閉めるぞ。かみさんも了解しているからね。」

「じゃあ言葉に甘えていいですか。」

暖簾すら出してなかったのでそのままにしておくだけだ。生ビールを出してくれた。簡単なつまみもつけて。

「何の帰りなんだい?」

「警視庁へ行って圭太に調べたことを知らせにいったんですよ。捜査一課はまるで事件について調べていないみたいでした。」

おじさんは頼りないのだと思いながらうなずいた。圭太は気になったことからは離れないことを知っているのだ。

「そういえば個展をするって言っていたけどこんなことしていて間に合うのかい?」

ビールをゆっくり飲みながらつまみをつまむ。源太郎はあまり深く考えていないようだった。

「間に合うんですよ。小さな個展だから数を増やすことはあまりしなくていいってことを責任者の人が言ってたから焦ることはないんですよ。」

「圭太君はいつも通りか。多くは語らないから兄としては困るだろう。」

「困ることはありませんよ。今日だって秘密を新聞社に明かすつもりだといってくれて見えただけでいいんですよ。」

過去に自殺未遂を犯しているのは知っている。圭太はおふくろが殺された後突然起こしたことだった。周りは突き放すことはなかった。おふくろがもたらしたものだと。

「八木なんて苗字を使わずに能勢を使えばいいのに。」

「母方の親戚は喜ぶと思います。呆れてますから。けれど、父方のほうは怒るでしょう。切り札がなくなってしまうのですからね。」

「圭太君か。あの子はあの家庭には似合わないほどの人物。それに従ってもいないのにそれでもほしいというのか。」

源太郎は静かに笑った。その笑みは悲しみをもっているようだった。奪い合いにされていることが許せないのだろう。

「事件を解決するのは圭太を慕っている奴等ばかりですから。それを手柄として吸収しているのが八木という苗字の人達ですよ。欲しくないとは言わないでしょう。」

解決するのは他人なのにしてやったみたいな顔は一人前にするのだから呆れるしかない。救いようがないほど。関わるのは最初だけのこと。それだけのことをするのなら事件を解決してからにしろとしか言えない。まだ終わらない絵の意味があるのだから。

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